「甘く見積もって遅れてしまう」のは、あなただけではない?! ー論文『計画錯誤を探る:なぜ人は自分のタスク完了までの時間を過小評価するのか?』より
(本日のお話 2564字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は1件のアポイント。
またその他はひたすら論文を書いておりました。
*
さて、本日のお話です。
今週は仕事が落ち着いているので
隙を見て、ひたすら論文を書いています。
こうやって締切に近づくに連れ
ウサギのようにガシガシ走るのは
いつもこのパターンだよなあ、と思い、
「卒業論文 締切 論文」
と探していると、
興味深い論文が見つかりました。
(論文書けよ、という話ですが笑)
見つかったキーワードは
『計画錯誤(planning fallacy)』
です。
どうやらこの
「甘く見積もって計画が遅れる」
のは、
古今東西共通のようで、
私だけではないようです。
(ほっ)
、、、ということで、
今日はこのお話について学びと気づきを
皆様にご共有させていただければと思います。
それでは、まいりましょう!
タイトルは、
【「甘く見積もって遅れてしまう」のは、あなただけではない?!
ー論文『計画錯誤を探る:なぜ人は自分のタスク完了までの時間を過小評価するのか?』よりー】
それでは、どうぞ。
■ある休日。大学院生室にて。
同期の大学院の仲間に
「たぶん、12月11日くらいに、
初稿は一通り仕上がるかな」
と呟いたのが、2週間ほど前でしょうか。
■その12月11日に向けて
ガシガシ進めていく予定、、、
でした。
しかしまあ、色々あるものです。
・やれ、仕事が急に入った
・やれ、集中力がなかなか続かなかった
・やれ、急に眠気がやってきて書けなかった
・やれ、やる気になったと思ったら外出の時間になった
などなど、
あるあるな言い訳的理由により、
結局進捗は次第に遅れていき、
当初計画していた
「初稿は一通り仕上がる」に
たどり着くことはありませんでした(汗)
■こうした
「実際にかかった時間よりも
計画を甘く見積もる」
という現象を
『計画錯誤(planning fallacy)』
と呼ぶそうです。
(Kahneman & Tversky, 1979)
このことについて書かれた論文で
論文『計画錯誤を探る:なぜ人は自分のタスク完了までの時間を過小評価するのか?』
※原題:Buehler, Roger, Dale Griffin, and Michael Ross. 1994.
“Exploring the ‘Planning Fallacy’: Why People Underestimate Their Task Completion Times.”
Journal of Personality and Social Psychology 67 (3): 366–81.
というものがあり、
この内容を読んで、
たいへん納得&共感しました。
■ということで
その内容について、
以下簡単にポイントをまとめてみます。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【論文まとめ『計画錯誤を探る:なぜ人は自分のタスク完了までの時間を過小評価するのか?』】
<論文の内容>
「計画錯誤」について
以下の3点について仮説検証を行うこととした。
(仮説a)
・人は自分の完了時間を過小評価するが
他人の完了時間は過小評価しない。
(仮説b)
・人は過去の経験よりも
計画に基づくシナリオを重視して予測を行う
(仮説c)
・人の属性が過去の経験の関連性を低下させる
<論文の結果>
・(仮説a)~(仮説c)いずれも、支持された。
・上記結果より、強固な「楽観性バイアス」が
発生していることがわかった
・それを除くための条件を設けても、
依然として人は楽観性バイアスを持ち続けた
<結果の考察>
・なぜ人は計画錯誤をしても、
楽観的な予測をし続けるのか?
・それは、楽観主義がもたらす感情的、動機づけ的な効果は、
見積もりに間に合わなかったことで生じたかもしれない
小さなコストをも凌駕していたかもしれないから
・楽観的な予測は
モチベーションとパーフォマンスの向上に
関連する可能性がある
・時間予測を正確に行うインセンティブと、
楽観的に予測するインセンティブを比較して
見積もる必要がある
※参考:Buehler, Roger, Dale Griffin, and Michael Ross. 1994.
“Exploring the ‘Planning Fallacy’: Why People Underestimate Their Task Completion Times.”
Journal of Personality and Social Psychology 67 (3): 366–81.
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
(繰り返しますが、ざっくりまとめです)
■この論文を見て面白い!、と思ったのが、
・色々条件を変えても、
期日や必要な労力を甘く見る
”楽観的バイアス”が強固に働き続けた”
ことです。
■そうなのです。
色々振り返っても、
何度ギリギリ、あるいは遅れても、
人は繰り返すのです。
*
思えば私もそうです。
2年前、大学院の受験勉強で、
「毎週1冊本を読んで
受験までに16冊読む」
と意気揚々と宣言したときも、
とてもじゃないですがそんな
ハイペースで読むことはできませんでした。
約半分で終了しました。
*
あるいは
「100キロウルトラマラソンで
12時間で完走する!」
と宣言したときも、
結局見積もりが甘く、
暗くなって、ギリギリのゴールでした。
■はたまた、
今の卒業論文もそう。
「12月11日までに
ほぼ完了させる!」
と言ったものの、
80%止まりで力尽きております。
(それも近日超頑張ってその程度)
今週は、ほぼ毎日閉店まで
ジョナサンで書いていますが、
ほぼ毎日、結局
その日の計画も甘く、
立てた計画どおりはいかず
ちょっとずつズレ混んでいきました。
気づけば、金曜日です。
■結局、これは
「こうやって、こうやって
こう進めたらいけるじゃん!という
楽観的な計画」
という根拠なき計画であるゆえです。
まさに論文で示されたことと
同じことが起こっている証左であり、
だからこそ、答えが非常に実感を伴い、
ほら、やっぱそうだよね!と
納得できるものになった、という話です。
(全く誇れることではないんですが(汗))
■では、どうすればよいのか?
どうすれば「計画錯誤」を
避けることができるのでしょうか?
これには、いくつか
考察されることがあります。
たとえば
”過去の類似タスク経験を思い出し
対象タスクを完了する詳細な計画を立てる”
あるいは、
”問題に遭遇して、
タスクを完了出来なかったエピソードを
自発的に思い出す”
などは考えられます。
あるいは、
それでも楽観性バイアスに
とらわれる私のような場合は
”「すべてが可能な限り悪くなった」という仮定で
完成日を予測する”
ことです。
実はこのほうが
「最善の推測」をしたときよりも
偏りのない正確な予測になるそうです。
■ただし、です。
こうした”超悲観的な計画”をすると
「モチベーションが上がらない」
という可能性もあります。
こうしてこうして
こうしたらいけるっしょ!と
勢いて計画したほうが、実はやる気になるかもしれないのです。
いずれにせよ、
”楽観性バイアスで
人は甘く見積もる”
という事実を念頭に置く必要はあるにせよ
楽観性バイアスが働いても
必ず守れるように、
いくつか衆人環視で周りを巻き込んだ
マイルストーンを設けたりすることは
大切だと言えそうです。
■いずれにせよ最終的には大丈夫なように、
そして何より、後悔なきよう進めていきたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
==========================
<本日の名言>
本当に大事なことで、
格好つけたままやれることは一つもない。
ノーマン・メイラー
==========================