サビカスのキャリア・カウンセリング理論(後編)ーライフ・ストーリーを見つける5つの質問ー
(本日のお話 3456字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
今日で「3100号」になりました!(自分にパチパチパチ)
3000号に行ったのが昨日の話のようで、
かつその進捗はなかなか実感しづらいですが、
薄い和紙のように少しずつ自分に積み上がっているはず。
また昨日は2件のアポイント。
その他研修プログラムの作成
夜は12キロのランニングでした。
*
さて、本日のお話です。
昨日、
「サビカスのキャリア・カウンセリング理論(前編)ー3つのキャリア支援ー」
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4269284/
として、3つのキャリア支援の考え方について
お伝えいたしました。
特にその中で、
<キャリア・カウンセリング>は、
・クライエントを”著作者”として捉え、
彼らをその”自伝的ストーリー”によって特徴づけ、
クライエントが”キャリアを構築”していく時に支柱となる
”ライフ・テーマ”について内省するのを支援する
という手法と述べました。
そしてこの考えは、
一人ひとりがキャリアについても創造し
好きな場所に歩いていけうる今の時代にマッチした考えではなかろうか、
というお話もお伝えさせていただきました。
*
そして本日は引き続き、後半として、
「キャリア・カウンセリング」をテーマにより具体的な手法に踏み込んで、
お伝えさせていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【サビカスのキャリア・カウンセリング理論(後編)ーライフ・ストーリーを見つける5つの質問ー】
それでは、どうぞ。
■キャリア・カウンセリングにおける
大きなポイントの一つが、
『自分の”ライフ・テーマ”を元に、
キャリアを構築していく』
こととされています。
”キャリア”とは、職業人生全般を表す、
広い意味を持ちます。
お金を稼ぐ”という経済的な意味も
もちろんその中に含まれますが、
働くとはそれだけではないはず。
それ以外にも、
・人と繋がる、
・社会と繋がる
・自らの能力を磨く
・会社のビジョンに共感し、組織に貢献する
・人や社会への貢献を果たす
などなどの様々な意味を持っています。
働く上で感じる意味は人それぞれであり、
この意味が絶対的に正解、というものはありませんが、
キャリアには様々な意味が含まれている、
という点は強調しておきたいと思います。
■そして、その中で、
キャリア・カウンセリングでは
大切な”意味”として
『ライフ・テーマ』
というキーワードとして挙げています。
ライフ・テーマとは
”人が最優先で解決したい一連の問題や
人が解決を遂げるために見出す手段”
と定義されています。
(Csikszentmihalyi and Beatie,1979)
■「なんのこっちゃ、、、?」
と思いそうな定義ですが、
敢えてわかりやすく例えるならば、
「テーマ=一つの交響曲」
のようなものだと思います。
更に「??」が浮かんでいそうなので、
解説をいたしますと、
交響曲にも色々な楽器やパートがあり、
激しいところもあれば、優しいところもあり
悲しいところもあれば、楽しいところもあります。
ただ、そこには全体を織りなす「テーマ」があります。
それは「挑戦」なのか「愛」なのか
「貢献」なのか「受容」なのか、、、
そのテーマがその交響曲全体を一つの絡み合う糸のように
紡ぎ合わせています。
■そのようなイメージの
「(ライフ)テーマ」が人それぞれにある。
それぞれのテーマには
中心的な課題が存在していて
かつそれは人と違った、
その人独自のものになります。
そのテーマに紐づいた
”人の最優先で解決したい一連の問題”と
解決方法としての手段”
それがまさにライフ・テーマかと思います。
(と、私は理解しています)
■つまり、
”一つの映画作品のように設定されたライフテーマと、
それに取り組むことがキャリア”
そして、それを構築していこう、というのが
キャリア構築理論、そしてそれを形にする支援としての
キャリアカウンセリングとなります。
■としたときに、
ここで疑問が湧いてきます。
「そんな壮大なライフテーマ、
どうやって見つけるのだろうか?」
と。
*
そこでご紹介したいのが、
キャリアカウンセリングの中心的な技法である
『ライフ・ストーリーを見つける5つの質問』
(キャリアストーリー・インタビュー)
でございます。
著者のサビカス博士曰く
”キャリアストーリー・インタビューは
30年にわたる実践を通じて進化させてきた、
刺激となる質問によって構成されている。
私は、長い時間をかけて試行錯誤を繰り返し、
最大限の効果を上げる質問を確立した。”
とのこと。
思わず、期待が高まります。
■では、どんな項目なのでしょうか。
以下、簡単にまとめます。
(ここから)
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【キャリアカウンセリングにおける、キャリアインタビューの5つの質問と狙い】
<質問1:ロールモデル>
◯問い:
「あなたは、子供の頃成長する過程でどのような人に憧れ、尊敬していましたか?
その人について話して下さい」
◯狙い:
・クライアントにいきなり自己概念を直接言葉にするように求めても、あまり効果がない。
憧れていた人物に自身を具象化させることを通じて、自己概念を表現してもらうことが狙い。
・3人の名前を挙げてもらう。そしてその人がどんな人かを説明してもらう。
・ロールモデルの”どんなところに憧れていたのか”を見つめることにより自分自身の姿が見えるようになる。
**
<質問2:雑誌>
◯問い:
「定期的に読んでいる雑誌や、定期的に見ているテレビ番組はありますか?
それは何ですか? その雑誌や番組のどんなところが好きですか?」
◯狙い:
・”職業上の興味”について掘り下げることを狙いとしている。
興味とは個人の欲求と、社会的機会との間の心理社会的な緊張状態を意味する。
・興味があるものを測定する効果的な手法として「顕在化した興味」を評価することである。
好きな雑誌、テレビ番組、WEBサイトなどを聞くことで興味を評価し、将来を予測することができる。
**
<質問3:好きなストーリー>
◯問い:
「あなたの好きな本、映画は何ですか? そのストーリーを話してください」
◯狙い:
・クライアントは”人生台本(人生を形成するのに使っているストーリー)”がある。
人生台本を演じることにより、自己を具現化することについて質問する。
・好きなストーリーの中には、人生における中心的な問題と、どう対処するかを考えているかが明確に描かれている。
その話を聞き取ることで、クライアントの人生台本の解釈と、良いと思っている部分を理解する
**
<質問4:指針となる言葉>
◯問い:
「あなたの好きな格言や、指針となる言葉(モットー)を話してください」
◯狙い:
・”クライアントが自分自身に対して行う助言”について掘り下げる。
そのような言葉が見つからない場合は、励ましながら一緒に探す、あるいは作ってもらう。
・その言葉から彼/彼女ら自身がどう前進すべきかについて、直感的な理解を引き出す事ができる。
(例:危険を冒さなければ何も得られない、等)
**
<質問5:幼少期の思い出>
◯問い:
「あなたの幼少期の最初の思い出はなんですか?
3歳から6歳頃に、あるいは思い出せる限り早い時期に、
あなたに起きた出来事に関する3つの物語を話してください」
◯狙い:
・ここまでの質問をすることで、クライアントはカウンセラーを信頼するようになり、
根本的なストーリーを明らかにしても安全だと感じるようになる。
この一連の質問により、クライアントを個人的な囚われへと導くきっかけをもたらす。
・ライフ・ストーリーに包み込まれている中核となる場面を考えることで、クライアントの人生についての信念を知ろうとする質問である。
・幼少期の思い出と言う形で封じ込められているそれらのシーンに、カウンセラーはクライアントに人生の見方について視点を提示する。
・幼少期の思い出を3つ聞いたあとに、それぞれのストーリーに見出しをつけてもらう。
※引用:マーク・L・サビカス(2015)『サビカス キャリア・カウンセリング理論 <自己構成>によるライフデザインアプローチ』.福村出版
P79-93、P202-203
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(ここまで)
■さて、いかがでしょうか。
私の感想としては、
・好きな映画は?
・好きな雑誌は?
・憧れの人は?
という質問がキャリア系の研修で
行われることがありますが、
その内容や意図に、
こうした狙いがあることを初めて知ったところもあり
実に感銘を受けました。
(なんとなく質問してしまっていたところもあるな、
という個人的な反省も含め・・・(汗))
■その人が
・何に興味を持つのか、
・何を記憶しているのか
という質問は
その人が何に心震わせるのか、
何を大切にしていて、
何を課題と思い、何に取り組んでいきたいかという
その人の心の奥にある
根源的かつ柔らかい部分を探る質問である、
と思います。
そしてそれが、
「ライフ・ストーリー」
であり、それらに取り組むというスタンスが
キャリア・カウンセリングと思うと、
更なる奥行きを感じられるな、、、
そんなことを思った次第。
こうした知恵をまとめてくれていること、
そして誰もが使えるようにしてくれていることに
先人の方々に、感謝の念を覚えます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
なりたかった自分になるのに
遅すぎるということはない。
ジョージ・エリオット
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