今週の一冊『レッド 1969~1972』
(本日のお話 2411文字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は午前中大学院の授業。
午後から子供を連れて散歩。
その後10キロのランニングでした。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は、
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『レッド 1969~1972』
山本直樹(著)
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です。
■1972年に起こった
あさま山荘事件を舞台にした作品です。
内容について書籍から
引用をさせていただくと、
このように紹介されています。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~
革命を目指す若者達の青春群像劇。
この物語の登場人物達は決して特別ではない--。
物語の舞台は1969年から1972年にかけての日本。
ごく普通の若者達が、矛盾に満ちた国家体制を打破するため、
革命運動に身を投じていく。それは、正しいことのはずだった……。激
動の学生運動の行き着く先とはどこなのか!?
全ての世代に捧げる、若き革命家達の青春群像劇。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■青春群像劇、とありますが、
当時20歳そこそこだった学生が、
革命という名のもとに運動をしていきます。
その過程の、
組織内での内部の暴行などの様子が、
生々しく、考えさせられるものでした。
しばしば起こる
組織内の不正でも
あるいは暴力事件等でも、
・逆らえない、強圧的なリーダーと
・おかしいと思いつつも、Noと言えない空気
が揃うと
集団内の恐怖や不安の圧力が高まり、
それがエスカレートしていき、
そのまま突き進んで戻れなくなる、、、
という事象が発生すると感じます。
■冷静に考えると、
明らかにおかしい
集団内部での暴行行為。
ちょっとメルマガでは
記載をするのが憚られるような内容ですら
”同士への支援である”
という空気になっていくのは
まさに集団の持つ恐ろしさだな、
と感じさせられます。
■この作品から、
個人的に考えさせられたものは
『グループ・ダイナミクスの”負の側面”』
でした。
■少し話がそれますが、
組織行動論の研究において、
グループ・ダイナミクス(集団が集まることで生まれる力)には
プラス面もマイナス面もあることがわかっています。
そして負の側面には
有名な3つの問題がある、とされ、
それが以下項目とのこと。
<1,集団圧力>
:個人に対して、集団の規範や意見に
同調するような圧力がかかってしまうような現象のこと
<2、集団浅慮>
:1人1人は優秀であっても、その人たちが集まって
集団で決定することによって、愚かな決断を下してしまうこと。
<3,社会的手抜き>
:個人が本来できるはずの努力をしていない、
あるいは能力を発揮していないために
集団のパフォーマンスが本来あるべき水準を下回ることがある。
とのこと。
今回の『レッド』の舞台となった
あさま山荘事件においては、特に
1,集団圧力
2,集団浅慮
によって、
内部での犠牲者が12名という
事件になってしまいました。
(独裁体制を築いたリーダーの
コンプレックスなどもあったようですが、、、)
■その他にも、当時の学生が
世の中に対する怒りにも似たエネルギーを
どうして持つことになったのか、
などは興味があるところですし、
その背景にある思想についても、
どうしてそのような力を持つに至ったのか、、、
についても気になるところ。
その点については、
あまり詳しく触れることは
私は出来ませんが、
いずれにせよ、
あさま山荘事件にいたった、
・社会的な背景
・学生たちの当時の感情
・そこから派生した集団の暴走
などを、
事実を元に描いた入門書として
考えさせられた一冊でした。
なお、
・レッド(1~8巻)
・レッド 最後の60日感 そしてあさま山荘へ(1~4巻)
・レッド 最終章 あさま山荘の10日感(1巻)
とシリーズが続きますが、
特に中間部のシリーズが集団の恐ろしさを
感じさせられるパートになっています。
なかなか精神的に重い作品ですが、
大切なメッセージだな、と思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<今週の一冊>
『レッド 1969~1972』
山本直樹(著)
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