おもちゃのバスからの学びの拡張 ー1歳の息子から学ぶアクティブ・ラーニングー
(本日のお話 2533字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日金曜日は、1件のアポイント。
夕方からは大学院の授業でした。
また私事ですが、
本日、40歳の誕生日を迎えました。
(パチパチパチ←自分に)
もう40歳かという気持ちと
まだ40歳かという気持ちの両方ですが
人生はまだまだ続きますが
自分なりに毎日楽しみながら
積み重ねていく旅路を楽しみたいと思います。
メルマガお読み頂いている皆様、
いつもありがとうございます!
*
さて、本日のお話です。
今日は土曜日なのでゆるめのテーマで
お届けしたいと思います。
現在、我が家には
1歳11ヶ月の息子がおります。
例にもれず、車が好きなようです。
その中でも、バスが特にお気に入り。
そういえば、自分も
幼少期の将来なりたい職業に「バスの運転手さん」と
書いていたくらい、車輪には惹きつける何かがあるようです。
今日は、そんな
「息子とバスと学びの話」
をテーマに
成人学習やアクティブ・ラーニングに絡めて
気付きと学びをご共有させていただければと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは、
【おもちゃのバスからの学びの拡張 ー1歳の息子から学ぶアクティブ・ラーニングー】
それでは、どうぞ。
■「何かに没頭する」という姿は、
美しいものです。
年令問わず、
その姿からはエネルギーを感じ、
命を燃やしている雰囲気が伝わってきます。
(おおげさ?)
私もこの3日くらい論文に没頭しており、
気づけば体重が2キロ減っていました。
大変ですし、疲れますが、
充実していた時間でした。
■そんなのを横目に、
1歳11ヶ月の息子も、
あるものに没頭していました。
それが
「サウンドシリーズ サウンド&ライト 都営バス」
というおもちゃのバスです。
長さ30×高さ9.5×幅8cmいう
割りと大きめのバスでして、
かなりリアルに作られています。
■最近、いつも
「ばちゅ、ばちゅ、ばちゅ」
(※バスと発音できない)
連呼をしているので
よほどバスが好きなのだろうと思い、
「早めのクリスマスプレゼントとして
バスのおもちゃ、あげようか」
と妻と話していました。
せっかくなので
学術的な観点からもセットにして
・『バスがいっぱい!』
・『めくりしかけえほん のりもの どうなってるの? [知育・しかけ絵本]』
などの絵本も併せて購入しよう、
そうやって、”バス関連”に絞って
学びを拡張してみてはどうだろうか、
と考えました。
■そして、いざ購入。
翌々日、
「サウンドシリーズ サウンド&ライト 都営バス」
が届き、目の前に置いた瞬間
彼の目の奥に煌めきが見えました。
それ依頼、
片時も離さず、
バス、バス、バス
とつぶやき続けながら、
・縦・横・ナナメ、
・裏側・上方
・ドアの中身、運転席、
まさにありとあらゆるところから
穴が空くほど、観察をしています。
音がなるボタンを押して
「ドアが締まります。ご注意下さい」
を連呼させています。
■保育園から家に帰ったら、
まずバスのもとへ。
朝、4時位にムクッと起き上がり
てくてく歩いて、バスのもとへ。
寝食を忘れてバスにはまる姿は、
「まさに、没頭するとは
こういうことか、、、」
と感動すら覚えます。
大人こそこういったスタンスから
学ぶことも多いのだろう、
もしこんな風に、
論文に没頭し続けられたら
いいものできそうだな、、、
などと考えてしまいました。
■少し真面目な話をしますと
学問上の定義では、
・大人の学習のことを『アンドラゴジー』
・子供の学習のことを『ペタゴジー』
と区別されます
*
まず、大人の学習『アンドラゴジー』ですが
その語源はギリシャ語の
「大人(aner)+指導(agogus)」を
組み合わせた言葉です。
アンドラゴジーの特徴は、
アメリカの教育学者ノールズによると
以下の4つにあると言われます。
1,自ら学習計画を立て、自ら評価する
2,自身のこれまで経験が、学習の基盤となる
3,学習の動機が、日常生活や普段の仕事にある
4,問題解決が目的(学ぶことが目的ではない)
とのこと。
大人は、
「自分で関係あることを、自ら学びたい」
といいます。
*
一方、子供の学習『ペタゴジー』ですが、
その語源はギリシャ語の
「子ども(paid)と指導(agogus)」を
2つから成り立ちます。
ペタゴジーの特徴は
学校教育に見られるように
1、教え導かれる
2,教師が定めたカリキュラムがある
3,教科書に沿って進む
です。
子供は、「先生から学ぶ」のが基本です。
■と、いうように
援助を通じて学びを促す「大人の学習」と
物事を教えこんでいく「子供の学習」
はそれぞれ特徴が違う、
アンドラゴジー、ペタゴジーは区別されている、
というのが基本的な考えでした。
■しかし思います。
基本そうであるとしても、
バスにはまる息子の様子、
そこから急激に学習を促進する様子を思い返します。
色んな絵本があっても
「バス関連だけ食いつきが違う」
わけです。
そして
・サウンド&バスの、ボタンの音声から
”タイヤ、ドア、まる”
”はっしゃします”
”あーとうごじゃいす(ありがとうございます)”
等の豊富な語彙を獲得しつつあること、
あるいは
・バスの絵本で
”あかいバス”
”みずたまバス”
”くねくねバス”
”とえいバス”
など副詞+名詞の二単語の意味を理解しつつあること
、、、
そんなことから見えるように
『バスからの主体的な学びの拡張』
は間違いなく存在しており、
そこにはアンドラゴジーの特徴として見られる
”自ら学習を促進させていく様子”
が感じられていました。
■そう、
子供も大人の学習者に見られる
「自ら学ぶ」
ことを1歳であろうが、
やっぱり行っているわけです。
*
そしてこのことについて
同じく教育学者ノールズは1970年代に
このように述べました。
”アンドラゴジーは成人だけではなく
教授法の1つとして子供の教育に取り入れられる”
、、、と。
そしてそれが
「主体的な学び」
「アクティブ・ラーニング」
として発展していったとされます。
■このような学習の歴史を
サウンド&バスからの学びの拡張を
息子を媒介して目の当たりにすることで、
私自身が学ばされたような気がしました。
もちろん幼児の場合、やはり外の世界に
アクセスする手段をもたないため、
やはりしばしば言われるように
「学びの拡張」のためには
周りの大人達のサポートが必要、
というのはあるのでしょう。
■しかし、基本路線としてバスに没頭し
その周辺領域を探索する、
・バスの種類(都営バス、水上バス、幼稚園バス)
・バスの構造(運転席、ドア、タイヤ、エンジン)
・その他の乗り物
ことで、
『一つに没頭しながら、
そこから拡張していく』
『一つに没頭をしながら
専門性を広げつつ、世界を知る』
ということは地続きになっている、
と思いましたし、ぜひ大切にしていきたい、
そんなことを思った次第でございます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
どんな分野の知識でも、それに熟達するには、
隣接するものについて学ばねばならない。
したがって何かを知るには、すべてを知らなければならないのだ。
オリバー・ウェンデル・ホームズ
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