人生や仕事の満足度はどうやったら高まるのか? ー論文「成人キャリア成熟度尺度」の研究よりー
(本日のお話 2156字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は早朝から大学院メンバーと共に、
5キロの皇居ランニング。
その後、午後からは大学へ行き、
プロジェクト研究を進めておりました。
やることはまだまだありますが、
コツコツ進めていきたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
「キャリア」について色々調べている中で、
”成人キャリア成熟尺度(ACMS)”
なるものに出会いました。
今日はその論文の内容の紹介とともに、
学びと気づきを、皆様にご紹介させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【人生や仕事の満足度はどうやったら高まるのか? ー論文「成人キャリア成熟度尺度」の研究よりー】
それでは、どうぞ。
■「人生の満足度」とか
「仕事の満足度」を満たすための要素は
実に幅広くあります。
・家族
・経済
・友人
・趣味
・健康
、、、などなど。
また人によって大事にしていることも
違いますし、一概には
コレということはできません。
しかしこと
「キャリア成熟」
という観点で見てみると、
面白い発見があると感じます。
■そんな中で出会った論文。
『成人キャリア成熟尺度の信頼性と妥当性の検討』
(坂柳恒夫,1999)
なるものがあります。
曰く
”キャリアの成熟とは、
「職業」という観点から
「人生・生涯」という視点にまで拡大している”
(Super,1986)
という潮流があるよね、なので、
「大人が自分のこれからの
人生や生き方、職業生活、余暇生活も含めて
どの程度成熟した考えを持っているのか。
そしてそれはそれぞれの満足度に
どのように影響しているのか」
を見てみようじゃあないか、として
行われた研究がこれです。
■さてこの研究は、
次のような方法で進められました。
以下、ざっくりとまとめます。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『成人キャリア成熟尺度の信頼性と妥当性の検討』
<目的>
・大人が自分のこれからの人生や生き方、職業生活、余暇生活も含めて
どの程度成熟した考えを持っているのか。
そしてそれはそれぞれの満足度にどのように影響しているのかを
「成人キャリア成熟尺度」を作成することで検討する
<研究の方法>
◯「成人のキャリア成熟尺度」を作る
1、人生キャリア成熟(主に、人生や生き方への取り組み姿勢)
2,職業キャリア成熟(主に、職業生活への取り組み姿勢)
3,余暇キャリア成熟(主に、余暇生活への取り組み姿勢)
の3つ系列を設定した。
その上で、それぞれ
・関心性・・・自己のキャリアに対して積極的な関心を持っているか
・自律性・・・自己のキャリアへの取り組みが、自律的であるか
・計画性・・・自己のキャリアに対して、将来展望を持ち、計画的であるか
という態度特性を設定した。
◯調査を行う
・合計865名(男性756名、女性119名)を対象に実施。
・各キャリア成熟間の相関を調べる
・各キャリア成熟と満足度(人生・生き方の満足度、職業生活満足度、余暇生活満足度)
の関連性を調べる
<結果わかったこと>
1)「人生・生き方の満足度」と
各キャリア成熟度が高い傾向がある。
(=「人生・生き方に満足している人」は
人生・生き方においても、職業においても、余暇生活についても
関心があり、計画性を持ち、自律的に動いている)
2)「人生・生き方の満足度」と
「職業キャリア成熟尺度」との間には、明確な関連がある
「余暇キャリア成熟尺度」との間には、ゆるやかな相関がある
(=「人生・生き方に満足している人」は
特に「職業」において関心があり、計画性があり、自律的に動いている。
一方、「余暇」について関心があり、計画性があり、自律的でも
人生・生き方の満足度とは”ゆるやかな相関”である)
3)「各満足度」と「各キャリアの成熟度」の関係を見ると、
全て有意なプラスの相関が見られた
(=人生/職業/余暇においても
関心があり、計画性があり、自分で動いていると
それぞれ満足度が高くなる)
※坂柳恒夫(1999)『成人キャリア成熟尺度の信頼性と妥当性の検討』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■さて、いかがでしょうか。
これを見て思ったのが、
やっぱり当然と言えば当然ですが、
「人生についても、職業についても、余暇についても、
”関心”があって、
”計画”を持って、
”自律的”に動いていると
満足度が上がる」
ということでした。
すなわち、比喩的に言えば、
”自分でオールを漕いでいる感”
があると人生も、職業も、余暇も
満足度が高めようです。
当たり前っちゃ当たり前です。
でも、意外とあるのかもしれないのが
それぞれ自分で関心を持たず、
流れる水に浮かぶ木の葉のように
生き方や、仕事、余暇の過ごし方をしてしまう、、、
みたいなことです。
でも、これをやると
「満足度はあまり高くならない」と言えそう。
(私も余暇の過ごし方、走ってばかりなので
もうちょっと選択肢を考えたら
もっと満足度高められそうな気がします・・・汗)
■個人的に着目したいのが
いずれの領域においても
・◯◯(これからの人生に/職業に/余暇生活に)
大変関心を持っている(関心性)
・△△(人生の/職業の/余暇生活の)の送り方には、
自分で責任を持つ(計画性)
・XXに(人生/職業/余暇生活)について、
自分なりの目標を持っている(自律性)
と
”自分自身で言えるかどうかが
満足度に関わる”
という観点は、各種満足度を高める
「態度」として大事にすべきことだと学ばされる気もします。
■また、
「人生・生き方の満足度」と
「職業キャリア成熟度」の関連性についても
興味深いです。
特にこの調査は、1995年に行われ
865名中、成人男性が756名と
90%近くが「成人男性」でした。
偏った対象と、
少し前の時代背景ゆえに、
「職業キャリア成熟度」が
「人生・生き方満足度」に影響を与えた、
とも考えられなくはありません。
もしかしたら、今は
「余暇生活」のほうが「人生・生き方満足度」に
大きな影響を与えている、、、
なんてことも大いにありそうです。
■いずれにせよ、
この調査がされた20年以上前より、
キャリアについてもより人生全般となり、
かつ仕組みも、特定の職業、組織に限定しないものに
ますますなりつつあるとも感じます。
その中で、自分自身が
人生・職業・余暇全般ついて
「関心」と「計画」と「自律性」を持つことは
満足度を高めることは、
きっと今でもさほど変わらないのでは、
とも思います。
ゆえに、そうしていくために
学ぶこと、成長することを継続することで
自分のオールを握り続けられるようにいたい
そんなことを思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
==========================