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3145号 2022年10月1日

「ポジティブ心理学」と「コーチング」のつながりを紐解く

(本日のお話 3008字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

キンモクセイの香りが、
近くを歩いていると公園から
強く感じられる季節になりました。

日も短くなって、秋、そして気づいたら
冬になっていくのだろうな、とじんわり感じる今日この頃。
1日1日大切に過ごしたいものです。



さて、本日のお話です。

大学院の研究、そしてお仕事でも
1on1、コーチングなどを探求しており、

加えてストレングス・ファインダーなど
「強み」に基づいたアプローチを使って
企業研修などもさせていただいています。

そんな”強み”そして
”コーチング”が立脚している学問領域が

「ポジティブ心理学」と「コーチング心理学」

とされています。

その2つの領域の世界の権威の方々が、
この概念や考え方を概観するための専門書が
日本語に翻訳されているのを発見しました。

それが非常に面白い(学びになる)と
感じております。

こんな書籍です。

『ポジティブ心理学コーチングの実践』
(スージー・グリーン&スタファン・パーマー/編、西垣悦代/監訳)




専門書ではありますが、
この領域(コーチングや強みなど)に
興味を持たれている方々にとって

有用な内容になるのだろう、
と感じておりますので、

今日はその本の中から
学びをご共有させていただければと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは

【「ポジティブ心理学」と「コーチング」のつながりを紐解く】

それでは、どうぞ。

■ポジティブ心理学という
学問分野があります。

約20年前から
進展してきているこの学問。

そのテーマは

・人生の満足度/幸福、
・動機づけ/達成
・楽観性
・組織における市民性/公平性

とされています。

キーワードは

”持続的な幸福”
(Flourish=繁栄)

とも言います。

■確かに、誰もが
「幸福になりたい」ものだと思います。

幸せか不幸せで言えば、
幸せのほうがいいと
大多数の方は答えると思われますし、

声を大にせずとも、
心のどこかでそれを願っているのでしょう。

■特に昨今は、

経済的な成功などの
”物質的な豊かさ”から、

人とのつながり、達成感、満足感など
”精神的な豊かさ”が大切にされている文脈もあり、

このようなポジティブ心理学の領域が、
ますます注目されているのかと。

■ちなみに、この領域、

”「ポジティブ心理学」という領域は
「コーチング心理学と」相補的であると定義”
(Green,2014)

されております。

どちらも少しずつ注目されていますが
このつながりを整理することで、

強みを通じたアプローチの目的や
コーチングのアプローチの目的が、
私自身改めて整理されたように思いました。

ということで、
上記ご紹介した著書より、
その内容についてまとめてみたいと思います。

以下、まとめでございます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【ポジティブ心理学コーチングの実践 まとめ
ー第1章 ポジティブ心理学コーチング より】

<(1)「ポジティブ心理学」と「応用ポジティブ心理学」の違い>

◯「ポジティブ心理学」の定義
”人を最適な機能に導く状況と過程に関する科学”
(Gable&Haidt,2005)

◯「応用ポジティブ心理学」の定義
”ポジティブ心理学の研究を実践へと適用する学問”

{ちょっと補足&解説}

・ポジティブ心理学は、”科学的な探求”の学問ですが、対して、
応用ポジティブ心理学は、”それをどのように活かすのか?”を
研究する学問として、区別されてきています。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

<(2)「ポジティブ心理学」と「コーチング心理学」の違い>

◯ポジティブ心理学の定義
・同上

◯コーチング心理学の定義
”コーチング文脈における行動科学のシステマティックな応用で、
個人、集団、及び組織における
人生経験、仕事のパフォーマンス、およびウェルビーイングの増進”
(Grant,2007a)

{ちょっと補足&解説}

・「コーチング心理学」の目的は3つあります。
1、人生経験の増進、
2、パフォーマンスの向上
3,ウェルビーイング(幸福)の増進 とあり
最後がポジティブ心理学と特に親和性が高いものです。

・そして、「コーチング心理学」は「応用ポジティブ心理学」であると定義付けられています。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

<(3)「応用ポジティブ心理介入」と「エビデンスベースドコーチング」の違い>

◯応用ポジティブ心理介入(PPIs)

・応用ポジティブ心理学の研究を活用した介入施策を
「応用ポジティブ心理介入(PPIs)と呼びます。
その定義は以下のように示されています

*「応用ポジティブ心理介入(PPIs)」の目的=『PERMA』の養成
Pleasure:喜び
Engagment:エンゲージメント
Relationship:関係性
Meaning:意味
Achivement:達成

◯エビデンスベースドコーチング(EBC)

・科学的な理論と研究に基づくものであることを明示されたコーチングのこと。
根拠に基づかない「普通のコーチング(coaching as usual)」とは一線を画す

・”コーチングをいかに伝えるかについて、
現時点における再考の知見が実践の専門家の判断に統合され
知的で良心的に用いられたもの”と定義される。(Grant&Stober,2006)

*「エビデンスベースドコーチング(EBC)」の目的=『目標達成』
個人にとって意味のある目標を設定し、繁栄することを奨励する

{ちょっと補足&解説}

・応用ポジティブ心理介入(PPIs)が、
「PERMA」と呼ばれる喜びやエンゲージメント、関係性等を
最終的な目的としており、その一部が「達成」と定義されている一方、

エビデンスベースドコーチング(EBC)は
目標達成を最終的な目的としているところに特徴があります。

EBCの観点からすれば、
コーチングを通じて目標達成をする道のりにウェルビーイングがあり、
PPIの観点から見れば
目標達成をすることによりウェルビーイングのプロセスの一部分が満たされる、
とも言えるかと思います。

※参考:『ポジティブ心理学コーチングの実践』P23-48
(スージー・グリーン&スタファン・パーマー/編、西垣悦代/監訳)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■さて、まとめてみましたが、いかがでしょうか。

この領域の厳密な分け方も、
まさに専門書、という感じで

場合によっては「だからなに?」と
ツッコミたくなるかもしません。

しかし、
このように分けて考えることは
理解を深めてくれると感じます。

例えば、

・普通のコーチング(coaching as usual)
・エビデンスベースドコーチング(Evidenced based coaching)

などもそう。

同じコーチング、といっても

「定義の仕方の厳密性は、
行動や考え方の裏にあるものの深さと広さ」

に現れます。

「普通のコーチング」なのか、
(傾聴と承認と質問がコーチングです)

「科学的知見と実践に基づいたエビデンスベースドコーチングです」
(例:コーチングをいかに伝えるかについて、
現時点における再考の知見が実践の専門家の判断に統合され
知的で良心的に用いられたもの”と定義される。(Grant&Stober,2006))

なのかは、

どちらも意味はあるものであるとはいえ、
その背景にあるものの深さと量は、

検討に携わった人の数も労力も
違う”質”になるのではないか、
と個人的に感じます。

■上記にまつわる定義や目的も

先人の世界中の研究者たちが、
頭を捻りながら検討を重ねたものについて、

敬意を持って探求すること、
その意味を考えることは、

関わる人にとっても
自分の持論と重ねることは、
意義があることなのだろう、

そんなことを感じつつ、
この書籍を読んでおりました。

ということで、本日は

” 「ポジティブ心理学」と
「コーチング」のつながりを紐解く

ということで

その共通性、また違いを
ご紹介させていただきました。

また別の項目についても、
改めてご紹介させていただければ幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

一方は「これで十分だ」と考えるが、
もう一方は「まだ足りないかもしれない」と考える。
そうしたいわば紙一枚の差が、大きな成果の違いを生む

松下幸之助
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