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3211号 2022年12月6日

「カオス理論」ってなんだ?! ーキャリアカウンセリングへの応用の仕方ー

(本日のお話 2784字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
また2キロのランニング。
また、論文の執筆でした。



さて、本日のお話です。

「キャリア」についての
新しい潮流の中に

『カオス理論』

と呼ばれるものがあります。

カオスって、
響きがなんだかカッコいい!

くらいの浅はかな感想しか
持ち得ていなかった私ですが(汗)

キャリアに関する書籍の中で
カオス理論が何たるかを説明されており、
勉強になりました。

ということで、本日はそんな
カオス理論についての学びと
カオス理論のキャリアへの応用について
皆様にご共有させていただければと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは

【「カオス理論」ってなんだ?! ーキャリアカウンセリングへの応用の仕方ー】

それでは、どうぞ。

■カオス(Chaos)。

なんだかロールプレイングゲームの
ラスボス(最終ボス)に出てきそうな
そんな強そうな響きのこの言葉。

その意味は

・混乱
・無秩序
・複雑で不規則な予測できないこと
・様々な要素が入り乱れ、ごちゃごちゃした状況・様相

という意味とのこと。

■この「カオス」のルーツは
1961年に気象学者のエドワード・ロレンツが
発見した数学モデルに端を発します。

生命や知能、社会などの
「生きているシステム」は、
様々な要素がお互いに影響を与え合っています。

まとまりとしての意味を構成するため
要素分解をしても全体を理解することができず、

また規則性もないように見えることから、
”複雑系”と呼ばれるようになりました。

複雑系とは

「システムを構成する要素の振るまいのルールが
全体の文脈によって劇的に変化してしまうシステム」

とされています。

■確かに、生命なんて、
まさにその通りな気がします。

素人の考えですが
諸々の”病”と呼ばれるものも、

この複雑系のシステムのルールに
何らかの不調が来された結果と思えます。

社会の人の動きも、まさに複雑系。
因数分解しても全体としての姿は
なんとも掴みかねるようにも見えます。

■さて、そんな
「カオス理論」の中核概念は、
以下の2つとされています。

***

<カオス理論の中核概念>

(1)非線形(nonlinearity)
・線形システム=部分が集まって全体となる
・非線形システム=部分の集合体は、それよりも多かったり少なかったりする結果になる

(2)回帰性(recursiveness)
・1つの変数がほかに影響を与え、相互作用が引き起こされる。

※ Bright&Pryor(2005),The Chaos Theory of Carees: A User's Guide”

***

とのこと。

全体が集まることで、
1+1=3以上になったり、
逆に少なくなったりもする「非線形」。
また、お互いの変数が相互に影響を与え合う「回帰性」。

なるほど、わかりやすいです。

■そして、そんな自然科学から始まった
「カオス理論」を社会科学に応用し、
人や組織の行動を説明しようとする流れができてきました。

それらを「カオス理論をキャリアカウンセリング」に応用する例として、
以下、書籍に紹介されていました。

以下、引用です。

ちょっと説明っぽい文章ですが、
よろしければご参考くださいませ。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【「カオス理論」をキャリアカウンセリングに応用するための6つの要素】

<(1)予測(prediction)>
・キャリア発達は種々多様な影響を受けるものである。
・そして、キャリアの偶発的に出来事の影響は予想以上に大きいものである。
・キャリアカウンセラーの仕事は、人生を見通すことであり、人生テーマを将来へ展開することである。
クライアントが直面する”複雑さ・変化・チャンス”をメタファーや物語を使って扱う試みが活用される。

<(2)複雑さ>
・キャリアは親、社会、環境、性別、年齢、政治経済、興味、能力など種々の出来事の影響を受ける。
このような要因は予測不可能であり変化する。
・キャリアカウンセラーなこの複雑さを考慮し、クライアントが人生に与えられた様々な影響に目を向けるように促す必要がある。
・よって、話題を”キャリア関係”にのみ限定してはならない。
家族状況、子供時代、趣味、読書、悲劇など、人生の様々な側面や状況要因に目を向ける必要がある。

<(3)創発性>
・創発性とは、もともと下位の階層にない特性が上位の階層で発現するという、
伝統的な科学のアプローチに反して出現するプロセスである。
・カウンセリング過程としての創発性は、クライアントの過去の行動を
テーマ、語り、先入観などを通して意味づけるプロセスとされる。

<(4)非線形性>
・非線形は、”入力変数のわずかな変化が、出力に劇的な変化をもたらしうる”とする。
・サビカス(1997)は、カウンセラーがクライアントの使う言葉に注意深く
耳を傾けることを推奨した。なぜなら、言葉からそのクライアントの先入観が明らかとなり、
将来どのように行動するかがわかってくるから、とする。
・カウンセラーがクライアントのキャリアへ変化をもたらすための介入は、たった一言で十分かもしれない。

<(5)非予測性>
・カウンセラーはクライアントが積極的不確実性を受け入れるように促さなくてはならない。
・クランボルツとレビンは、各自が偶然の出来事を活用するための原則を示した。(Krumholtz&Levin,2004)
・偶然の出来事について話し合うことで、自分のキャリアに関する決断や歩みを合理的に説明しなくてはならない、
という思い込みから解放される。

<(6)アトラクタ>
・アトラクタとは”何かを引き付けたり吸い寄せたりすること”を意味する。
・アトラクタには、1点に収束する動きを表すポイントアトラクタと、
連続的に繰り返す動き(周期運動)をする周期アトラクタの2種類しかない。
そうしてトーラス(円環)という形状を示す。(太陽系の公転みたいなもの)
・ただし、カオスの状態でのアトラクタは、トーラス(円環)が崩れて奇妙な形に吸い寄せられる。
その本質は誰にもわからず、ストレンジアトラクタ、と呼ばれ、カオス特有のモデルである。
・個人特有の技能や特性はまさにストレンジアトラクタのようなものである。
カウンセラーは自分特有のパターンやテーマ、影響に気づき変化をもたらすことである。

※引用:渡辺三枝子(編著)(2018)『新版 キャリアの心理学[第2版] キャリア支援への発達的アプローチ』 .ナカニシヤ出版 P217-225

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

■へー、なるほど、、、。

面白いなと思いながら
本を引用させていただいていたら
文字が多くなってしまいました(汗)



言われて久しいですが、
先がますます読めなくなっている世の中。

カオスを前提に
キャリアを考えていこうという流れと、

それを支援できるような
キャリアカウンセラーのあり方も
考察されているところが興味深いです。

■特に個人的には、

「(6)アトラクタ」

の部分はツボでした。

個々人の中にある能力・特性・経験などは
太陽のようなポイントアトラクタとして
周りを引き寄せる特徴である。

そしてそれが折り重なり
ストレンジアトラクタとして
その人独自のキャリアという星雲を作り上げているようにも思えて、
奥行きを感じたのでした。

■キャリアはカオスである。

そう割り切ると、
不確実性を自分のものとして
寧ろ楽しむこともできるような気がします。

ということで、

・カオス理論のご紹介
・カオス理論のキャリアカウンセリングの応用

についてお伝えさせていただきました。
ご参考になれば幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

未来に先回りして点と点を繋げてみることはできない。
できることは過去を振り返って繋げることだけだ。

スティーブ・ジョブズ

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