今週の一冊『人生はそれでも続く』
(本日のお話 1172字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は、終日ファシリテーションに関する
ワークショップへの参加でした。
質が高いワークショップを作ることの難しさを
知っているがゆえに、楽しませていただきつつ
すごいなあ、と大いに刺激を受けております。
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さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナーです。
今週の一冊は、
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『人生はそれでも続く』
読売新聞社会部「あれから」取材班(著)
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です。
■誰かの人生を、
正しいとか、間違っているとか、
何かと比較をしようという発想を持つこと自体、
軽薄は感覚を覚えてしまうものです。
■しかしながら世の中では
例えば、一時期成功して、
今は日の目を見ていない人がいると、
「あの人は終わったな」とか
「あの頃は輝いていたよね」などと、
ある社会的な基準(有名だとか、活躍しているとか)で
主に全然関係ない第三者が
その人や存在を称賛したり、
批判したりするシーンを、
しばしば目にします。
■もちろん、それがよくない、
みたいな匂いを漂わせて語る自分自身、
そういった側面が全くないかというと、
そんなこともありません。
お恥ずかしながら、
自分が持っている価値基準で、
他者の人生を評価するような視点、
どこかあるようにも思います。
■しかし、今回ご紹介させていただく
『人生はそれでも続く』
を読んでみると、
そういった考え方が、
安易で浅はかだな、と
感じさせられるように思えます。
今回ご紹介の書籍は、
”日本中が注目したニュースの「あの人」は今?”
に読売新聞の社会部が長期取材をしてわかった、
真実やドラマを描いたノンフィクションです。
例えば、
・赤ちゃんポストに預けられた男児
・本名「王子様」から改名した十八歳
・バックドロップをかけた対戦相手の死に直面したプロレスラー
・日本人初の宇宙飛行士になれなかった二十六歳
・万引きで逮捕された元マラソン女王
など。
■様々な取り上げられ方で、
時の人となった人たちの
”あれから”
を表面的ではなく、
長期にわたって取材をしたものの
一端に触れることで、
それぞれの人生の物語の希少性と、
それぞれが、その瞬間瞬間に
様々な葛藤、悩み、情熱を含めて、
精一杯生きているという事実に気付かされます。
そして、その道筋で感じた
感情を含めた経験を、文字上からも
想像するだけでも
それらの話を
誰かが評価したり、
批判したりすること自体が
とても野暮なことに思えてくる、、、
そんな風に私は感じました。
■自分自身を認めるには、
他の人生も、自分と同じような
”いろいろ”があることを理解すること。
特別なのは、全員が特別で、
そこに優劣はないと理解すること。
そんなことをこの22人のお話は
重みを持って伝えてくれるように思いました。
丁寧な取材をしていただいた、
読売新聞社の取材部の皆さんにも、
頭が下がる作品だな、と感じます。
とても、お勧めの一冊です。
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<今週の一冊>
『人生はそれでも続く』
読売新聞社会部「あれから」取材班(著)
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