自分のズレを知りにいくー多面評価のススメー
(本日のお話 1854字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は名古屋への出張。
某ソフトウェア会社の営業リーダーの皆様へ
コーチング研修の実施でした。
*
さて、本日のお話です。
現在読み進めている本で
『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』
伊達 洋駆(著)
なる本があります。
現場の課題に対する処方箋が
組織行動論のエビデンスに基づいて
先行研究の論文を元に記載されており、
ありそうでなかった一冊。
職場の課題に取り組む上でも、
また学術的に課題を分析する上でも
とても参考になる一冊であり、興味深く拝読しています。
今日はこの本の中から
「多面評価」についての書かれた項目から
引用させていただきつつ、学びを皆様に
ご共有させていただければと思います。
それでは参りましょう!
タイトルは、
【自分のズレを知りにいく ー多面評価のススメー】
それでは、どうぞ。
■「どんだけ自分のこと見えてないの?
裸の王様だね!」
、、、
私が25歳の頃、2日間の泊まりの
フィードバック研修を受けた時、
講師に夜、言われた言葉です。
未だに衝撃を受けた時の記憶が
癒着した後の傷のように
残っている感覚があります。
その時の出来事が、
自分にとって与えた影響は、
良くも悪くも大きかったなと、振り返り思います。
■「フィードバック」は
効果が高い人材育成手法として
知られています。
ただし、インパクトが大きいゆえ、
適切に扱わないと、副作用の方が大きくなる
”劇薬”にもなりかねません。
ショックを受けすぎて
職場の人への不信感が高まる、などなど。
(現に私も上記のときは、
その言い方はないんでないか?と思い
その後私は講師の人に心を閉ざし、
”やり過ごすモード”になりました・・・汗)
■しかし、
効果的なことも、多分にあるのです。
複数の他者からの評価(フィードバック)が
どのように育成につながるのかについて
先述の著書『人と組織の行動科学』にて
このように説明されています。
以下、引用いたします。
(ここから)
***
<多面評価による解決策>
多面評価によって
・周囲からの自分に対する評価
・自分自身による自分に対する評価
の2つを突き合わせることができ。
「自分に対する評価」がより適切なものになるからです。
例えば、「自分は部下をしっかりサポートしている」と
思っている上司がいたとします。
しかし、多面評価を行ったところ、
部下は必ずしもそう思っていませんでした。
自分が思っているよりも、
部下をサポートできていなかったということです。
多面評価によって、
自分に対する評価がきちんとできるようになると、
自分に足りないものも見えてきます。
足りないものを磨いていけば、成長につながります。
※引用:伊達 洋駆(2022)『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』(P82)
***
(ここまで)
■そうなのです。
悔しいのですが、まさに
”自分が思っているよりできていない”
という現象、私のときも、
突きつけられたことは逃げようがない事実でした。
■そしてこれは私だけではなく、
自己評価の傾向データを見ると
”自己評価のほうが
他の人による評価よりも高くなりがち”
であることがわかっています。
■また自分の話ばかりでで
恐縮でございますが、
私も先述のフィードバック研修の際、
その多面評価の結果を見ると
周りの人はことごとく
低い点数(5段階評価で2点)なのに
自分は全般的に、4-5点をつけていました。
そもそも自分のことを見えていないし、
自分のことをよく見ようとするバイアスが
かかっていました。
特に能力が低い状態だと、
その傾向が高い、と言われます。
まさに当時の私です。
■そして、その部分を容赦なく
講師の人にツッコまれました。
今振り返り思えば、
以下のようなメカニズムを
狙ってのアクションであったことがわかります。
著書より再度、引用させていただきます。
(ここから)
***
”<自己評価を是正するために多面評価が有効>
人は放っておくと、自己評価が高くなりがちです。
多面評価は、周囲による評価を合わせて
本人にフィードバックすることで、
自信過剰傾向にメスを入れ、
自己評価を妥当なものに変換させます。
自己評価が他の人による評価より高い人ほど、
多面評価の後に効果が見られやすいこともわかっています。
自己評価を是正するための方法が
「多面評価によるフィードバック」を活用するわけです。”(P83)
***
(ここまで)
■実に、わかります。
インパクトがあるからこそ効果もある。
私も衝撃とともに、向き合わざるを得なくなり、
やはり記憶に残る育成の機会にはなりました。
一方、振り返ってみても
その意図を丁寧に説明された、
という記憶はないですし、
”攻撃のためのフィードバックでは”
と当時の私は捉えていたところもありました。
それは私が精神的な未熟のところもままありましたが、
その点については、他のルートもあり得たのかも、と思います。
■多面評価によるフィードバックも、
人材育成のための手法です。
ゆえに、
”さらなる成長のための機会”
として受け取ってもらうことが
大事になるでしょうし、
インパクトが大きい手段として、
丁寧に扱うことが大切なことだな、
そんなことを改めて思った次第です。
※ちなみに、
多面評価は「上司以外」(同僚や部下)からの
項目が入っていたほうが評価結果を好意的に感じるそうです。
部下からの率直なコメントが大事なのですね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
ものごとを正しく見るには、たった1つのやり方しかない。
ものごとの全体を見ることだ。
ジョン・ラスキン(イギリスの思想家)
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