「うちの会社、うちらのことよく考えてくれてるよね」こそ大事 ー”知覚された組織的支援(POS)”から学びー
(本日のお話 2156字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は研修プログラムの作成など。
また色々な評価項目を調べる中で
組織と個人の関係性を考える上で
とても大切な概念についてある論文を
大学院の同期の仲間から紹介してもらいました。
内容は、
”知覚された組織的支援”
(Perceived Organizational Support:以下POS)
というものです。
この概念の存在は知っていたものの、
あまり深掘りをすることがなかったのですが、
読み進める中で学びになることがままございましたので
今日はそのお話について皆さまにご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【「うちの会社、うちらのことよく考えてくれてるよね」こそ大事
ー”知覚された組織的支援(POS)”から学びー】
それでは、どうぞ。
■「知覚された組織的支援」。
(Perceived Organizational Support:以下POS)
このPOSという概念は1986年に提唱され、
”個人と組織との関係性を
理解するための理論的視座”
として注目されているそうです。
もう少し詳しく定義を見ると、
”組織による従業員への支援について、
彼/彼女らが抱く信念であり
個人と組織との関係性の質を表す概念”
(Liu,2009ほか)
とのこと。
■平たく言うと、
「うちの会社、うちらのこと、
よく考えてくれてるよねー」
と従業員がどれくらい思ってくれているか、ということ。
まるですれ違っている
恋人、夫婦、パートナーのように
「俺/私はこんなに尽くしているのに!!」
と思っても、それが伝わっていないと
結局相手にとってみたら、
愛情を注がれている(支援されている)
と認識されずに、関係性の質も向上しないもの。
■そしてこれは、
組織と個人(従業員)の間でも
やっぱり起こるものです。
経営や人事、上司が一生懸命、
従業員のことを考えてあれこれ施策をしても、
それが
「知覚された組織的支援(POS)」
とならなければ、乱暴な話、
空回りをしている、となるわけです。
■このPOSの概念により、
・業績
・離転職
・欠勤・遅刻
という重要な組織成果に影響を与える
「組織コミットメント」の要因を説明することが
できるようになった、といいます。
曰く、POSは
・組織コミットメントの分散の 50.4%
・職務満足の分散の 37.2%
を説明できることがわかったという
研究結果もあります。
(Riggle,Edmondson&Hansen,2009)
こう見てみると、POS、
めちゃくちゃ重要な概念だな、、、
と思わざるを得ません。。
■さて、ではこの
POSに影響を与える先行要因には
一体どのようなものがあるのでしょうか?
以下、論文よりまとめます。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【「知覚された組織的支援(POS)」に影響を与える先行要因】
1)公正性
・従業員に対して公正に対応しようとする組織の努力は
従業員は評価を受ける価値のある存在であるという考え方のみならず、
従業員の意見への配慮の現れであり、POSに影響を及ぼす。
2)組織内政治
・公正さと対立する概念である組織内政治もPOSの規定要因として注目されている。
組織内政治の知覚は公正性の知覚とは大きく矛盾する。
3)HR施策
・企業が提供するHR施策は従業員に対する企業の姿勢や態度を内包するため、
POSの従業な先行要因であることが指摘されている。
(例:研修・能力開発、昇進の機会など)
4)上司の支援
・上司が自分たちの貢献をどの程度評価し、
Well-beingにどの程度配慮してくれているかに関しても知覚する。
(これを「知覚された上司の支援(Perceived supervisor support: PSS)」と呼ぶ)
・上司は部下にとっての組織のエージェント(代表)であるため、上司の支援を組織の支援と捉えるようになる。
5)役割ストレッサー
・役割葛藤など役割ストレッサーがPOSへ負の影響を及ぼしていることが明らかになっている。
6)従業員特性
・パーソナリティや傾性的要因は、従業員が組織の対応を解釈する際に影響をする。
それはPOSに寄与するだけではなく、従業員の行動に繋がり、POSに作用していく。
(例:ポジティブ感情特性→開放的でフレンドリーな振る舞い→POSの向上につながる 等)
7)組織の規模
・大きな組織より小さな組織のほうが自分の価値をより実感しやすい。
組織の規模もPOSの先行要因の一つとして考えられている。
※引用:まとめ:Sato. 2014.”A Review of the Literature on Perceived Organizational Support: Theoretical Foundation, Antecedents, Consequences, and Measurement Scale.”
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■改めて、
POSに影響を与えるものは一つではなく、
いくつもの要因にまたがっていることが理解できます。
組織全体としての
直接的な「HR施策」も大事。
あるいは「上司からの支援」というのも
影響を与えるのも想像ができます。
でも、なんとなく感じられる
「公正性」や「組織内政治」などの組織文も
実はPOSに影響を与えていると思うと
やはり短期的な施策だけではなく、
中長期的な取り組み、目に見えない文化づくり、
そしてそれを反映させた組織のシステムづくりが
大事になってくるのだろうな、、、
と感じさせられます。
■いずれにせよ、
「組織コミットメント」という
非常に重要な成果に対する媒介変数に
影響を与えているPOS。
これを高めること、すなわち
「うちの会社、うちらのことよく考えているよねー」
(こんないい方はしないと思いますが)
と思ってもらうことは
組織にとってもポジティブな影響があることが
わかっています。
組織と個人、それぞれが
お互いに交換関係にある中で、
POSの概念は、組織の成功のための
とても大事な要素の一つだと学んだ次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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これはすべてのビジネスマンに言えることだ。
レイ・クロック
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