"白か黒か"でなく、"白も黒も"と考える ー「二項動態」というコンセプト
(本日のお話 1723字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。
今月11月号のハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)に、
100周年ということで、ハーバードビジネススクール教授の
竹内弘高氏のインタビューが載っていました。
その中のコメントで、
「二項対立ではなく”二項動態”が大切」
というお話をされていました。
そのお話が大変納得でき、
大切なことだと感じましたので、
本日はそのお話について
ご紹介させていただければと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは
【"白か黒か"でなく、"白も黒も"と考える ー「二項動態」というコンセプト 】
それでは、どうぞ。
■「その考え方は、私には合いませんね」
たまに、こういった方に
出会うことがあります。
考え方、信念が明確であるがゆえに
・自分は科学的なもの、
論理的なことしか信じない
という揺るぎないスタンスがあったり、
・質素、倹約に努めて
欲は持つべきではない
と強く考えていたり、など。
■ただ、明確に
「白か黒か」
というスタンスで考えると、
時に視野が狭くなり、
行動の選択肢が狭まったり、
新しいものの見方ができなくなったりする、
とも感じます。
そんな「白か黒か」のように、
・成果重視か、プロセス重視か
・物質主義か、精神主義か
・アナログか、デジタルか
というように対になる概念が
「二項対立」と呼びますが、
これに対して「白も黒も」と
両者を内包する考え方が
『二項動態』
(dynamic duality)
と呼ぶそうです。
■このことについて、
冒頭の竹内氏はこのように
インタビューで述べられていました。
以下、一部引用させていただきます。
(ここから)
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西洋の考え方というのは、
二元論的に物事を捉えます。
例えば、心と体、自己と他者、
人と自然、アナログとデジタルなどです。
これにより西洋科学が発展した面もありますが、
本来は対立した関係ではないと考えています。
二項対立ではなく、
こうした対立した概念を内包する
「二項動態」の状態を目指さなければなりません。
「どちらか」ではなく「どちらも」選択するのです。
(中略)
たとえばトヨタ自動車には、
「ヒエラルキーはあるが、社員に自由を与えて背中を押す」や
「日頃は質素だが、重要なイベントに贅沢する」
「ゆっくりと少しずつ歩むが、たまに大きく飛躍する」など
6つの特徴があることがわかっています。
一見、対立したり矛盾することを積極的に受け入れて、
二項動態の文化を育んできたのです。
※ハーバード・ビジネス・レビュー 2022年11月号 P13より)
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(ここまで)
■たしかに、、、。
なんとなく
「あちらかこちら」の
どちらかで決めたほうがわかりやすく、
スッキリする感もあります。
でも実際は、そんなに
シンプルな話はあまりないです。
例えば、コーチングもそう。
その方針としては
「アドバイスやティーチングはしない」
とコーチに求められるコンピテンシーに
書かれていたりもしますが、
では実際、シャバにおいて、
全くアドバイスやティーチングを、
コーチ達がしていないかというと
必ずしもそうではない、
と私は思うのです。
■クライアントにとって役立つのであれば、
「絶対これでなければならない」
とテコでも動かないよりも、
あれやこれややってみてもよい。
コーチングもティーチングも、
コンサルティングもアドバイスも、
柔軟に取り入れていっても、
それはそれで、
一つの正解ではなかろうか、とも感じます。
■答えというのは
その文脈、状況に依存します。
ゆえに、
軸足としてのスタンスは決めつつ、
そしてその手法は守りつつも
時に、違った手法も取ってみる。
いつもは「白」だけど、
たまには「黒」になってみる、
そんなスタンスを持つことが、
自分なり、その組織なりの
独自の勝ちパターンを見つけていく、
「守破離」の「破離」のステップではなかろうか、
そんなことを感じた次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
機会を待て。だがけっして時を待つな。
ヴィンヘルム・ミュラー
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