「人生の転機」をどう乗り越えるか(前編)ートランジション・アプローチから紐解くー
(本日のお話 2554字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は3件のアポイント。
またお昼は同世代のご活躍中の
商社マンとのランチ会食でした。
(Fさん、ありがとうございました!)
*
さて、本日のお話です。
本日も「キャリア」についての学びを
皆様におすそ分けさせていただければと思います。
今日のテーマは
「人生の転機」
でございます。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【「人生の転機」をどう乗り越えるか(前編)
ートランジション・アプローチから紐解くー】
それでは、どうぞ。
■少し前に、
『ドライブ・マイ・カー』
という映画を見ました。
村上春樹の小説を元にした映画で、
カンヌ国際映画祭でも3部門の受賞
アカデミー賞では国際長編映画賞を受賞、
ということで有名になりました。
(ご覧になられた方もいらっしゃるかと)
ネタバレしないようにお伝えすると、
ストーリーは、
舞台俳優で演出家である中年期の主人公が、
「突然、妻を亡くす」という場面から始まります。
その突然の喪失の中で、
ドライバーとして採用された女性との対話の中で
主人公が、自分が目を向けていなかった内面に目を向け、
そして新たな一歩を踏み出す、、、
そんな喪失と再生の物語です。
■このお話は
「予期していなかった出来事が起きたこと」
がきっかけになり、
主人公に痛みと再生という
一連の変化が起こっていく、
そんな物語とも言えます。
■そして、
この話がリアルなのは
現実世界でも同じだからです。
誰しも生きていれば
「人生の転機」が訪れます。
そんな転機(トランジション)に注目した研究者が
今回取り上げるナンシィ・シュロルスバーグ氏です。
生涯発達の中で、
高齢期や成人期に関心を持っており
実証的な研究を行ってきた方。
■人は歳を重ねるなかで、
・結婚
・転職
・引っ越し
・子供の成人
・役職定年
・離婚
・失業
・本人や家族の病気
・親の介護問題
・死別
など、様々な転機に出会う機会が
増えていきます。
起こりうる「人生の転機」とはなにか
どのように対処をするのか、
この対処法を知ることは
他人事ではないことでもある
と感じさせられます。
■さて、シュロルスバーグは
「人生の転機は3つある」と述べました。
それは、以下の3つです。
「1,期待していた出来事が起きたとき」
「2,予想していなかった出来事が起きたとき」
「3、期待していた出来事が起こらなかったとき」
とのこと。
もちろん人によって違いますが
例えば、
「1、期待していた出来事が起きたとき」とは、
昇進、転職、出産、などがかもしれません。
「2,予測していなかった出来事が起きたとき」
とは、いわゆる”まさか”というもので
突然の死別、大病、事故、会社の倒産などかもしれません。
「3,期待していた出来事が起こらなかったとき」とは、
期待していた昇進・異動・転職が起こらなかった、
などかもしれません。
■考えてみれば
予測していようがいまいが、
期待が起こるが起こるまいが
「人生の転機」は
私達の人生にゆらぎをもたらし
相応のインパクトをもたらします。
特に
2,予測していなかった出来事が起きたとき
3,期待していたことが起こらなかったとき
などは時に
ストレスを感じる可能性があるため
対処を考える必要がありそう。
いずれにしても、
対処の準備は必要そうです。
■シュロルスバーグいわく、
”人は生涯を通じて
様々や転機や変化を経験する”
といいますが、
より引いてみてみると、
この転機とは
『成人の発達』
という大きな枠組みの中の
1つの出来事と考えることができます。
そんな『成人の発達』の捉え方に
以下4つの視点があるとも述べています。
それが、以下の4つです。
ちょっとかための表現ですが、
サラリとご覧くださいませ。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【成人の発達の4つの視点】
<1)Contextual,Cultural(文脈的、文化的)>
・環境、前提が個人の人生にインパクトを与える
(例えば、
ベーカリーで週6日、朝3時からパンを焼く仕事をして、
昼過ぎまで働く人の労働は、その人の余暇、家族、健康、
社会的活動を規定する)
<2)Developmental(発達的)>
・成人の発達には、順序付けられた、
しかも一般に共通した性質がある。
(例えば、Levinsonは
1,親離れの段階(16-20歳)
2,大人の仲間入り段階(21-29歳)
3,一家を構える段階(30-34歳)
4,自分を確立し始める段階(35-39歳)
5,中年期の過渡期(40-42歳)
6,再安定期(43-50歳)と表現した)
<3)Life Span(ライフ・スパン)>
・様々な転機を個々の生涯にわたる連続した課題として捉え、
その課題を超えて人は多様に広がっていく。
(例えば、
個人の10歳のグループと
個人の60歳のグループを比較すると、
60歳のグループの方がはるかに多様性を持っている。
このように個人は奥義のように多様化していく)
<4)Transitional(転機)>
・変化を引き起こす人生上の出来事自体と
その対処に焦点を当てる
(例えば、
シュロルスバーグは
途方にくれるような心的外傷を受ける経験となる一方、
成長のための変化をもたらす素晴らしい機会にもなる、とした)
※渡辺三枝子(編著)(2018)『新版 キャリアの心理学[第2版] キャリア支援への発達的アプローチ』.ナカニシヤ出版 p190-191より引用
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■なるほど。すなわち、
「成人の発達」という観点でも
様々であるようです。
・今自分がいる「環境」も
自分の課題に影響を与える
・年齡などを含めた「発達段階」によって
今の自分の課題が特定される
・人生の歩みが長くなれば(ライフ・スパン)
人の課題は千差万別になる
・「人生の転機」となる出来事によって
人は成長していく
、、、
どれも言われてみれば
うーん、たしかにそうだな、
と思えます。
■と、やや情報過多に
なってしまいましたが、
こうした視点を持っておくことは
時に役立つとも思います。
例えば、
「現在転機の真っ只にいて、
苦しさを感じている」
としたとき。
それを、
・「成人の発達」という視点で捉えること
・「3つの転機」という視点で捉えること
によって、
”その出来事に埋没する本人”
という当事者視点だけではなく、
少し距離をおいて、
”発達していく一個人として自分”
を研究者視点(俯瞰的視点)でみることに、
役立つのかもしれない、
とも感じます。
■そして、
シュロルスバーグは具体的に
”人生の転機に対処する『4Sシステム』”
を提唱しておりますが、
こちらについては長くなったので
明日に続けたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の明言>
人間とは、自分の運命を支配する
自由な者のことである。
カール・マルクス
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