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3215号 2022年12月10日

集団の生産性・創造性が損なわれる3つの要因

(本日のお話 1554字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は1件のアポイント。
また午後からはフィードバックの研修。
また夜は大学院の授業でした。



さて、本日のお話です。

現在、立教大学大学院
経営学専攻リーダーシップ開発コース(LDC)にて受講している

「チームワーキング論」

という授業があります。

これが実に面白く、

チームワークについて
ちょっと勉強していた気になっていた自分が

まだまだ知らない事だらけであったことを知るとともに、
知的好奇心を大いに刺激されております。


今日はそんな授業から
印象に残ったことについて
学びと気づきをご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、



【集団の生産性・創造性が損なわれる3つの要因】



それでは、どうぞ。



■「三人寄れば文殊の知恵」とか、

1+1は3以上の相乗効果など

チームが力を合わせた結果は
しばしば美談として触れられます。


大体チームスポーツで
華々しい成果を残したときも、

”チームだからこその成果”

に注目されることは多いですね。



■一方、

”人が集まるゆえの負の側面”

もあったりします。

本当だったら
1+1が3以上の相乗効果を
狙えるはずなのに、

なぜか1+1が2、
あるいはそれ以下になってしまうこともあります。


少人数だとイキイキと自由に発言していた人が
チームになって会議などで
発言しようとすると急に小さくなってしまう、

という現象もあれば、


あるいは
研修、ワークショップなどの会合では、
ペア同士だと話せるのに、

5人グループになると一人あたりの口数が減り、

7人になるとさらに口数が減ったりすることも。


あるいは、研修中に、
講師やら人事部長がウロウロ歩くと
急に静かになってしまう、

なんてこともあります。

はい、しばしば見る光景です。。。



■そして、そんな話に関連して

「集団が生産性・創造性を損なう3つの要因」

が挙げられています。

先に答えを言ってしまうと、


1)生産性ブロッキング

2)評価懸念

3)フリーライダー


の3つです。



その内容が先日の「チームワーク論」の
授業で紹介されており、

関連する
論文を読んでみたところ
実に興味深い内容なのでした。

以下、内容について
簡単にご紹介させていただきます。


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

論文『ブレーンストーミンググループにおける生産性の損失』

<論文の目的>

・グループによる問題関係の方法の一つとして
 メンバーが生み出すアイデアの質と量を大幅に向上させるものが
 ブレーンストーミングである。
 
・被験者に様々な条件でブレーンストーミングを行わせて
 実際のグループ(実験のグループ)と
 名目上のグループ(個人の結果を足し合わせたグループ)を
 比較して行うことで、グループ間の相互作用における
 生産性の損失の謎を解明すること。
 

<研究の内容>

・グループの生産性低下に関する理論について
 知られている以下の3つの内容を、実験から考察する


{(1)生産性ブロッキング}
 ・グループでは一度に一人しか発言できず、
  発言時間の不足がグループメンバーの生産性を下げること。
  
 ・なぜ生産性ブロッキングが発生するのかは明確に述べられていないが、
  グループが大きくなると「解答に遅延が発生する」、等が挙げられている
  (「他メンバーへの遠慮で発言できない」などもあるかも←紀藤の解釈)


{(2)評価懸念}
 ・他のグループメンバーからの否定的な評価を恐れる作用。
  独創的なアイデアを発表することができない。

 ・特に、他のメンバーを専門家として認識するほど
  社会的な抑制が大きくなると推論した。
  

{(3)フリーライダー}
 ・自分のアイデアがグループの中に組み込まれ、分析されるので
  他の人の努力にただ乗りしたくなる作用。
 ・またグループサイズが大きくなると、個人の貢献の識別性が低下する。
  それにより、ただ乗りが発生しやすくなる
  (つまり、自分がいてもいなくても変わんないんじゃね?という感覚)

※参考:
Diehl, Michael, and Wolfgang Stroebe. 1987.
“Productivity Loss in Brainstorming Groups: Toward the Solution of a Riddle.”
Journal of Personality and Social Psychology 53 (3): 497–509.

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)



■そして、

上記の実験では、

「マジックミラーごしに
 あなたは専門家によって評価されています」

とか

「このチームメンバーは
 このテーマの専門家です。あなた以外は。」
 
など、

条件を変えたり
グループサイズを変更することで

「優れたアイデアが
 どれくらいでるか」

を検証するのです。

そして、ものの見事に
上記の3つが生産性を下げる要因になっていた、

というお話。



■そして私はこれを見て、

「うわー、
 めちゃくちゃわかる・・・」

と心の中でのけぞっていました。

まさに大学院のグループワークや
授業でも、よく感じるのです。



例えば、「1)生産性ブロッキング」なんかもそう。

自分以外にも多くの人が参加しており、
聡明かつ、尊敬している仲間が
色々と意見を持っているだろうな、

、、、と勝手に想像するのです。

そうすると、

「言おうかと思うけど
 タイミングを失する」

ことを繰り返して、気づくと
発言するスペースがないまま、
授業が前に進むこともしばしばあります。



■あるいは、
「2)評価懸念」もそう。

特に、自分以外が”専門家”と思うと
この評価懸念は発動しやすくなる、
といいますが、

その分野において
自分よりもよほど詳しい(と自分が認識した人)がいると、

「自分が的はずれな事を言っても恥ずかしいし。。。」
「まあ、彼/彼女が答えを持ってそうだし。。。」

という思考が頭をよぎり、

そしてアイデアを出すことを
億劫にさせることがあります。



■そして、同時に思うのが

「それもある種の言い訳」

とも言えそう、ということ。


色々言うけれども、
実は、なんだかんだ
積極的に参加できなかったり、

あるいは貝のように口を閉ざして、
チームに貢献できていない自分は
自分自身がよくわかっています。



■確かに

「集団の生産性・創造性を下げる要因」

として、

1)生産性ブロッキング
2)評価懸念
3)フリーライダー

があるのは仕方ありません。


じゃあ、それに影響されて
チームに貢献しない、というのもまた
違うのではないか、という考えもあります。


大前提として、

構造的にそうしないような
チーム編成、すなわち準備段階での工夫は
もちろん必要。

しかし同時に、
そうした作用は起こり得てしまう、
という観点から見れば、

上記の3つの要因が
今自分に、そしてチームに働いていないかを
客観的に見つめる視点を持つことで、
多少なりとも抗うことも可能になるのでは、

とも思えます。



■対策をするためには、
まず何が起こっているのかを知ること。

そしてその対応のために、
3つの要因の考え方は役に立つな、

と思ったのでした。


私(紀藤)もこれを見て、

この3つの要因に
自分が囚われている時は
意図的に口を開いていこう、

などと、密かに思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

機会を待て。だか決して時を待つな。

ヴィルヘルム・ミュラー

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