メールマガジン バックナンバー

3073号 2022年7月21日

優秀な社員の「振り返りプロセス」はコレだ ー”感情の確認”が大事ー

(本日のお話 2532字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は人事の外部パートナーとして
関わらせて頂いている企業様への
コーチング、打ち合わせなど5件でした。

また夜は10キロのランニング。



さて、本日のお話です。

日々、私もこのようにメルマガを書き、
発信させていただいておりますが、

これも半分は私(紀藤)の
振り返り日記であると自覚しております。
(お付き合いいただきありがとうございます)

ただ、このプロセスなかなか侮れないもので、

・日々起こった出来事を振り返り(具体的経験)
・そこから何に気付き、学び(内省的観察)
・そして教訓化していく(抽象的概念化)、
・更にそれを実践につなげる(積極的実験)
(↑このステップ『経験学習』(kolb,1988)といいます)

という振り返り(リフレクション)は、
大人にとって重要な学びのプロセスです。

私もこのメルマガ(リフレクション)を始めて、
成長のスピードが明らかに上がったと実感しています。



今日はこの、リフレクションについて、
興味深い論文がございますので、

その内容と学びを、皆さまに
ご共有させていただければと思います。

それでは、早速まいりましょう!

タイトルは、

【優秀な社員の「振り返りプロセス」はコレだ ー”感情の確認”が大事ー】

それでは、どうぞ。

■『7:2:1の法則』、

と呼ばれるものがあります。

企業における人材の成長は、

・7割が「仕事上の直接経験」、
・2割が「他者からのアドバイスや観察」、
・1割が「書籍や研修からの学び」

によって決まる、というものです。
(Lombardo andEichinger,2010)

■しかし、こうも言われたりもします。

”人は経験をした時に学ぶのではなく
「経験を振り返るとき」に学ぶ”

と。

ただただいたずらに経験を繰り返して、
這い回る経験主義、になっていては

そこから次に繋がる教訓を得ることができず
成長も成果もありません。

例えるなら、

まるでアクションゲームで
同じ場所で同じタイミングで同じ敵にやられる、
同じ穴に落ち続けるかのごときもの。

プレイ時間が積み重なるものの、
一向にステージは進みませんし、
学びや成長とは言えない状態になってしまいます。

■なるほど、「経験を振り返る」のが大事なのか。

、、、といいつつ、
ちょっと深く考えていると、
こんな疑問も浮かぶかもしれません。

「とはいってもさ、
”経験を振り返る”って言ったって、
何を・どう、振り返ればよいのか??」

という疑問。

確かに、1日を振り返るとしても
いろんな振り返り方があります。

・どの範囲について、
・どの程度の深さで、
・どの角度から振り返るのか、

人によってばらつきがありそう。

■例えば、

「今日は雨でした。
カタツムリが元気そうでした」

も”振り返り”といえば振り返り(?)ですし、

もうちょっと日報的に、

「今日は自分が司会のミーティングで
予定より15分延長してしまった。

最初に流れと必要な時間について
確認しておかなかったのが原因だと感じる。
次回は、最初に議題と必要な時間を宣言、合意して始めよう」

というのも”振り返り”です。
(こっちのほうが振り返りっぽい)

ただ、見ての通り、
上記についても前者と後者、内容が違います。

振り返りがもたらす学びのインパクトも
当然ながら違ってきます。

前者のカタツムリの振り返り(?)は
”自分と直接関係ない事実の記述のみ”ですので
振り返りの体をなしていない、といえますし

後者のミーティングの振り返りは
「経験→学び→教訓→実践」という
冒頭お伝えしたコルブの『経験学習』のサイクルを
一通り回しています。

つまり、何が言いたいかというと、

「振り返り方で学びは変わる」

ということです。

■、、、と、

前置きが長くなりましたが、そんな中で、
「どう振り返ると、
より成果に繋がるのか?」

という疑問について、
一つの答えを示してくれているような論文を、
先日読む機会がありました。

タイトルは、

「高業績社員のリフレクションプロセス」(永田正樹)
なるものです。

その内容としては、
以下のようなものとなります。
簡単にポイントだけ引用させていただきます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<高業績社員のリフレクションプロセス>

■問い:

・高業績社員と、
中・低業績社員のリフレクションプロセスには
どのような違いが見られるのか?

■研究方法:

・3年目121名の社員に対して、
仕事経験のリフレクションに関する自由記述調査を実施。

・人材育成責任者が人事評価を元に、15名の高業績社員の選出を行った。

・高業績社員と、中・低業績社員のリフレクションの違いを分析した。

■結果:

・高業績者ほど、リフレクションにおいて
「感情の確認」を示す傾向があった。

(感情の確認には
・負の感情=不安、焦り、悔しさ、苦しさ、迷い、プレッシャー、恐れ
・ポジティブな感情=感激、自信、責任感、充実感、熱意、好奇心など
の両方を含んでいた)

■わかったこと:

・高業績社員のリフレクションは、

1)感情の確認を行っている
2)不安や焦りという負の感情を、成長の契機にしている
3)ポジティブな感情を仕事に対するモチベーションの源にし、
成功の理由を振り返ることで成功の再現性を高めている

ことがわかった。

※永田正樹「高業績社員のリフレクションプロセス」より

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

■さて、いかがでしょうか。

実に興味深い、、、!
と個人的に感じました。

リフレクションについては

”「感情の確認」が大事である”
(Gibbs、1988)

とするモデルもあるのですが、

「自分がその時、どう感じていたのかを
”感情の確認”をしている人の方が高業績」

というのは実に面白いな、と思いました。

■これは私の解釈ですが、

”自分自身のことを
(感情を含めて)俯瞰して見る能力”

とは、もちろん
学習への効果もしかりですが、

対上司・先輩に対して
対部下に対して、
対顧客に対して

仕事上避けて通れない対人関係においても
重要な要素のようにも思ったのでした。

、、、というのも、

「感情と思考・行動は
切っても切り離せない」

と思うからです。

■”坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”

なんて言葉があります。

その時の悔しい思い、
あるいは嬉しい思いなどの”感情”は、

思考や行動に連鎖して
繋がることも大いにありうると、
個人的には思うのです。

それは、特定の人に対する
厳しいor優しい態度、反抗的or従順な態度等にも
つながる気もします。

、、、とすると、その厳選になる

・自分の感情を客観的に認識する力、
・それを振り返り、次に活かす力
は自分をマネジメントする、という
仕事の基礎力の一つとも言えるのでは、、、

などと思ったのでした。

■と、少し話が私の解釈も含めて
飛躍をしてしまいましたが、まとめです。

高業績社員(優秀な社員)の
振り返りプロセスとは、

1)感情の確認を行っている

2)不安や焦りという負の感情を、成長の契機にしている

3)ポジティブな感情を仕事に対するモチベーションの源にし、
成功の理由を振り返ることで成功の再現性を高めている

とのことでした。

感情の確認、大切にしていきたいものですね。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

悩んでも悩まない、
そういうように感じることができれば、
人生は決して心配することはない

松下幸之助
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