研究の心得 ー思い入れを抑えることも重要ー
(本日のお話 1805字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
急に寒くなってきましたね。
秋、そして冬の訪れを予感する今日このごろです。
私事ですが、ベランダ菜園で遅ればせながら
ようやく花を咲かせ始めたミニトマト。
実をならすのが先か、
寒気に負けて枯れてしまうのが先か、、、
このレース(?)、個人的に注目しております。
できれば逞しく
子孫を残してほしいものです。
それを美味しく食せることを想像しております。
*
さて、本日のお話です。
仕事を一区切りさせて、
大学院モードに少し切り替えた週末。
今回のプロジェクトの評価をするために
「質的研究」なる方法を見返しております。
昨日は
『研究の心得 ー「その研究で何を明らかにしたいのか」を机に貼っておく』
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4328726/
ということでメルマガをお届けいたしました。
今日も研究の心得シリーズを
続けたいと思います。
それでは参りましょう!
タイトルは
【研究の心得 ー思い入れを抑えることも重要ー】
それでは、どうぞ。
■自分が大切に思っていることは、
「こうなんです」
と、つい語気を強めてしまうこと、
しばしばあるな、と感じます。
常に冷静に、客観的に
いられればよいのかもしれませんが、
少なくとも私(紀藤)はなかなか難しいところ。
■ただ何かを研究し、
成果物を出そうとするには、
他者からみて
「なるほど、確かにそうだよね」
(=信憑性、というそう)
と言えるものがあることも
重要になるようです。
■しかし、自分の見方に
凝り固まってしまっていると、
説得力に欠けたり、
あるいは誘導的になってしまうことが
起こりえます。
では、それらの現象を
どのようにすれば抑えることができるのでしょうか?
■そんな中、今読み進めている著書
『ライブ講義・質的研究とは何か』
西條 剛央(2007)
の中で、なるほどなと、
心に留めておきたい言葉がありました。
こんなお話です。
(以下、引用です)
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これは質的研究に限らないんだけど、
渡辺さんは社会に出て、現場でいろいろ経験してきて、
この大学院に入ってきたみたいですが、
そういう人の強みというのは、問題意識があること。
自分の経験から生み出した仮説をいくつも持っていること。
でも弱点があるとしたら、思い入れが強すぎちゃうこと。
これまでも社会人入試で入ってきた人を何人か指導したことがあるけど、
その思いの強さというのは、ときに研究という文脈では
説得力を減らしちゃうことがあるんだよね。
「こうなんです!絶対効なんです!」と言いすぎちゃう。
で、研究のコツはどこにあるかっていうと、
その思いを抑えて研究を進めることなんだよね。
それが研究者にとっては説得力がある研究を
することにつながる。
だからそれを前面に出さずに研究する。
それで相手がそれを読んでいって
「フムフム、なるほどたしかに
これは誘導している気配もないし、
それでも相手はそういうことを積極的に
語っているから、たしかにこれは重要な知見だな」
と思ってもらえれば成功なのね。
※引用:西條 剛央(2007)『ライブ講義・質的研究とは何か』P70
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(ここまで)
■うーん、身につまされます。。。
これは私の場合、
”困ると熱意で押し切ろうとする”
傾向があるのですが、
まさに指摘されたようです(汗)
確かに熱意も大事ですが、
こと説得力、
信憑性を持たせるためには、
それが逆に仇となる可能性もあります。
熱意が受ける文脈もありますが、
多様な人が判断をする中では
どちらもバランスよく持っていないと、
「なるほど」と思ってもらうための力を
獲得することは難しいのだろう、、、
そんなことを感じたのでした。
■そのためには、
まさに語られているように
”思いを抑える”
ことを通じて、
自らのバイアスの働きを
制御することが必要になるのでしょう。
そうして
見たいものを見る、
見たいように誘導する、
見たいように解釈する、
ことを手放して、
様々な視点から情報を集め、分析し、
そして理論を紡ぐことで、
多くの人に納得してもらえる
「信憑性」のある研究になるのだろう、
と思いました。
■言うは易く行うは難しで、
こうしたことをやるためには
時間も労力もかかります。
バイアスを無視して
部分的な情報だけを集め、
そこから結論を出したほうが早くて楽です。
でも、本質的な課題解決、
そして多くの人を巻き込むためには、
こうしたプロセスを身につける練習が必要なのだろう、
そんなことを読みながら思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
誘惑に対する防御法はいろいろあるが、
最も確実な手段は臆病になることだ。
マーク・トウェイン(米国の小説家)
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