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3190号 2022年11月15日

「現在バイアス」に気をつける ー論文「仕事の先延ばしを防ぐためには、締め切りを設けない」より-

(本日のお話 1995字/読了時間2分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は1件の個別コーチング。
また2件のアポイント。
その他研修プログラムの企画でした。



さて、本日のお話です。

今月号のハーバードビジネスレビューに
こんな論文が紹介されていました。

タイトルは
『仕事の先延ばしを防ぐには締め切りを設けない』
なるうものです。

簡単にお伝えすると

「仕事の先延ばしを防ぐために
 締め切りを”設ける”」
 
考えをすることが多いようですが、
この研究によると、

「先延ばしを防ぐためには
 締め切りを”設けない”」
 
ほうがよい(!)とのこと。

今日はこの研究内容とそこからの学びについて、
皆様にご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!


タイトルは



【「現在バイアス」に気をつける
ー論文「仕事の先延ばしを防ぐためには、締め切りを設けない」より-】



それでは、どうぞ。



■「仕事の締め切り」があるとき、

皆様はどのように
自分自身を管理しますでしょうか?


ちなみに私の場合、

・どんどん仕事を入れまくって
 「ケツカッチン」にして(古い?)
 自分を追い込んでいく

あるいは、大きなプロジェクト(論文)などでは
そういうやり方だと痛い目を見ますので、

・周りに宣言する or 巻き込む or 巻き込まれる
 なる「衆人環視」の力を使い
 小さな締め切りを設けて進めていく

というパターンが多い気がします。

意思が弱いもので、
追い込まれないとなかなか行動できません(汗)

(皆様はいかがでしょうか)



■さて、そんな締め切りの感覚と、
真逆のタイトルの研究が
今回のご紹介のこの論文。



ではどんな事が書かれているのでしょうか?

この研究の概要と結果を
簡単にまとめてみます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
論文まとめ『仕事の先延ばしを防ぐには締め切りを設けない』

<研究の目的>
・締め切りまでの時間と
 仕事を終らせることの関係を調べること

<研究の対象者>
・被験者はニュージーランドの選挙人名簿から
 無作為に抽出した3276人
 
<実験内容>
1)短いオンラインアンケートに回答してもらい、
  報酬の代わりに10ドル慈善団体に寄付をする、という実験

2)3276人の被験者は3つのグループに分けられた
 ・「回答期限は1週間」
 ・「回答期限は1ヶ月」
 ・「回答期限なし」

<結果>
・それぞれのグループの回答率を調べると
 以下の通りとなった。 
 ・「回答期限は1週間」 6.6%
 ・「回答期限は1ヶ月」 5.5%
 ・「回答期限なし」 8.3%
 
★すなわち「回答期限なし」が最も回答率が高く
 「回答期限が1ヶ月」が最も回答率が低かった
 
※補足)
・特に「回答期限なし」のグループは、
 3日以内に回答した人が他のグループより多かった
 
・一方、「回答期限は1ヶ月」としたグループは
 52日後や145日後に回答がある場合もあった
 
※元論文:Meeker, Amy, and Maroš Servátka. 2022.
 ”To Keep People from Procrastinating, Don’t Give Them a Deadline.”
 Harvard Business Review 2022 (September-October).

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。



■ふーむ、なるほど、、、。

この実験の場合、
回答期限がない場合の方が、
回答率が上がる結果になったようです。


ちなみに、なぜそうなるか?
という考察は、

”締め切りまでの時間が長いと
 何回も先延ばしにして、
 結局はすっかり忘れてしまう”

という現象が働いているのでは?
と述べています。



■先延ばしに関わる人の特性の中に、

『現在バイアス』

があると言われます。

これは

”いまこの瞬間を、未来より
 不釣り合いに重要だと感じる傾向”
 
といいます。

ある仕事を終えるのに3時間かかるとして
それは未来であろうが変わらないのに、
いまよりも先のほうがなんとなく小さく感じられるのです。
(今の3時間より未来の3時間の価値のほうが小さく感じられる。
 あるいはそんなに時間がかからないように感じる)

ゆえに、人は先延ばしにするそう。

ギクリ、、、です(汗)



■もちろんこうした
『現在バイアス』の存在に対して

・何があるかわからないから
 さっさと終わらせておこうという人、もいれば

・なんとかなるっしょと無邪気に先送りする人
 
もいるようです。


ただ、いずれにせよ

・「現在バイアス」が仕事を先送りにする一つの要因となっている
 ↓
・「回答期限が1ヶ月」=「1ヶ月後までに答えればいい」と思う
 ↓
・何回も先送りにするうちに、忘れてしまう

というメカニズムは想定されるよう。
(うーん、耳が痛い)


■、、、しかし、

この研究はあくまでも
ある文脈における実験です。

つまり、今回の実験は

・自分のためではない
・慈善団体に10ドルの寄付をする
という文脈においてです。

このことから
「期限を設けない戦術」が有用である文脈とは

1)その仕事が主に主人以外の誰かのためになるもの
2)緊急性が明確に示されている場合
(例:自然災害後の献血、ウクライナからの避難民を支援する団体への寄付など)

に効力を発揮するようです。



■ということで、

・一大プロジェクトを終わらせる
・複雑で緊急性の高い仕事を行う

みたいなときは

やっぱり締め切りを設けて
ちょっとずつ進めていかないと
よろしくないようである、

というお話でした。

どんな戦術も、文脈に応じて
使える、使えないがわかれるようです。

ただ、「現在バイアス」は
仕事の先送りの際に気をつけたい
キーワードであるな、、、

そんなことを感じた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

制約が多いとみんな悩んでいる。
だが、制約があるからこそ、
自分のしたいことを貫くのが本当の行動になる。

岡本太郎

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