「フィードバック VS フィード・フォワード面談」、どちらが効果があるのか?の研究
(本日のお話 2834字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
すっかり夏、ですね。
ということで昨日日曜日は
トイザらスで買った2,000円のプールにて
ベランダで子供と遊んだり、読書などしておりました
その他、10キロのランニング。
(汗がすごい・・・)
*
さて、本日のお話です。
「フィードバック」という手法は有名で、
実際の職場ではよく使われるものかと思います。
一方、
「フィード・フォワード面談」という言葉は、
まだあまり知られていない手法であり、
意図して使っている人はもっと少ないのであろう、と思います。
今日はこの2つの手法について、論文、
『フィード・フォワードは進むべき道か? ーフィードバックとフィード・フォワード面談の影響の比較ー』
(McDowall, A., Freemann, K. and Marshall, K. (2014).
”Is FeedForward the way forward? A comparison of the effects of FeedForward coaching and Feedback”)
を参考に、皆さまに学びを
ご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【「フィードバック VS フィード・フォワード面談」、どちらが効果があるのか?の研究】
それでは、どうぞ。
■「フィードバック」と
「フィード・フォワード面談」。
なんだか似ているこの言葉です。
特に後者は、なんのこっちゃ、、、?と
思われる方もいらっしゃるのでは、と思います。
*
ちなみに両者の違いを
簡単に説明してみると以下のようになります。
・「フィードバック」
:過去の経験や情報、それらに基づく学習や内省に焦点を当てる(過去軸)
・「フィード・フォワード面談(FFI:Feed Fowrad Interview)」
:自分の強みに焦点を当て、成功の条件を探り、目標達成に活かす(未来軸)
とのこと。
※また後者について詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください
↓↓
『「フィード・フォワード面談」~部下の強みを引き出し、ポジティブな行動を導く手法~』
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/10373/
■過去起こった事象について、振り返る。
改善点などを見つけ、そして
次の目標を定めていく「フィードバック」。
定期評価面談などで、
しばしば行われているものですが
一方、欠点指摘型のアプローチになりがち、
という特徴も持ちます。
対して、成功体験について焦点を当てる
「フィード・フォワード面談(FFI)」。
最高の気分のときに、
自分の強みや周囲の環境がどうだったのかを考え
”成功の条件”を洗い出す。
その条件が現状にどれくらい当てはまっているのかを見つめ
理想的な状態と現状の差異を明らかにする。
強みに基づくポジティブ心理学をベースとした
アプローチが後者のものです。
■そして、両者については
「フィードバック」の研究はされていても
「フィード・フォワード面談(FFI)」の研究については、
まだまだ深掘りされていない、という現状でした。
(2014年当時)
また現場からの声として
「確かに、成功体験とか、
前向きな面談はよいかもしれないが、
それでパフォーマンスは改善するのか?」
「目標達成にプラスの影響はあるのか?」
という疑問も呈されそうです。
■それに対する一つの答えとして、
上記の論文が興味深い結果を示してくれています。
、、、ということで以下、
論文の内容を、簡単に要約させていただきます。
(ここから)
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論文まとめ『フィード・フォワードは進むべき道か?
ーフィードバックとフィードフォワード面談の影響の比較ー』
<研究の趣旨>
FFIがポジティブな感情を高めるという点は
そのメカニズムを示す証拠があると思われる。
ポジティブに焦点を当てた活動が、どの程度
「強みー自信」を高め「目標達成を促進」するのかを調査する。
<研究の仮説>
仮説1)「自己効力感」は、フィードバック後よりも、FFI後の方が高くなる
仮説2)「ポジティブな気分」は、フィードバック後よりも、FFI後の方が高くなる
仮説3)「強みー自信」は、フィードバック後よりも、FFI後の方が高くなる
仮説4)「目標達成度」は、フィードバック後よりも、FFI後の方が高くなる
<研究の参加者>
・様々な職種、組織の正社員54名
・平均年齢37.6歳(20-67歳)
・92%が白人のイギリス人と申告
<研究の方法>
・参加者は参加者間デザインを用いて、
FFI、またはフィードバックコーチングのいずれかにランダムに割り当てられた。
・目的変数は以下の4つ。
ー「一般化された自己効力感」「ポジティブな気分」「強みー自信」(参加1週間後に測定)
ー「目標達成度」(参加1ヶ月後に測定)
<研究の結果わかったこと>
・「自己効力感」は、
FFI後増加する一方、フィードバック後で減少することを示した
(仮説1は支持された)
・「ポジティブな気分」は、
FFI後とフィードバック後で違いは観察されなかった。
(仮説2は支持されなかった)
・「強みー自信」は、
FFI後増加したが、フィードバックとの差は統計的に優位ではなかった
(仮説3は支持されなかった)
・「目標達成度」では、
FFI条件の方が、フィードバック条件に比べて、目標達成率が高かった。
(FFI条件では、32名が1ヶ月後に設定した目標を達成、または超過、
フィードバック条件では、13名が設定した目標を達成、または超過した)
(仮説4は支持された)
<研究のまとめ>
・「自己効力感」に対して、FFIは影響がある
・「ポジティブな気分」は、やや意外な結果だが、
FFIとフィードバックで違いはなかった
(FFIはポジティブな気分を誘発すると考えられているため)
・「強みー自信」は、FFI後自信を持つようになったが、
フィードバックとの比較では統計的に優位ではなかった。
(強みに自信を持つためには、より深い内省やコーチングセッションが必要と考えられる)
・「目標達成度」は、フィードバックに比べて、
自分が感じている「内部基準」に焦点を当てるため
自分の目標を拒否したり、逃げたりする可能性が低い。
そのため達成率が高くなると想定される。
※McDowall, A., Freemann, K. and Marshall, K. (2014).
”Is FeedForward the way forward? A comparison of the effects of FeedForward coaching and Feedback”
より著者要約
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(ここまで)
■さて、いかがでしょうか。
こう見てみると、もちろん
「フィード・フォワード面談(FFI)」が
いついかなるときも正しいとは言えないにせよ、
ある程度、知っておいて損はない手法であるように
感じさせられます。
■特に、個人的に思ったのが
しばしば耳にする
「最近の人は厳しく言うと折れてしまう」
みたいな、
世代間のギャップ、
精神的な耐性などで片付けてしまう問題
などについても、
このFFIは、客観的に考えることに
役立つのでは、、、と思いました。
例えば、
「フィードバックでガツン!とわからせる」
(あえて誇張していっています)
だと自己効力感下がるものの、
「”フィード・フォワード面談”の
ポジティブなアプローチではより、
自己効力感や目標達成の向上に役立つとわかった」
という視点を持ったとしたらどうか。
ひとつの指導方法(フィードバック)から
適切に距離を取り、
自分の経験から基づく手法を
アンラーニングするきっかけになり
何が目的(部下のパフォーマンス向上)にとって役立つのかを、
判断し、引き出しを増やすことに繋がるのかもしれない
とも思います。
■ということで
「フィード・フォワード面談」も
一つの武器として知っておくと、役立つこともありそうです。
業績評価面談のときなどにやると
評価が受け止められやすくなる、
などの効果もあるようですので
もし関わられている管理職の方など、
ご興味があれば是非試していただけると、
新しい発見があるかもしれません。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
人と交際する時に一番忘れてはならぬことは、
相手には相手なりの生き方があるのだから、
相手の人生をかき乱さないように、むやみに干渉しないことだ。
ヘンリー・ジェイムズ(イギリスの小説家/1843-1916)
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