「学ぶマネジャー」は機会を手に入れる ー論文『マネジャーの成長の理解』よりー
(本日のお話 2130字/読了時間2分半)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は終日、外部人事パートナーとして
関わらせていただいている地方銀行様での
人事に皆さまへのコーチング、コンサルティングでした。
現場で起こっている様々なお話を一緒に考えることは、
刺激的であり、楽しい時間でもあります。
こうしたご縁もありがたい限り。
また、夜は8キロのランニングと
1件の打ち合わせでした。
*
さて、本日のお話です。
人・組織づくりに関わる中で感じるのは
”チームのリーダー(マネジャー)が貪欲に学んでいるチームは
学びに対して積極的である”
ということです。
あくまでも私の感覚ではありますが、
あながち間違いではないような気もします。
逆に言えば、
そのチーム、組織のトップが
学んでいない、学ぶ姿勢がない場合、
その下の人達や、学ぶ文化にも、
多少なりとも影響がある、と感じます。
(学ぶ人はどんな環境でも学びますが、
学ぶ姿勢やや萎える・・・というように)
今日はそんなお話に関連して
「マネジャーの学びと成長」
に関する論文からの学びを
皆さまにご共有させていただければと存じます。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【「学ぶマネジャー」は機会を手に入れる ー論文『マネジャーの成長の理解』よりー】
それでは、どうぞ。
■「仕事の経験」こそが、人を成長させる。
米国のロミンガー社が提唱した
『70:20:10の法則』
というものがあります。
曰く、リーダーシップのような能力は
・「経験」からの学びが70%
・「他者」からの学びが20%
・「研修」からの学びが10%
という話です。
結論、
「人は机上で学ぶんじゃない!
現場で学ぶんだ!」
と懐かしき青島刑事ばりに言いたくなるくらいの
比率であり(経験が70%)
”経験の大切さ”
を語っても語りすぎることはない、とすら感じます。
■さて、このことはあらゆる世代、
つまり、もちろんマネジャー(=管理職)にも言えます。
やっぱりマネジャーも
「経験から学ぶ」
のです。
そんな中で論文
『マネジャーの成長の理解:
ーマネジャーの能力を予測する、職務の発達性、学習目標志向性、および発達的職務へのアクセスー』
Dragoni,L.,Tesluk,P.E.,Russell,J.E.,&Oh,I.S.(2009).
”Understanding managerial development: Integrating developmental assignments,
learning orientation, and access to developmental opportunities in predicting managerial competencies"
では、これまで文献や先行研究から、
・マネジャーの成果に繋がるコンピテンシー(能力)とは何か?
・どんなマネジャーがより成長の機会を得るのか?
などのテーマについてまとめています。
*
こちらの内容について以下、
簡単にまとめてみます。
(ちょっとおおざっぱなまとめですが、、、
ご容赦ください)
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
論文まとめ『マネジャーの成長の理解:ーマネジャーの能力を予測する、職務の発達性、学習目標志向性、および発達的職務へのアクセスー』
<研究の概要>
・マネジメントの開発プロセスにおいて
ジョブアサイン(仕事の割当)が重要な役割を果たすと知られている。
・では優れた業績につながる
「マネジャーの最終成果コンピテンシー(能力)」
とは何なのか?
・またそれらのコンピテンシーと、
「1,発達に資する職務(成長できる仕事)」と、
「2,学習目標指向性(学び、成長しようとする姿勢)」と
「3,発達的職務へのアクセス(成長できる仕事を手に入れられるか)」
にはどのような繋がりがあるのか、を調査する。
<優れた業績をつながるマネジャーの能力とは?>
・幅広いビジネス知識
・勇気
・人々の能力を引き出す能力
・一貫して誠実な行動
・洞察力
・成功へのコミットメント
・・これらが、優れた業績を上げる人を特徴づける
「最終成果のコンピテンシー」とされてきた。
(Spretizeretal., 1997)
<研究の結果>
1)マネジャーの”発達に資する職務(成長できる仕事)”は、
最終成果に繋がるコンピテンシーと正の相関を持つ。
2) 学習志向の強いマネジャー(成長志向の強いマネジャー)は、
管理職の”発達に資する職務(成長できる仕事)に就く傾向が強い。
そして、その経験に基づいてより高いレベルのコンピテンシーを獲得している。
※Dragoni,L.,Tesluk,P.E.,Russell,J.E.,&Oh,I.S.(2009).
”Understanding managerial development: Integrating developmental assignments,
learning orientation, and access to developmental opportunities in predicting managerial competencies"
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■平たく言えば、
・成長しよう!新しいスキルを獲得しよう!とする
マネジャーほど、成長できる仕事経験を手に入れやすい
・成長できる仕事につくと、
マネジャーの業績に繋がる能力は伸びる
というお話。
言われてみれば、
確かにそんな傾向はありそうだし、
最もなことだ、とも思えそうです。
■しかしながら、当たり前のことですが、
とても重要な話にも思えます。
例えば、
”チームの成長の限界は
チームのリーダーによって影響される”
なんて話もありますし、
そのチームの代表であるマネジャーが
成長しよう、学ぼうとして、
「発達に資する職務(成長出来る仕事)」を
獲得する機会を得るということは
その周辺にいる、チームにも成長するための機会が
訪れるということにもなる、
とも言えそうです。
そうすると、そのマネジャーの下についたメンバーも
能力を高める機会に恵まれる、となりますし、
それは生き抜く力(雇用可能性)を高めるチャンスを提供できるか、
できないかに繋がりうる、
重大なことのようにも思えます。
■、、、と発散して考えてしまいましたが、
いずれにせよ、やはり
”マネジャー自身の学びの姿勢”
”マネジャー自身が成長できる環境に身をおくこと”
というのは、
若手に学びが必要ということと同等、
否それ以上に、大切なことではなかろうか、、、
と思うのでした。
■仕事もある程度できるようになって
それがルーチンになってくると
つい”省エネモード”になりがちです。
しかし、月並みですが、
変化が激しく、長く働く必要も出てきそうな今、
・学び続けること、学び直すこと
・成長に繋がる機会を自ら得続けること
は、活躍し続けるための必須の条件だと思います。
立場関係なく、学びを深め続けたい、
そんなことを考えさせられた論文でございました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
==========================
<本日の名言>
みずからを向上しようと試みる事が必要である。
この意識は生きているかぎり持続すべきである。
クリスティーナ(スウェーデンの女王/1626-1689)
==========================