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3095号 2022年8月12日

「LMX理論」とは何か(前編) ー関係性に注目するリーダーシップー

(本日のお話 2052字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は大学院の集中講義の
「リーダーシップの理論」の最終日でした。



さて、早速ですが本日のお話です。

今日もリーダーシップ理論の中から一つ、
有名な理論をご紹介させていただきたいと思います。

それが『LMX理論』なるものです。

正式には、

リーダー・メンバー交換理論
(Leader Member Exchange theory)

といいます。

これまた、言われたらそうだよなあ、、、と思う話。
ただ、言葉にすると、改めてその大切さに意識を向けることが
出来るお話でもあると思います。

ということで、今日明日で、
この理論について皆さまと学びを
深めていければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【「LMX理論」とは何か(前編) ー関係性に注目するリーダーシップー】

それでは、どうぞ。

■「LMX」と聞くと

T-REX(恐竜)
TX(つくばエクスプレス)

なんだか強くて速そうだな、、、

くらいな感想しか
当初持たなかった私ではありますが、

実際にこの理論を学んで、
「実に大事な考え方だな」と
たいへん勉強になっております。

■ちなみに、この

”リーダー・メンバー交換理論”(略してLMX)、

一言で言えば、

”リーダーとフォロワーの関係性に注目した
リーダーシップ理論”

でございます。



これ、当時実に新しい考えで
それはで多くのリーダーシップのアプローチは

・リーダーシップの資質やスキル、行動に焦点を当てたり

・リーダーの置かれた状況に焦点を与えたり
(SL理論、パスゴール理論等)

してきました。

ただ、このLMXでは、

「リーダーとフォロワーの相互関係(=交換関係)で
その影響も、得られる成果も違うんでないかい?」

という視点を当てたところに、
この理論の独自性、価値があると言われています。

■確かに、言われてみればそうです。

リーダーとフォロワーが
「高い交換関係」を築けていれば、

リーダーはフォロワーに報酬だけでなく、
信頼や注目、尊敬などを”交換”し、

フォロワーはリーダーに業務遂行だけでなく
同じく信頼、忠誠、コミットなどを”交換”する。

そして、より望ましい成果が生まれるイメージがありそう。



一方、

リーダーとフォロワーが
「低い交換関係」だったらどうか。

リーダーはフォロワーに
仕事として報酬は”交換”するけれど
信頼や尊敬などは交換しない。

フォロワーはリーダーに
仕事として業務遂行は”交換”するけれど
忠誠や尊敬などは交換しない、

すると、仕事上最低限のやり取りはするけど
さらなる成果は期待できない、

というイメージに近いのではないでしょうか。

(実際の職場を見ても、
なんとなくわかる気がします)

■このLMX理論ですが、

初期のLMXの研究では

”イン・グループ(内集団)と
アウト・グループ(外集団)で
それぞれ交換されるものが違う”

ということが明らかにされました。

ちなみに、「イン・グループ」、
「アウト・グループ」が何かというと、

・「イン・グループ」=
リーダーとフォロワーが
相互の信頼感、敬意、きずなで結びついた関係を構築している

ことに対して、

・「アウト・グループ」=
リーダーとフォロワーの間には
仕事上必要な最低限の交換関係が成立している

という違いです。

■そして、”交換されるものの違い”として

イン・グループでは
より多くの情報、信頼、関心が交換され

対して、
アウト・グループでは
仕事上必要最低限の情報が交換される、

と指摘しました。

■そして、後期の研究では

LMXによる影響は

・フォロワーに対する
業績評価・昇進頻度・仕事のアサイン
リーダーからのサポートに違い

・組織に対する
離職率、組織コミットメント、職務満足
組織市民行動に違い

があることがわかりました。

■つまり、

”リーダーもフォロワーも人であり
関係がよいリーダーとフォロワーの間には、
より多くのものが交換される”

という現象は、至極自然なことであり
それを、LMX理論という言葉で理論化した、

といえます。



しかしながら、つまりイングループとアウトグループで
「(交換されるものに)差がある」わけであり、

見方によっては、

「イン・グループの人、
えこひいきされてるよね、、、」

という言葉にならぬ思いが
アウトグループの中に生まれる可能性もありそうです。

■誰かと関係を濃くするということは、
逆に誰かとの関係が相対的に薄くする、
と言い換えることもできます。

イン・グループに入っているフォロワーは、
特別感を感じられて、ポジティブな感情を持つかもしれませんが、
一方、自分はアウト・グループだ、と
感じたフォロワーは疎外された感覚を持つかもしれません。

■もちろん、

全員と全く平等に接する、
ということは現実難しいでしょうし、

グループとしてまとまった時の
横の関係性、斜めの関係性などの影響を
このLMX理論は説明することはできません。

ただし、

この「LMX理論」という存在を、
リーダー自身が知ることは、

関係性が織りなす影響を
マネジメントに加味する上でも、
そしてあらぬ誤解を生まぬためにも、

またイン・グループ、アウト・グループという概念や
LMX理論による交換されているものの多寡を認知することで

自身のより効果的なマネジメント行動に
つなげる一助になる、

とも思えます。

■、、、ということで、
LMX理論の説明でした。

明日は、このLMXを築く際のプロセスで

「感情的なやりとり」

が重要な役割を果たすと言われています。

ということで、明日も引き続き
その内容を紹介してまいりたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

君子の交わりは淡きこと水のごとし。
小人の交わりは甘きこと醴(あまざけ)のごとし。

莊子
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