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3077号 2022年7月25日

人生や仕事の満足度はどうやったら高まるのか? ー論文「成人キャリア成熟度尺度」の研究よりー

(本日のお話 2156字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は早朝から大学院メンバーと共に、
5キロの皇居ランニング。

その後、午後からは大学へ行き、
プロジェクト研究を進めておりました。

やることはまだまだありますが、
コツコツ進めていきたいと思います。



さて、本日のお話です。

「キャリア」について色々調べている中で、

”成人キャリア成熟尺度(ACMS)”

なるものに出会いました。

今日はその論文の内容の紹介とともに、
学びと気づきを、皆様にご紹介させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【人生や仕事の満足度はどうやったら高まるのか? ー論文「成人キャリア成熟度尺度」の研究よりー】

それでは、どうぞ。

■「人生の満足度」とか
「仕事の満足度」を満たすための要素は
実に幅広くあります。

・家族
・経済
・友人
・趣味
・健康

、、、などなど。

また人によって大事にしていることも
違いますし、一概には
コレということはできません。

しかしこと

「キャリア成熟」

という観点で見てみると、
面白い発見があると感じます。

■そんな中で出会った論文。

『成人キャリア成熟尺度の信頼性と妥当性の検討』
(坂柳恒夫,1999)

なるものがあります。

曰く

”キャリアの成熟とは、
「職業」という観点から
「人生・生涯」という視点にまで拡大している”
(Super,1986)

という潮流があるよね、なので、

「大人が自分のこれからの
人生や生き方、職業生活、余暇生活も含めて
どの程度成熟した考えを持っているのか。

そしてそれはそれぞれの満足度に
どのように影響しているのか」

を見てみようじゃあないか、として
行われた研究がこれです。

■さてこの研究は、
次のような方法で進められました。

以下、ざっくりとまとめます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『成人キャリア成熟尺度の信頼性と妥当性の検討』

<目的>

・大人が自分のこれからの人生や生き方、職業生活、余暇生活も含めて
どの程度成熟した考えを持っているのか。

そしてそれはそれぞれの満足度にどのように影響しているのかを
「成人キャリア成熟尺度」を作成することで検討する

<研究の方法>

◯「成人のキャリア成熟尺度」を作る

1、人生キャリア成熟(主に、人生や生き方への取り組み姿勢)
2,職業キャリア成熟(主に、職業生活への取り組み姿勢)
3,余暇キャリア成熟(主に、余暇生活への取り組み姿勢)

の3つ系列を設定した。

その上で、それぞれ

・関心性・・・自己のキャリアに対して積極的な関心を持っているか
・自律性・・・自己のキャリアへの取り組みが、自律的であるか
・計画性・・・自己のキャリアに対して、将来展望を持ち、計画的であるか

という態度特性を設定した。

◯調査を行う

・合計865名(男性756名、女性119名)を対象に実施。

・各キャリア成熟間の相関を調べる

・各キャリア成熟と満足度(人生・生き方の満足度、職業生活満足度、余暇生活満足度)
の関連性を調べる

<結果わかったこと>

1)「人生・生き方の満足度」と
各キャリア成熟度が高い傾向がある。

(=「人生・生き方に満足している人」は
人生・生き方においても、職業においても、余暇生活についても
関心があり、計画性を持ち、自律的に動いている)

2)「人生・生き方の満足度」と
「職業キャリア成熟尺度」との間には、明確な関連がある
「余暇キャリア成熟尺度」との間には、ゆるやかな相関がある

(=「人生・生き方に満足している人」は
特に「職業」において関心があり、計画性があり、自律的に動いている。

一方、「余暇」について関心があり、計画性があり、自律的でも
人生・生き方の満足度とは”ゆるやかな相関”である)

3)「各満足度」と「各キャリアの成熟度」の関係を見ると、
全て有意なプラスの相関が見られた

(=人生/職業/余暇においても
関心があり、計画性があり、自分で動いていると
それぞれ満足度が高くなる)

※坂柳恒夫(1999)『成人キャリア成熟尺度の信頼性と妥当性の検討』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

■さて、いかがでしょうか。

これを見て思ったのが、
やっぱり当然と言えば当然ですが、

「人生についても、職業についても、余暇についても、

”関心”があって、
”計画”を持って、
”自律的”に動いていると

満足度が上がる」

ということでした。

すなわち、比喩的に言えば、

”自分でオールを漕いでいる感”

があると人生も、職業も、余暇も
満足度が高めようです。

当たり前っちゃ当たり前です。

でも、意外とあるのかもしれないのが

それぞれ自分で関心を持たず、
流れる水に浮かぶ木の葉のように
生き方や、仕事、余暇の過ごし方をしてしまう、、、

みたいなことです。

でも、これをやると
「満足度はあまり高くならない」と言えそう。

(私も余暇の過ごし方、走ってばかりなので
もうちょっと選択肢を考えたら
もっと満足度高められそうな気がします・・・汗)

■個人的に着目したいのが
いずれの領域においても

・◯◯(これからの人生に/職業に/余暇生活に)
大変関心を持っている(関心性)

・△△(人生の/職業の/余暇生活の)の送り方には、
自分で責任を持つ(計画性)

・XXに(人生/職業/余暇生活)について、
自分なりの目標を持っている(自律性)



”自分自身で言えるかどうかが
満足度に関わる”

という観点は、各種満足度を高める
「態度」として大事にすべきことだと学ばされる気もします。

■また、

「人生・生き方の満足度」と
「職業キャリア成熟度」の関連性についても
興味深いです。

特にこの調査は、1995年に行われ
865名中、成人男性が756名と
90%近くが「成人男性」でした。

偏った対象と、
少し前の時代背景ゆえに、

「職業キャリア成熟度」が
「人生・生き方満足度」に影響を与えた、
とも考えられなくはありません。

もしかしたら、今は
「余暇生活」のほうが「人生・生き方満足度」に
大きな影響を与えている、、、

なんてことも大いにありそうです。

■いずれにせよ、

この調査がされた20年以上前より、

キャリアについてもより人生全般となり、
かつ仕組みも、特定の職業、組織に限定しないものに
ますますなりつつあるとも感じます。

その中で、自分自身が

人生・職業・余暇全般ついて
「関心」と「計画」と「自律性」を持つことは
満足度を高めることは、

きっと今でもさほど変わらないのでは、
とも思います。

ゆえに、そうしていくために
学ぶこと、成長することを継続することで
自分のオールを握り続けられるようにいたい

そんなことを思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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