「職場での詰める行為」はやっぱりよくない ~職場不作法の研究でわかったこと~
(本日のお話 2354字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は3件の個別コーチング。
3件のミーティングでした。
また夜は10キロのランニング。
*
さて、本日のお話です。
先日、大学院の仲間がとある記事をツイートしており、
その内容が非常に共感するものでした。
内容は
「職場不作法のデメリット」
(=職場で詰める行為のこと)
について。
できるだけ多くの方に知っていただきたい!
と思う内容でしたので
本日はそのお話について
学びと気づきをお伝えできればと思います。
それでは早速まいりましょう。
タイトルは、
【「職場での詰める行為」はやっぱりよくない ~職場不作法の研究でわかったこと~】
それでは、どうぞ。
■1ヶ月ほど前の話です。
平日の午前中に時間ができたので
とある美容室に、髪を切りにいきました。
平日なので美容室は
とても空いています。
*
そんな中、シャンプーをされていると、
なにやら受付の方で声が聞こえます。
やや、感情的なも声です。
「、、、だからさあ、
なんでそんなことしたわけ?」
「失礼にもほどがあるよ!」
「ありえないよ(ハア)」
、、、
部分的にしか
声は聞こえてこないものの、
どうやら美容室のオーナーが、
新人の美容師に叱責しているようす。
シャンプーをしてくれている美容師さんの手が、
一瞬ゆっくりになったように心なしか感じます。
同時に自分もそのような
感情的に怒られる/叱られるような場面は苦手で、
首に若干の力が入ったような気がしました。
■終わった後、
担当してくれるの美容師さんが、
「すみませんでした。
先程のシャンプーのとき、
聞こえちゃっていたかな、、と思います。」
と、お詫びの声かけがありました。
「いえ、職場だとまあ、
そういうこともあるのでしょうね」
、、、まあ、そういうことあるな、
と思いつつも、ちょっと揺らいだ心を思いつつ
お話を聞いていて、少しその話題に突っ込んでみると
「美容業界あるあるの話なんですよね」
と担当の美容師さんはされていました。
曰く、美容師は職人の世界なので
・自分の頃はもっとひどかった(あるある)
・詰めに詰められまくって心が折れていた
・ちなみにまだ自分の美容室は良い方である
・美容業界は、厳しく叱る、という文化は当然で、新人は必ずその道を通る。
・美容学校同期の人も結構それで辞めてしまった(特に優秀な人ほど)
などなど。
やっぱりどの世界でも
こういうのはあるんだな、、、
そんなことを思った記憶があります。
(そういえば、私も新卒で飲食店で働いていたとき
上司にスネを蹴られたり、おしぼりを投げつけられたりしていました。
今では完全にアウトですね、、、)
■さて、そんな日常に潜む
「職場におけるあるある
詰めるシーン」
をご紹介させていただきました。
皆様の職場にも
似たような光景があるのかも知れません。
ちなみに、弁護するわけではないですが、
オーナーさんは、おそらく悪気があってやっているのではなく
その新人美容師の方を思ってやっていたのだと推察します。
■、、、とはいえ、このような行為が
職場にどのような影響を与えるのか?
このことについて
「職場不作法」(=職場での詰める行為)
と呼ばれる研究でわかっていることががあります。
*
まず、職場不作法とは
「パワハラまではいかないけど、
受ける側は傷つくという行為」
です。
例えば、上記のオーナーの
「失礼にもほどがあるよ!」
「ありえないよ(ハア)」
という言い回しは、
人によってはそこまで言わなくてもいいのに、、、
と受ける側が傷つく棘のある言葉かと思われます。
勢いでいってしまった
「ふざけるなよ!」「バカヤロウ!」とかもそう。
そういったものが「職場不作法」です。
それによって受ける側は、悲しみや怒りを感じ、
精神的にしんどくなったりします。
そして、世界中の平均60-80%の人が、
30日以内に職場不作法を経験しているそうです。
■ちなみに、この「職場不作法」は
本人に負の感情を生み出すことはもとより、
周りのパフォーマンスにも影響があるようです。
*
Prath&Erez(2009)の研究で
このようなものがあります。
被験者たちに、
「ブロックや文字を使った
”仕事パフォーマンス”や”創造性”の実験をします」
ということで集まってもらいます。
そこで、実験群・対照群に対して、
ひとりサクラを混ぜます。
そのサクラは、わざと
集合時間に遅れて到着します。
*
対照群では
「もう始まっていますけど、参加しますか?
それとも辞退しますか?」
という普通な感じで対応をします。
一方、実験群では
「もう始まっていますので、辞退という手続きをとります。
そもそも時間に遅れてくるというのはどういうことか。
あなたの時間感覚はどうなっているのか?!」
と詰め寄る場面を作ります。
その場面を、他の参加者達は見ています。
つまり、「職場不作法」を目撃している状態です。
■そして、その状態で
ブロックや文字を使った
”仕事パフォーマンス”や”創造性”の実験を行います。
、、、すると、結果どうなったか。
対照群(遅れた人に自然に対応する)と
実験群(遅れた人を皆の前で詰める=職場不作法を目撃)
で比較したところ、
「職場不作法を目撃した実験群は、対照群と比べて
仕事のパフォーマンスにおいても、創造性においても、
課題成績が明確に低下した」
となりました。
※詳しくはこちら ↓↓
参考:職場での「詰める」行為は、周りの人の生産性・創造性も下げる
「職場不作法」の悪循環を断ち切る、対策のポイント
https://logmi.jp/business/articles/326849
■なるほど、、、。
「職場の詰める行為」は
本人だけでなく、周りのパフォーマンスをも下げるのか。
自分が20代の若かりし頃、
仕事が雑すぎて、上司によく皆の前で詰められていたことを思い出し、
このことで、周りの後輩の生産性も下げていたのだな、、、
と遠い目で思い起こしておりました(汗)
■こうした実験結果を知っているだけでも、
「職場内で詰める」
ことに対する認識が変わるのでは、
と思います。
当然ながら本人にとっても、
悲しみや怒りを生み出してしまうし、
それだけではなく、
周りの人にもネガティブな影響がある、
という理解に繋がるとしたら。
本人は悪気があるわけではなく
「良かれ」と思ってやっていることもあるなら、
無意識で周りにネガティブな影響を与えている行動を
修正することにも繋がりそうです。
ゆえに、管理職の皆様には、
ぜひご共有させていただきたい、と思った次第。
■時代が変わった、といえばそうですが、
やっぱり「詰め」はしんどいものです。。。
美容室のオーナーさんにも
そっとこのことをお伝えしたい、
などと思った次第です。
(なんと伝えればよいか迷いますが)
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
怒りは他人にとって有害であるが、
憤怒にかられている当人にはもっと有害である。
レフ・トルストイ
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