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3221号 2022年12月16日

「甘く見積もって遅れてしまう」のは、あなただけではない?! ー論文『計画錯誤を探る:なぜ人は自分のタスク完了までの時間を過小評価するのか?』より

(本日のお話 2564字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は1件のアポイント。
またその他はひたすら論文を書いておりました。



さて、本日のお話です。

今週は仕事が落ち着いているので
隙を見て、ひたすら論文を書いています。

こうやって締切に近づくに連れ
ウサギのようにガシガシ走るのは
いつもこのパターンだよなあ、と思い、


「卒業論文 締切 論文」


と探していると、
興味深い論文が見つかりました。
(論文書けよ、という話ですが笑)


見つかったキーワードは


『計画錯誤(planning fallacy)』


です。


どうやらこの

「甘く見積もって計画が遅れる」

のは、
古今東西共通のようで、
私だけではないようです。
(ほっ)


、、、ということで、
今日はこのお話について学びと気づきを
皆様にご共有させていただければと思います。

それでは、まいりましょう!

タイトルは、



【「甘く見積もって遅れてしまう」のは、あなただけではない?!
 ー論文『計画錯誤を探る:なぜ人は自分のタスク完了までの時間を過小評価するのか?』よりー】
 
 
 
それでは、どうぞ。



■ある休日。大学院生室にて。

同期の大学院の仲間に


「たぶん、12月11日くらいに、
 初稿は一通り仕上がるかな」

 
と呟いたのが、2週間ほど前でしょうか。



■その12月11日に向けて
ガシガシ進めていく予定、、、

でした。

しかしまあ、色々あるものです。


・やれ、仕事が急に入った

・やれ、集中力がなかなか続かなかった

・やれ、急に眠気がやってきて書けなかった

・やれ、やる気になったと思ったら外出の時間になった


などなど、

あるあるな言い訳的理由により、
結局進捗は次第に遅れていき、

当初計画していた
「初稿は一通り仕上がる」に
たどり着くことはありませんでした(汗)



■こうした

「実際にかかった時間よりも
 計画を甘く見積もる」

という現象を


『計画錯誤(planning fallacy)』


と呼ぶそうです。
(Kahneman & Tversky, 1979)



このことについて書かれた論文で


論文『計画錯誤を探る:なぜ人は自分のタスク完了までの時間を過小評価するのか?』

※原題:Buehler, Roger, Dale Griffin, and Michael Ross. 1994.
“Exploring the ‘Planning Fallacy’: Why People Underestimate Their Task Completion Times.”
Journal of Personality and Social Psychology 67 (3): 366–81.


というものがあり、

この内容を読んで、
たいへん納得&共感しました。



■ということで

その内容について、
以下簡単にポイントをまとめてみます。


(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【論文まとめ『計画錯誤を探る:なぜ人は自分のタスク完了までの時間を過小評価するのか?』】


<論文の内容>

「計画錯誤」について
以下の3点について仮説検証を行うこととした。


(仮説a)
・人は自分の完了時間を過小評価するが
 他人の完了時間は過小評価しない。

(仮説b)
・人は過去の経験よりも
 計画に基づくシナリオを重視して予測を行う
 
(仮説c)
・人の属性が過去の経験の関連性を低下させる



<論文の結果>

・(仮説a)~(仮説c)いずれも、支持された。

・上記結果より、強固な「楽観性バイアス」が
 発生していることがわかった
 
・それを除くための条件を設けても、
 依然として人は楽観性バイアスを持ち続けた
 

<結果の考察>

・なぜ人は計画錯誤をしても、
 楽観的な予測をし続けるのか?
 
・それは、楽観主義がもたらす感情的、動機づけ的な効果は、
 見積もりに間に合わなかったことで生じたかもしれない
 小さなコストをも凌駕していたかもしれないから
 
・楽観的な予測は
 モチベーションとパーフォマンスの向上に
 関連する可能性がある
 
・時間予測を正確に行うインセンティブと、
 楽観的に予測するインセンティブを比較して
 見積もる必要がある


※参考:Buehler, Roger, Dale Griffin, and Michael Ross. 1994.
“Exploring the ‘Planning Fallacy’: Why People Underestimate Their Task Completion Times.”
Journal of Personality and Social Psychology 67 (3): 366–81.
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


とのこと。

(繰り返しますが、ざっくりまとめです)



■この論文を見て面白い!、と思ったのが、


・色々条件を変えても、
 期日や必要な労力を甘く見る
 ”楽観的バイアス”が強固に働き続けた”
 

ことです。



■そうなのです。

色々振り返っても、
何度ギリギリ、あるいは遅れても、
人は繰り返すのです。



思えば私もそうです。

2年前、大学院の受験勉強で、

「毎週1冊本を読んで
 受験までに16冊読む」
 
と意気揚々と宣言したときも、
とてもじゃないですがそんな
ハイペースで読むことはできませんでした。

約半分で終了しました。



あるいは

「100キロウルトラマラソンで
 12時間で完走する!」

と宣言したときも、
結局見積もりが甘く、
暗くなって、ギリギリのゴールでした。



■はたまた、
今の卒業論文もそう。

「12月11日までに
 ほぼ完了させる!」
 
と言ったものの、
80%止まりで力尽きております。

(それも近日超頑張ってその程度)


今週は、ほぼ毎日閉店まで
ジョナサンで書いていますが、

ほぼ毎日、結局
その日の計画も甘く、

立てた計画どおりはいかず
ちょっとずつズレ混んでいきました。

気づけば、金曜日です。




■結局、これは

 
「こうやって、こうやって
 こう進めたらいけるじゃん!という
 楽観的な計画」
  
という根拠なき計画であるゆえです。


まさに論文で示されたことと
同じことが起こっている証左であり、

だからこそ、答えが非常に実感を伴い、
ほら、やっぱそうだよね!と
納得できるものになった、という話です。

(全く誇れることではないんですが(汗))



■では、どうすればよいのか?

どうすれば「計画錯誤」を
避けることができるのでしょうか?

これには、いくつか
考察されることがあります。

たとえば

”過去の類似タスク経験を思い出し
 対象タスクを完了する詳細な計画を立てる”
 
あるいは、

”問題に遭遇して、
 タスクを完了出来なかったエピソードを
 自発的に思い出す”
  
などは考えられます。


あるいは、
それでも楽観性バイアスに
とらわれる私のような場合は


”「すべてが可能な限り悪くなった」という仮定で
 完成日を予測する”
 

ことです。

実はこのほうが
「最善の推測」をしたときよりも
偏りのない正確な予測になるそうです。



■ただし、です。

こうした”超悲観的な計画”をすると

「モチベーションが上がらない」

という可能性もあります。

こうしてこうして
こうしたらいけるっしょ!と
勢いて計画したほうが、実はやる気になるかもしれないのです。


いずれにせよ、

”楽観性バイアスで
 人は甘く見積もる”
 
という事実を念頭に置く必要はあるにせよ


楽観性バイアスが働いても
必ず守れるように、

いくつか衆人環視で周りを巻き込んだ
マイルストーンを設けたりすることは
大切だと言えそうです。



■いずれにせよ最終的には大丈夫なように、
そして何より、後悔なきよう進めていきたいと思います。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。


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<本日の名言>

本当に大事なことで、
格好つけたままやれることは一つもない。

ノーマン・メイラー
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