「オーセンティック・リーダーシップ」ってなんだ?!(前半)ーその定義と共通4因子と質問票ー
(本日のお話 2433字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日月曜日の祝日は、
ならびに息子の断乳対策(?)&風邪の対応に
追われるように1日が過ぎていきました。
本当は論文を進めるはずだったのですが、
なかなか上手くいかないものですね。
(はい、言い訳です(汗))
*
さて、本日のお話です。
先日「弱さとリーダーシップ」の関係について、
気になって調べていたところ、
マーガレット・ディダムス(2012)
『オーセンティック・リーダーシップにおける弱さの本質を探る』
というものが出てきました。
今日はこの
「オーセンティック・リーダーシップ」
という昨今リーダーシップ界隈において
注目されているキーワードについて
いくつか論文をまたいで調べてみました。
今日はその内容の共有と、そこからの学びを
皆さまにご共有させていただきたいと思います。
※参考バックナンバー:
→「オーセンティック・リーダーシップ」の考えから学ぶ、『自分をさらけ出すこと』が生み出す価値
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/8890/
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【 「オーセンティック・リーダーシップ」ってなんだ?!(前半)
ーその定義と共通4因子と質問票ー】
それでは、どうぞ。
■オーセンティック・リーダーシップ。
そもそもあまり
聞き慣れない言葉かもしれませんが、直訳すると
”オーセンティック=本物の、真正の”
という意味だそう。
■時は2000年代。
アメリカにおいて、エンロン事件などの
企業上層部のモラルの欠如から起こった事件から、
企業におけるモラルに注目が集まり、
またついで人々の意識が企業の社会的責任に
注目が集まることから、
”モラルを取り入れた
新しいリーダーシップのあり方”
が注目されるようになったとのことです。
そしてその中で注目されてきたものの一つが
「オーセンティック・リーダーシップ」
(本物のリーダーシップ)
となります。
なんだか、名前からして
スゴそうです。。。
■では、そんな
「オーセンティック・リーダーシップ」、
その定義は一体何でしょうか?
これまたいくつかの研究者が
色々な事を言っているのですが、
その一つを抜粋すると、
このように表現されたものがあります。
(ここから)
**
>オーセンティック・リーダーシップとは、
・自分がどのように考え行動するかについて深く気づき,
・リーダー自身と他の人々の価値観/モラル的視点,知識と強さに気づいていると
他の人々によって知覚される人、
・そして、彼らが処理する状況に気づき,
・自信があって希望に満ち,楽観的で,
快活かつ高いモラルを持つ人
(Avolio,Gardner,Walumbwa,Luthans & May,2004より引用)
**
だそうです。
■うーん、なんだかちょっと複雑です、、(汗)
もうちょっとコアな部分のみ
抽出してみると、
”authenticity(本物,真正さ)の重要な点は,
・自己を知り,受け入れて,
・自己に対して忠実であること
(同Avolio,Gardner,Walumbwa,Luthans & May,2004より)
だそう。
*
すなわち、
「自分の強みも弱みも受け入れて
自分に対して誠実である(嘘がない)」
加えて
「前向きで高い倫理観を持っている」
いうことかと。
そう言われると、
確かに、本物っぽいですね。
■複数の研究者によって
複数の定義がされているとありますが、
それらの共通項目を調べたところ、
「オーセンティック・リーダーシップの4つの因子」
として以下がわかりました。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<オーセンティック・リーダーシップの4つの因子>
1)自己認識:
自分の強みや弱みを理解し、自己の多面的な性質に対する理解と、
他者と接触し自己への洞察を得ること。
2)関係の透明度:
他人に対して本物の自己(偽造した自己とは対照的)を提示すること。
3)バランスの取れた処理能力:
決定に至る前にすべての関連データを客観的に分析すること。
4)内面化された道徳的視点:
集団、組織、および社会的圧力に対する内部の道徳的基準と価値に基づき、
これらと内面化された価値と一致する意思決定と行動をすること。
※Walumbwa et al(2008)の項目より
長谷川(2019).組織におけるオーセンティック・リーダーシップの翻訳を参考
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
となった、とのことでした。
■そして更には、
それを測定する質問として、
こんな質問票が別の論文で紹介されていました。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<オーセンティック/リーダーシップ質問票のサンプル項目>
1)自己認識:
Q,他者との相互作用を改善するためにフィードバックを求める
Q,自分の能力を他人がどのように見ているかを的確に表現している
2)関係の透明度:
Q,言いたいことをはっきり言う
Q,間違いがあれば、積極的に認める
3)バランスの取れた処理能力:
Q,自分の信念を否定するような意見に耳を傾ける
Q,結論を出す前に、異なる視点からの意見に注意深く耳を傾けることができる
4)内面化された道徳的視点:
Q,行動と一致した信念を持っている
Q,自分の核となる信念に基づいて意思決定を行う
※参考:Walumbwa(2008)Authentic Leadership_Development and Validation of a Theory-Based Measure
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
ここまで見てくると、
だいぶ手触り感が出てきますね。
オーセンティック・リーダーシップの特徴について
だいぶ解像度が高まってくるように思えます。
■こうしてみてみると、
改めて「リーダーシップ」という言葉が表すことも、
一つではなく幅広く存在していることが
理解できるように思います。
そしてその言葉と
それがもたらす影響を探究することで、
自分なりのリーダーシップの発揮の仕方を
定義することが出来るようにも思えます。
■特に、オーセンティック・リーダーシップは
”自分の強みも弱みも受け入れる
ありのままのリーダーシップ”
ということで、
企業の社会的責任や、
ダイバーシティの流れが進む中で、
ますます注目されていくであろう
リーダーシップだと思われるので、
一つ、その概念を知っておくことは、
決してマイナスにはならない、
(、、、と勝手ながら思っております)
と、いうことで、
また明日は、そんなオーセンティック・リーダーシップについて
更に掘り下げてお伝えしていきたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
純朴と純真な真実とは、
いかなる時代においても時と場を得る。
モンテーニュ
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