「社会情動スキル」ー”自分と相手の感情を理解する能力”の測り方ー
(本日のお話 2458字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日日曜日は、
妻と共通の旧来の友人が自宅へ遊びに来ました。
サクッと2時間談話など。こういう短期集中のおしゃべり、
とてもいいな、と思った次第。
その他、読書、
そして10キロのランニングでした。
*
さて、本日のお話です。
最近、大学院のプロジェクトに関する、
「コーチング「にまつわる論文を読み進めております。
その中で、
「コーチングの成果を測る上で、
こういった観点もあるのだな」
と学びになった尺度がありましたので、
今日はそのお話について、
皆さまに学びと気づきを
ご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【「社会情動スキル」ー”自分と相手の感情を理解する能力”の測り方ー】
それでは、どうぞ。
■仕事において優れた業績を出すために、
私たちは何を磨く必要があるのでしょうか?
、、、なんていったら
「そりゃ色々だよ」
が答えでしょう(汗)
仕事で成果を出すというのは
多様な能力・考え方・あり方を含めた
究極の合せ技のようなもの。
総合格闘技的な(ストリートファイト的な?)
組み合わせが必要になるのでしょう。
■とはいえ、その中でも、
いくつか指標になる考えも提案されています。
例えば、
「カッツ理論(1955)」だと
・コンセプチュアルスキル(概念化能力)
・ヒューマンスキルスキル(対人関係能力・人間理解能力)、
・テクニカルスキル(専門能力)
の3つが仕事において求められるスキルだ、と言いました。
もちろん「どれか一つだけができればよい」のではなく、
「役職等によって求められるスキルの比重」が変わってくる、
といいます。
■ただ、その中でも、
”ヒューマンスキル(対人関係能力・人間理解能力)
は一般/中堅/管理職、
全てにおいて必要とされているスキル、
ともいわれるようです。
*
そして、そこの関連しそうなお話で、
『社会情動スキル』
と名されたものを見つけました。
論文、
『コーチングの介入効果評価のための社会情動スキル尺度作成の試み』
石川利江・松田チャップマン与理子・神庭直子・奥田訓子・鈴木文子(2017)
において、
人事担当者3名、管理職6名に
「職場における人間関係の調整や協働が上手な人、
パフォーマンスの高い人の特徴」
についてのインタビューを元にした調査したところ、
・チームを組み、協働できる
・合意形成など関係調整できる
という特徴が見出されました。
それを更に応用させる形で、
『社会情動スキル尺度』(Socio-Emotional Skills:SES)
として尺度を以下、作成し、
紹介していたのでした。
■さて、では、
一体どのような内容が
『社会情動スキル尺度』なのか?
大まかに、
・「自分の感情状態に気づき、コントロールする能力」
・「他者の感情状態を理解し、適切に対処する能力」
・「自分の持っている強みを有効に活用し、貢献に意味を見出す能力」
という、
”自他の感情への気付き”と、
”強みの活用”
という項目を中心に作成されています。
それらについて因子分析を行い、
合計4因子、16の設問項目になりました。
内容は以下のとおりです。
(ここから)
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<1)周囲との一体感>:
→他者との協働作業の喜びや所属しているグループへの愛着を感じる内容
・会社やグループに貢献できた時に喜びを感じる
・協働作業に喜びを感じる
・自分の所属しているグループに愛着を感じる
・協力して一つのものを仕上げることに喜びを感じる
<2)他者感情への気づき>:
→相手の感情状態を表情やしぐさ、言葉などから読み取る内容
・表情やしぐさから相手の感情をよみとれる
・相手の感情の状態を見抜くことができる
・相手の言葉からどのように感じているか正確に推測できる
・自分と話しているとき、相手がどのように感じているかが正確にわかる
<3)自己感情への気づき>
→自分の怒りや緊張などの気持ちの変化に気づくといった内容
・自分の得意なものと苦手なものがわかる
・嫌な感情を起こしている原因に気づくことができる
・自分の怒りや緊張に気づくことができる
・自分の気持ちの変化に気づきやすい
<4)自己の強みの活用>
→話しかけやすい雰囲気を持っている、状況の変化に柔軟に対応するといった内容
・話しかけやすい雰囲気をもっている
・うれしい時にそれを言葉にして表現できる
・状況の変化に応じて、柔軟に対応できる
・人が混乱しているときに落ち着かせることができる
※引用:石川利江・松田チャップマン与理子・神庭直子・奥田訓子・鈴木文子(2017)
『コーチングの介入効果評価のための社会情動スキル尺度作成の試み』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)
とのこと。
■確かに言われてみれば、
・「相手がどう感じているのか?」に
アンテナがたっている
・「自分がどう感じているのか?」を
俯瞰してみることができる
が出来ることは、
誰かと協働する上で、
そしてマネジメントをする上でも
とても重要なスキルだと思えます。
不要に相手を傷つけることもなく、
ハラスメントにも影響がありそうな内容です。
■そして、これらは回答者268名の結果を
統計分析したところ、
”役職が上位者であるほど高い傾向がある
とのことで、
キャリアアップなどに
相関がある可能性が示唆されました。
ゆえに、
”「社会情動スキル」は
キャリアにつながるコーチング行動の
成果指標として使えるのではないか”
とこの論文では考察されています。
■もちろん、上記尺度が、
「コーチング」の成果指標として
適切なのかは何を得たいかなど文脈によるでしょう。
そして期待、提供されるコーチングのスキルとの整合性を含めて、
更に探求する余地があるとも思います。
ただ、一つヒューマンスキルを彷彿させる
”自他の感情への感度を高める『社会情動スキル』を伸ばすのが
コーチングでのゴールである”
と定義するのも、
照準が絞られて面白いと思いましたし、
だからこそ、お互いに対話をする中で、
何を考え、何を感じているのかを理解する、
ツールにもなり得るのだろうな、と思います。
■そして、個人的感想ですが、
こうしてスキルとして定義されるのを見て、
感情を適切扱うスキルは「超大事」と
個人的にも改めて思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
最も美しい勝利は、
おのれの心情を克服することだ。
ラ・フォンテーヌ(フランスの詩人/1621-1695)
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