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3229号 2022年12月24日

仲良しチームのデスマーチ ー失敗するチームの5ステップー

(本日のお話 2356字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日金曜日は、
外部顧問として関わっている
金融機関の人事の皆様へコーチングなど。

また夕方からは大学院の授業でした。



さて、本日のお話です。

昨日大学院の授業で
「チームワーク論」がありました。

その中で、大変
印象に残る話がありました。

今日はそのお話のご紹介と共に
学びと気づきを皆様にご共有させて
いただければと思います。

それでは早速まいましょう!

タイトルは



【仲良しチームのデスマーチ ー失敗するチームの5ステップー】



それでは、どうぞ。



■「チーム」には
多くのメリットがあります。

集団(人との繋がり)が
もたらしてくれる機能として

1,難しい問題を解決できる
2,人のウェルビーイングを高めることができる
3,自己を理解する枠組みを与えてくれる
4,アイデンティティ確立に貢献する

などがあるそう。



■確かに仕事をしていても、
あるいはスポーツなどでも


”集団になることで
 大きなことが達成できる”


という実感を持たれている方は、
決して少なくないのでは、

と思います。

一人では、できることは
ごくごく限られているものです。


そして人が集結した”集合知”は
たいてい一人の答えよりも優れています。



■とはいえ、

チームいいよね!
最高じゃん!

とシンプルにならないのが
世の常でございます。

チームになったらなったで
摩擦も起きるし、
集団だからこその懸念も起こります。

いわゆる、

”集団になることゆえの副作用”

とでもいいましょうか。


その代表的なものが

『集団的浅慮』

などで

・自分たちの能力を過信して誤った判断を下してしまう
・皆言っているから大丈夫だろうと盲信してしまう

ことが起こりますし、

あるいは

『社会的手抜き』

なんていって

「ま、だれかやってくれるっしょ」
「皆それなりにやってるから、自分もそこそこで」

みたいに、集まるゆえの手抜き、
が起こることもあります。


そしてこうした現象は、
チームに関わる誰もがきっと
体験したことがあることなのでしょう。




■そして、その中で、

意外な事実として、


『コケるチームのデス・マーチ』


という話が授業で紹介されて、
非常に面白いなあ、

そしてちょっと、
ギクリ、と思ったのでした。



■では、どんな話かというと、

”コケるチームは
 仲良し信奉の罠にハマる”
 
というのです。


書籍『チームワーキング』
(中原・田中2021)によると、

あるプロジェクトにおける成果において

最上位チームと最下位チームで

「チームを動かす上で
 メンバーが大切だと思っていることはなにか?」
 
についてその違いに注目しました。

ちなみに質問の選択肢は

1,全員が納得するまで話し合うこと

2,目標を握り合うこと

3,良い人間関係を保つこと

4,使える時間を意識すること

5,情報共有を密にすること

の5つ、最上位チームと最下位チーム
それぞれどれを、どのくらい重要しているか、

という質問です。




■そして、その結果、
わかったことがあります。

それは、

最上位チームと最下位チームで
もっとも差が大きかった項目は

”「3,良い人間関係を保つこと」”

でした。

ちなみに、

”最下位チームほど、
 「良い人間関係を保つこと」を
 重視していた(!)”

のです。



■え、、、チームって
人間関係大事じゃないの?

と思われる中、
意外な結果かもしれません。
 

しかし、チームの目標ではなく、

「3、良い人間関係を保つこと」

が”目的化”すると、
以下のように連鎖して
チームの成果が出なくなるそうです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<仲良しチームのデス・マーチ>

STEP1、「仲良し」の目的化
 ↓
STEP2、個業化(サイロ化)
 ↓
STEP3、ブラックボックス化
 ↓
STEP4、チーム視点の喪失
 ↓
STEP5, コケる

※立教大学大学院 経営学専攻LDC 
 「チームワーク論」授業より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

とのこと。



■すなわち、

・「仲良くなろう」とするあまり、
 お互いに気を遣い、衝突を恐れ、遠慮する。
 ↓
・軋轢を避けるので
 個人で片付けようとして
 結果として「個業化」する。
 ↓
・そして、お互いが何をしているか
 わからなくなっていく「ブラックボックス化」が起こる。
 ↓
・そうすると、
 チームでどこに向かっているのか、
 チームの良い点、改善点はどこかなどの
 「チーム視点」が失われベクトルがずれてくる。
 ↓
・そして、「コケる」となる。。。


というわけです。



■、、、しかも、です。

どうやら仲良し意識、つまり

”私たちは、チーム内で議論し
 関係性が悪くなるくらいなら
 チームの関係性を重視したい”

という意識を持っている場合、


「関係性の質 に -0.185 の影響」


があることがわかった(!)、とのこと。



■何たる皮肉でしょう。。。

「関係性を大事にしたい」

と頑張るほどに

軋轢や摩擦を避けるようとして
結果的に関係性が良くならない、

というジレンマです。


結局、

チームの目的・目標に向かって
喧々諤々やりあったほうが、

戦友ではないですが、
仲良くなれるというわけです。



■そして、

改めてこうしたデータをみると、
チームでワークする中で

「表面的に仲良くやっても
 人間関係の面でも、成果の面でも、
 結局、どちらもいいことはない」

と気付かされます。

そうすると、

意見の相違や、価値観の違い
意思決定やフィードバックなど
精神的・物理的な負荷は望ましいものではないと思う一方、


”人と人が協働しようとする際に、
 摩擦はエネルギーを生み出すための
 必要な現象である”
 

と思えるようにも感じます。 

人と人が共同するとは
エネルギーとエネルギーがぶつかり合うことでうまれる
「摩擦熱」みたいなもの。

ゆえに、許容していけばよい、とも
いえるのかもしれません。

(といっても大変ですけど)



■人と組織を考える上で、
色々起こってしまうものです。


ですが、

そうしたものはあるし、
そうしたほうがむしろ成果に繋がる、

と思えると、

少しだけ肩の荷が降りるような気もする、、、
そんなことも感じます。


いずれにせよ

「仲良しチームのデス・マーチ」にならないよう、
チームの目的を見据え、歩むことの大切さを
改めて考えさせられた次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

鳥が大気の抵抗に逆らって飛び立つように、
逆境に挑む力こそが、人間を飛翔させるのだ。

ロア=バストス
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