メールマガジン バックナンバー

3087号 2022年8月4日

「職場での詰める行為」はやっぱりよくない ~職場不作法の研究でわかったこと~

(本日のお話 2354字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は3件の個別コーチング。
3件のミーティングでした。
また夜は10キロのランニング。



さて、本日のお話です。

先日、大学院の仲間がとある記事をツイートしており、
その内容が非常に共感するものでした。

内容は

「職場不作法のデメリット」
(=職場で詰める行為のこと)

について。

できるだけ多くの方に知っていただきたい!
と思う内容でしたので

本日はそのお話について
学びと気づきをお伝えできればと思います。

それでは早速まいりましょう。

タイトルは、

【「職場での詰める行為」はやっぱりよくない  ~職場不作法の研究でわかったこと~】

それでは、どうぞ。

■1ヶ月ほど前の話です。

平日の午前中に時間ができたので
とある美容室に、髪を切りにいきました。

平日なので美容室は
とても空いています。



そんな中、シャンプーをされていると、
なにやら受付の方で声が聞こえます。

やや、感情的なも声です。

「、、、だからさあ、
なんでそんなことしたわけ?」

「失礼にもほどがあるよ!」

「ありえないよ(ハア)」

、、、

部分的にしか
声は聞こえてこないものの、

どうやら美容室のオーナーが、
新人の美容師に叱責しているようす。

シャンプーをしてくれている美容師さんの手が、
一瞬ゆっくりになったように心なしか感じます。

同時に自分もそのような
感情的に怒られる/叱られるような場面は苦手で、
首に若干の力が入ったような気がしました。

■終わった後、
担当してくれるの美容師さんが、

「すみませんでした。
先程のシャンプーのとき、
聞こえちゃっていたかな、、と思います。」

と、お詫びの声かけがありました。

「いえ、職場だとまあ、
そういうこともあるのでしょうね」

、、、まあ、そういうことあるな、

と思いつつも、ちょっと揺らいだ心を思いつつ
お話を聞いていて、少しその話題に突っ込んでみると

「美容業界あるあるの話なんですよね」

と担当の美容師さんはされていました。

曰く、美容師は職人の世界なので

・自分の頃はもっとひどかった(あるある)
・詰めに詰められまくって心が折れていた
・ちなみにまだ自分の美容室は良い方である
・美容業界は、厳しく叱る、という文化は当然で、新人は必ずその道を通る。
・美容学校同期の人も結構それで辞めてしまった(特に優秀な人ほど)

などなど。

やっぱりどの世界でも
こういうのはあるんだな、、、
そんなことを思った記憶があります。

(そういえば、私も新卒で飲食店で働いていたとき
上司にスネを蹴られたり、おしぼりを投げつけられたりしていました。
今では完全にアウトですね、、、)

■さて、そんな日常に潜む

「職場におけるあるある
詰めるシーン」

をご紹介させていただきました。

皆様の職場にも
似たような光景があるのかも知れません。

ちなみに、弁護するわけではないですが、
オーナーさんは、おそらく悪気があってやっているのではなく
その新人美容師の方を思ってやっていたのだと推察します。

■、、、とはいえ、このような行為が
職場にどのような影響を与えるのか?

このことについて

「職場不作法」(=職場での詰める行為)

と呼ばれる研究でわかっていることががあります。



まず、職場不作法とは

「パワハラまではいかないけど、
受ける側は傷つくという行為」

です。

例えば、上記のオーナーの

「失礼にもほどがあるよ!」
「ありえないよ(ハア)」
という言い回しは、

人によってはそこまで言わなくてもいいのに、、、
と受ける側が傷つく棘のある言葉かと思われます。

勢いでいってしまった
「ふざけるなよ!」「バカヤロウ!」とかもそう。

そういったものが「職場不作法」です。

それによって受ける側は、悲しみや怒りを感じ、
精神的にしんどくなったりします。

そして、世界中の平均60-80%の人が、
30日以内に職場不作法を経験しているそうです。

■ちなみに、この「職場不作法」は

本人に負の感情を生み出すことはもとより、
周りのパフォーマンスにも影響があるようです。



Prath&Erez(2009)の研究で
このようなものがあります。

被験者たちに、

「ブロックや文字を使った
”仕事パフォーマンス”や”創造性”の実験をします」

ということで集まってもらいます。

そこで、実験群・対照群に対して、
ひとりサクラを混ぜます。

そのサクラは、わざと
集合時間に遅れて到着します。



対照群では
「もう始まっていますけど、参加しますか?
それとも辞退しますか?」
という普通な感じで対応をします。

一方、実験群では
「もう始まっていますので、辞退という手続きをとります。
そもそも時間に遅れてくるというのはどういうことか。
あなたの時間感覚はどうなっているのか?!」
と詰め寄る場面を作ります。

その場面を、他の参加者達は見ています。

つまり、「職場不作法」を目撃している状態です。

■そして、その状態で

ブロックや文字を使った
”仕事パフォーマンス”や”創造性”の実験を行います。

、、、すると、結果どうなったか。

対照群(遅れた人に自然に対応する)と
実験群(遅れた人を皆の前で詰める=職場不作法を目撃)
で比較したところ、

「職場不作法を目撃した実験群は、対照群と比べて
仕事のパフォーマンスにおいても、創造性においても、
課題成績が明確に低下した」

となりました。

※詳しくはこちら ↓↓
参考:職場での「詰める」行為は、周りの人の生産性・創造性も下げる
「職場不作法」の悪循環を断ち切る、対策のポイント
https://logmi.jp/business/articles/326849

■なるほど、、、。

「職場の詰める行為」は
本人だけでなく、周りのパフォーマンスをも下げるのか。

自分が20代の若かりし頃、
仕事が雑すぎて、上司によく皆の前で詰められていたことを思い出し、
このことで、周りの後輩の生産性も下げていたのだな、、、

と遠い目で思い起こしておりました(汗)

■こうした実験結果を知っているだけでも、

「職場内で詰める」
ことに対する認識が変わるのでは、
と思います。

当然ながら本人にとっても、
悲しみや怒りを生み出してしまうし、

それだけではなく、
周りの人にもネガティブな影響がある、

という理解に繋がるとしたら。

本人は悪気があるわけではなく
「良かれ」と思ってやっていることもあるなら、

無意識で周りにネガティブな影響を与えている行動を
修正することにも繋がりそうです。

ゆえに、管理職の皆様には、
ぜひご共有させていただきたい、と思った次第。

■時代が変わった、といえばそうですが、
やっぱり「詰め」はしんどいものです。。。

美容室のオーナーさんにも
そっとこのことをお伝えしたい、

などと思った次第です。
(なんと伝えればよいか迷いますが)

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

==========================
<本日の名言>

怒りは他人にとって有害であるが、
憤怒にかられている当人にはもっと有害である。

レフ・トルストイ

==========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す