「人は変われるのか or 変わらないのか」、どっちなんだい ー「暗黙理論」がコーチング行動に影響するー
(本日のお話 2025字/読了時間2分半)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は3件の組織開発のインタビュー。
また2件のアポイントでした。
昨日は日課の10キロランニングはお休み。
休息も大事です(と言い聞かせている)
*
さて、本日のお話です。
本日はコーチングに関わる論文からの学びを
皆さまにご共有させていただければと思います。
キーワードは
「人は変われる or 変われない」
でございます。
(詳しくは本文にて)
それでは、早速まいりましょう!
タイトルは
【「人は変われるのか or 変わらないのか」どっちなんだい ー「暗黙理論」がコーチング行動に影響するー】
それでは、どうぞ。
■人はそれぞれ、色んな
「信念」を持っていますね。
信念というと、
日常あまり頻繁に使う言葉ではないかもしれませんが、
「信念」=「それが正しいと堅く信じている心」
だそうです。
たとえば「仕事」というテーマでも
・”仕事はあくまでも経済的手段である”、という信念を持っている人もいれば
・”キャリアや昇進が大事”、という信念を持っている人もいれば
・仕事は社会をよくするためのものだ、
という信念を持っている人もいます。
どれが正解というわけではなく、
どれも当人に取っての正解です。
ただし、その「信念」によって、
「行動」とそれに伴う「結果」も変わってくる、
というのはあるかと思います。
■さて、そんな信念の一つに、
「人に対する信念」
の研究もあるのです。
その一つが、
『暗黙理論』なるもの。
こんな内容です。
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<暗黙理論>
1)増加理論: 個人の特性は変化し、発展することができる
2)実体理論: 個人の特性は本質的に固定的なものである
※参考論文:Heslin(2006)
『KEEN TO HELP? MANAGERS’ IMPLICIT PERSON THEORIES AND THEIR SUBSEQUENT EMPLOYEE COACHING』
(「部下を助けたい?」 管理者の暗黙理論と彼ら/彼女らの従業員コーチング)
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なんのこっちゃ、、、??
と思われたかもしれませんが、
平たく言えば、
「1)増加理論」という信念を持つ人は
「人は成長することができる」
と考えます。
一方、「2)実体理論」という信念を持つ人は、
「人は変わんねーよ(人は基本変わらない)」
と考えます。
*
なかやまきんに君風に言えば、
『「人は変われるのか or 変わらないのか」どっちなんだい?』
と問うてみて、どう答えるか、
みたいなところでしょうか。
(個人的に好きなネタでして、わからない方、すみません汗)
■そして、このどちらの理論を
信念として持っているかによって、
上記、ご紹介した論文では、
「マネジャーの部下に対しての行動が変わる」
というのです。
この内容が、なかなかに興味深いです。
世のマネジャーの皆様には、
ぜひお伝えしたいところ。
■研究の結果をお伝えすると、
”「増加理論(人は成長することができる)」と
考えているマネジャーのほうが、
部下に対するコーチング行動が多い”
ことがわかりました。
そして更にいえば、
実体理論(人は変わらない)という信念を
持っていたマネジャーに対して、
”「増加理論(人は変わることができる)」
という内容を強調した研修を行ったところ
コーチング行動が増えた”
となったそうです。
■もちろん、
この研究の参加者が
自分自身の考え方を客観的に見つめ、
新しい考え方を取り入れることができた、
という個人特性もあると思いますが、
それでも、
『増加理論(人は変わることができる)と
強調することで行動に影響を与えることができる』
というのは、
人づくり・組織づくりの観点でも
興味深いものがある、と感じます。
■そして、少し話が飛躍するようですが
応用して考えてみると、これらの考えを
企業研修の効果を高めることにも、
繋げられるのではないか、と思うのです。
*
たとえば、私自身、企業の研修で、
コーチング研修などを
実施させていただくことがあります。
ただその中でも、
「いや、そもそも人は
そんなに変わらないよ」
という信念(実体理論)を
持っている方にお会いすると、
一生懸命、コーチングの技術を伝えたり、
ロープレをやっても、響かない、ということもあります。
これはおそらく、ですが、
その”根底にある信念”が影響して、
(いや、とは言っても人は変わらないし・・・)
というブレーキを踏んでいる音が、
何となく聞こえてくる(そんな気がする)
、、、そんな気がするのです。
■ブレーキを踏みながら、アクセルも踏む、、、
という現象になっては、もったいない。
しかし、同じようなことが
私が体験した以外でも、どこそこで起こっている、
とも感じます。
■、、、とするならば、
もしそのように根本的な信念が
(暗黙理論のようなもの)
影響していると感じた時に、
「そもそもあなたは、人は変われる/変われない、
どのように思っていますか?」
「そう考えるに至った背景はなんですか?」
「それは本当に事実なのでしょうか?」
等、(ちょっと回りくどいようですが)
そもそもの根っこの信念の部分に
焦点を当ててみる、
そして必要に応じて
書き換えるような学びをしてみる、
そんなことが急がば回れということで
効果的なのかもしれませんね。
■ちなみに上述の論文では、
実体理論(人は変わらない)を持つマネジャーにも、
コーチングを動機づけするために、
こんなことを提案しています。
**
1.これまで「これしかできない」と信じていた以上の
経営スタイルや行動の変革が自分自身でも可能であると自己説得すること
2.さらに、適切なコーチングと成長過程での必要なサポートがあれば、
従業員一人ひとりにも大きな変革と改善が可能であると自己説得する
ポイントは、
”マネジャーが「この人に同じことをやっても仕方ない」等と考えてしまう前に、
変化の可能性(増加理論)を思い起こさせること”である。
**
、、、と。
「自己説得する」と、
なんだか若干、気合、みたいなものも、
感じないでもないですが、
自分自身の考え方に
自覚的になることで変えられることもあるし、
それでプラスの影響があるならば
積極的に取り入れていきたいものです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
「そんな難しいことはできない」と言う前に、まずやってみることです。
結論はそれからでも遅くありません。
ラルフ・ワルド・エマーソン(米国の思想家/1803-1882)
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