キャリアの意思決定は、遺伝子によって決まる?!
(本日のお話 1753字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
さて、本日のお話です。
一応、キャリアについての本を
なんとなく開いている今日この頃。
論文を提出して
やや余裕が出ていますが
なんだかやる気がでなくて、
ダラダラと勉強しております(汗)
とはいえ、その中で、
『計画された偶然性理論』
(プランドハプンドスタンス)
という有名なキャリア理論を語った
クランボルツ博士の
「キャリアの学習理論からのアプローチ」
というお話が新鮮で、
興味深く「おっ」と思えるものでした。
今日はそのお話について、
学びと気づきをご共有させていただきます。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【キャリアの意思決定は、遺伝子によって決まる?!】
それでは、どうぞ。
■人は学習する生き物です。
そして学習したことで
物事を決めていったりします。
特に、
お勉強的に学ぶだけではなく、
他者を観察して学ぶことをなど
人からの学びも含めて経験します。
これを
「社会的学習」
とバンデューラは言いました。
■そして、クランボルツは
この「社会的学習理論」を基礎にして、
『キャリア意思決定における社会的学習理論』
(Social Learning Theory of Career Decision Making)
として理論化しました。
略して「SLTCDM」!です
(略されてないような・・・汗)
■と、名前は一旦置いておいて、この
”キャリア意思決定における
社会的学習理論(SLTCDM)”
では、
「キャリア選択が社会的な学習の観点から
どのように行われるのか?」
を説明してくれる理論になっています。
■この理論をみると、私たちは
「なぜ特定の職業を選択するのか?」
「なぜ職業を変えるのか?」
「色々な職業に対して好みがあるのはなぜか?」
などの質問にいくつかの
答えを示してくれるのです。
*
そして、この理論では、
「個人のキャリアの意思決定に影響を与える要因」として
4つのカテゴリーを整理してくれるのでした。
この内容が、なかなかにパンチが効いていて、
興味深い内容なのです。
以下の4つです。
(ここから)
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<個人のキャリアの意思決定に影響を与える 4つの要因>
(1)遺伝的特性・特別な能力
・遺伝的特性には、性差(ジェンダー)、民族、
身体的外見、身体的障害などが含まれる。
・特別な能力には、知能や音楽・芸術に関する能力や
運動能力などが含まれる。
・特別な能力は、遺伝的特性と
選ばれた環境の相互作用の結果として生じてくる。
(2)環境的状況・環境的出来事
・個人のコントロールを超えている出来事であり、
社会的力・政治的力・経済的力である。
・雇用機会や訓練機会の数・質、
社会政策や雇用選抜の方法、様々な職種の金銭的・社会的報酬、
労働法や労働組合法、自然災害、身の回りにある資源の入手可能性、
技術開発、社会的組織の変化(例:福祉)、家族の社会的・経済的資源、
教育システム、コミュニティの影響力などである。
(3)学習経験
・人はそれぞれの学習経験を覚えていなくとも、
総括した結論というものを有している。
・例えば、「私は人を援助するのが好きだ」という場合、
人を援助することで、褒められたりした肯定的な結果を学習してきたはずである。
・道具的学習(=直接何かを経験して、良い結果を学習する)こと、あるいは
連合学習(=観察学習を含む 例:医者に母親が感謝しているのを見た)の2つの学習がある。
(4)課題接近スキル
・上記の(1)~(3)の相互作用の結果が課題接近スキルである。
・例えば、「医者」というモデルに、学習経験により興味を持ったとする。
そこで、(1)医者になるための遺伝的能力(知能)があり、
かつ(2)医者になるための経済的資源を家庭が持つ(環境的状況)のであれば、
「医者になる」という取り組みに向けて、目標を決め、近づく取り組みができる。
※渡辺三枝子(編著). (2018).『新版 キャリアの心理学[第2版] キャリア支援への発達的アプローチ』. ナカニシヤ出版 p.136-141
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(ここまで)
とのこと。
■さて、いかがでしょうか?
サラッと見ると、
「なんだか文字が多い・・・」
でおしまいかもしれませんが、
結構、衝撃的なことが書かれていると
私は思ってしまいました。。。
そして、私はこれを見た時に
「やっぱり・・・」
と思いました。
サラリと書いてありますが、
ある種の人にとっては不都合な現実が
触れられていると思ったのです。
■なぜそう思うか?
その理由は、キャリアの意思決定の大部分が、
(1)遺伝的特性・特別な能力
(2)環境的状況・環境的出来事
という、
”個人ではどうしようもないこと”
であることだからです。
*
まず、
(1)遺伝的特性・特別な能力
です。
身体的特徴もさることながら
ここには「知能」も含まれています。
水泳選手が、手足が長いという
身体的特徴を持っていたり、
ピアニストが絶対音感を持っているという
音楽的才能を有していたりしたほうが
有利なことはわかります。
ただ同じように「知能」も
遺伝子によって決まるといいます。。
知的労働に携わる人が
高い知能を有していたりするほうが
その領域における「勝率」は高まります。
これはある意味、不都合な真実です。
■加えて、
(2)環境的状況・環境的出来事
も、そうです。
これも、
”個人のコントロールを超えている出来事”
と明言されています。
生まれ持った文化や制度、
生まれた家庭が持っている資源、
それによって選択の幅は変わります。
そして、ようやく3つ目に
自分が影響を与えられそうなものとして
(3)学習経験
が出てくるわけです。
最後の(4)課題接近スキルは
全ての相互作用と説明されるので、
明確に自分が影響を与えられるとは限りません。
■こう見てみると、思うわけです。
「キャリアも遺伝子には抗えない」
、、、のかもしれない、と。
こうみると、悲観的に感じるかもしれません。
ただ、それを認めたほうが、
実はラクなのでは、
と思うようになりました。
そのほうが、
自分なりのキャリアを
否、「自分だけのキャリア」を、
潔く歩めるような気がしたのでした。
■私(紀藤)の話になり恐縮ですが、
大学院で学んで、理解したことがありました。
それは
「本当に賢い人がいる」
ということです(汗)
ああ、この人達には、
この領域で逆立ちしても勝てない、
と強く思うシーンが何度もありました。
それは、負け惜しみではなく、
事実として感じたのです。
そこには、極端な話、
遺伝子の違いのようなものを
個人的に感じていました。
■ただ、
それがあるものと認めれば
そして違いであると認めれば、
「自分が持つ特別な能力はなにか」
という問いに目を向けることができます。
遺伝的な要因を含めて、
「ついやってしまう」
「つい惹かれてしまう」
ものはなにか。
その分野を見極めて、
最大限に価値を発揮できる領域を見定めて、
積み上げていく。
このことが
個人のキャリアの意思決定でも
大切なことなのだろう、
と思ったのでした。
■一つの領域に
しっかり浸ろうとしたからこそ、
見えてきた限界と可能性。
遺伝子に抗わないキャリアを
自分なりに模索していきたい、
そして、
”自分だけの領域”
を尖らせていきたい、
そんなことを思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
いかに生きるかを学ぶには全生涯を要す。
セネカ
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