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3109号 2022年8月26日

キャリアに関心・好奇心がある中高年は幸せである ーミドルシニアのキャリアと幸福度に関する論文よりー

(本日のお話 2154字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は1件のアポイント。

また午後からは大学院の研究について
調べておりました。



さて、本日のお話です。

先日「ミドルシニアのキャリア」について
興味深い論文を、大学院の先輩から共有いただき、
読んでみました。

最近、人・組織に関するお仕事でも

ミドルシニア(40~60代)の方の活用
(モチベーション、パフォーマンス工場など)

を相談いただく機会が増えている中
その内容が興味深く、学びになるものでした。

今日はそのお話について、
皆様に学びと気づきをご共有させて
いただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【キャリアに関心・好奇心がある中高年は幸せである
ーミドルシニアのキャリアと幸福度に関する論文よりー】

それでは、どうぞ。

■”ミドルシニア”

という言葉、私がたまたま
その領域に関心があるからかもしれませんが、

なんだか最近
よく目にするような気がします。

ミドルシニアというと
ミドル?シニア?どっちやねんと
思いそうな曖昧な表現。

人材業界では

・ミドルシニア=40~60代

とされており

その中でも転職市場では

・ミドル=35~54歳
・シニア=55歳以上

とされているようです。

私も、ミドルです。

ナイスミドル!と言われるような
そんな人になりたいと、たまに思います。

■さて、

”ミドルシニア層”

にはなかなか
悩ましいことが待ち受けいるよう。

曰く、

・これまでの研究において
年齢別の主観的幸福度は中年期が最も低いと示されている
(その後、老年期では高まっていく)

と言われますし、

パーソル総合研究所の
ミドルシニアを対象とた研究でも

・仕事のパフォーマンスでも、
40~50代にかけて低下している

というデータもあったりします。



また、人事制度上も
役職定年制を導入している企業においては、

課長クラスは55歳前後
部長クラスでは57~58歳前後が
一般的な役職定年とされており

その50代役割の変化が
仕事のモチベーションにも影響を与えている、
と指摘されています。

(高齢・障害・求職者雇用促進機構,2016)

■まさに、ミドルシニアの憂鬱です。

あくまで一部のデータでありますし。
もちろん人にもよります。

ただ、こういった傾向というのは
世代の特徴としてあると考えられますし、

この点については、

自分は大丈夫、と
正常性バイアスに身を委ねるだけではなく

自分ができることは心理的にも物理的にも、
しっかりと準備をしておきたい

とも感じます。

■そしてその中で、
以下の論文と出会いました。

論文のタイトルは、

”Effect of Career Adaptability on Subjective Well-Being of Middle-Aged and Older Employees”
(中高年従業員の主観的幸福感に及ぼすキャリアアダプタビリティの影響)
高尾眞紀子、石山信孝(2021)

なるものです。

そう、

”ミドルシニアのキャリアと幸福感の関係”

について掘り下げた論文です。



この論文では、

40-64歳の中高年労働者 約3500人を対象として
アンケート調査を実施しました。

正社員だけではなく、定年再雇用者や
契約、嘱託、パートタイマーも調査対象です。

そして、独立変数を
「キャリア・アダプタビリティ(適応度)の尺度」(Career Adapt-Abilities Scale)

そして従属変数を
「生活満足度尺度」(Satisfaction with Life Scale)

として、重回帰分析を実施して、
その結果を分析しました。

■そして、調査結果として

キャリアアダプタビリティの24の項目を
因子分析を行った結果、

先行研究では4つの因子(関心・統制・好奇心・自信)
にわかれるとされていたところ

ミドルシニアを対象とした場合、
「2つの因子」に分かれることがわかりました。

1つ目が、「統制と自信」で

・自分の行動に責任を持つ
・自分にとって正しいことをする
・仕事を効率的に行う
・自分が持っている疑問を深く掘り下げる
・自分で決断する

等で構成されます。

2つ目が、「関心と好奇心」で、

・自分の能力を最大限に発揮する
・キャリアに不安がある
・新しいスキルを習得する
・自分自身を成長させる機会を求めている
・新しいチャンスに好奇心を持つ

等で構成されます。

ミドルシニアを対象にすると、

統制と自信群と
関心と好奇心群に

大きく分かれることがわかったのは
その世代に特徴を表しているようです。

■そして、この論文では
以下のことがわかりました。

1、キャリアアダプタビリティは
中高年就業者の主観的幸福感に正の影響を与える

2,キャリアアダプタビリティの
「関心と好奇心」は中高年就業者の主観的幸福感に性の影響を与えるが
「統制と自信」は有意な影響を与えない

とのこと。

(その他にもわかっていることがありますが、
ここでは割愛いたします)

つまり、ものすごく端的に言うと

”中高年の方も、
キャリアに関心と好奇心を持つことが
本人の幸福度に繋がる”

ということかと思います。

■しかし、この話、本当にそうだな、
と私も実感値として思うのです。

確かに、雇用形態が変わったり、
今後のキャリアの見通しが見えなくなると、
「キャリアへの不安」が高まります。

ただこれは、自分のキャリアに対する”関心”と
捉えることができますし、

私の周りの年上の友人・知人の方で
定年、退職を迎えた方も、

「どうなるかわからないけど、
自分のキャリアについて更に好奇心を持ち、
冒険し続けている人」

はものすごく楽しそうで、輝いている、

すなわち”幸せそう”であるように見えます。

■改めて

キャリアについて関心・好奇心を持ち続けることは
幸福度にとっても大事であることを教えてもらったという意味で、
刺激と勇気を頂いた論文でした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

我々は、自ら幸、不幸せをつくって、
これに運命なる名称をつける。

ロバート・ジョンソン
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