カウンセリングってなんだ? ーキャリアにおけるカウンセリングの理論(前編)ー
(本日のお話 2543字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
さて、本日のお話です。
本日も引き続き、
キャリアについての学びのおすそ分けを
お届けできればと思います。
今日からは、
「カウンセリングの理論&技法」
のお話に入っていきたいと思います。
それでは早速参りましょう!
タイトルは、
【カウンセリングってなんだ? ーキャリアにおけるカウンセリングの理論(前編)ー】
それでは、どうぞ。
■キャリアをテーマにして、
人を支援する手法は実に様々です。
例えば、
”キャリアコーチング”
という手法が、
コーチングの本では
紹介されています。
はたまた、米国では
”キャリアカウンセリング”
と呼ばれています。
そして日本において
国家資格となっているものは
”キャリアコンサルティング”
であります。
■うーん、悩ましい。
コーチング
カウンセリング
コンサルティング。
文字面の印象は違うものの、
一体何がどう違うのか、、、?
それぞれの言葉が
何を意味しているのか、
について、
なんとも掴みどころがない印象もあります。
■ある本では
・コーチング= 「解決」に焦点 × 「問い(ask)」が中心
・カウンセリング= 「問題」に焦点×「問い(ask)」が中心
・ティーチング= 「解決」に焦点 ×「教える(Tell)」が中心
・コンサルティング= 「問題」に焦点 ×「教える(Tell)が中心
という切り分け方もされています。
(伊藤,2010)
ただ、これも一つの切り分け方のため
一概には言えなさそうです。
(諸説あり、ですね)
■では、その中で
一体「カウンセリング」とは
果たしてどういう意味なのか?
まず、カウンセリングという言葉に
フォーカスをして、
どのようなことが言われているのか
整理をしてみたいと思います。
以下、書籍から参考にしつつ、
まとめてみます。
(ここから)
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【カウンセリングとは】
○カウンセリングの定義
・カウンセリングとは、言語的および
非言語的コミュニケーションを通じて
行動の変容を試みる人間関係である。(國分, 1996)
○カウンセリングの基本理論
1)精神分析論(精神分析)
2)自己理論(来談者中心療法)
3)行動理論(行動療法)
の3つが基本となっている。
続いて、
論理療法・ゲシュタルト療法・交流分析、
新しい動きとして、社会構成主義を入れたカウンセリング、
などがある。
○カウンセリングの理論に共通していること
・”(クライアントへの)理解の重要性”が共通している。
1)「何を言っているか」ではなく
「何を言おうとしているか」に留意する
2)話している内容だけではなく、
話をしているプロセス(雰囲気、文脈)に留意をする
3)何に悩んでいるかだけでなく、
その人全体をみることが重要である
※引用元:浅野浩美(2022).『キャリアコンサルタント・人事パーソンのためのキャリアコンサルティング』.労務行政 p.84-86
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とのこと。
■なるほど。
・カウンセリングの定義
・カウンセリングの理論に共通していること
などでは
「対話を通じたクライアントの行動変容」
「クライアントに対する理解が重要」
とされているのですね。
コーチングでいっていることと
共通していることも含まれるようです。
あえてコーチングとの違いをみると、
”個人の成長や発達を促すもの”
がコーチングの共通の定義とされている
(西垣,2022)
とのことで、
若干のニュアンスの違いが
あるようにも思われます。
■つぎに、
・キャリアカウンセリング
・キャリアコンサルティング
の違いについて、
以下見てみたいと思います。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【キャリアカウンセリングとは】
○キャリアカウンセリングについて
・カウンセリングというと、
心理的な問題や悩み、症状などを解決するために行われるもの
と理解されている人もいるかもしれない。
・しかし、カウンセリングの中には「育てるカウンセリング」もあり
キャリアカウンセリングは、その代表的なものである(p,84)
○キャリアカウンセリングの定義
・「個人のキャリア形成を支援するためのカウンセリング」(木村, 2016)
「人を育て、能力開発を支援するためのカウンセリング」(宮城, 2009)
「職業生活に焦点をあてたカウンセリング」(渡辺, 2001)
などと、さまざまに定義される。
○キャリアコンサルティングとの違い
・キャリアコンサルティングは、日本では
職業能力開発促進法2条5項において
「労働者の職業の選択、職業生活設計又は
職業能力の開発及び、関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと」
と定義されている。
・厚生労働省(2002)の報告書には
アメリカで「キャリアカウンセリング」と呼称されているものとほぼ同義だが
1,カウンセリングという用語が心理的療法を想起させること
2,キャリアカウンセリングという用語の多義性
3,日本におけるニーズ
を考慮して、キャリアコンサルティングと称する
と記載されている。
※引用元:浅野浩美(2022).『キャリアコンサルタント・人事パーソンのためのキャリアコンサルティング』.労務行政 p.88-89
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■ほうほう。
・「育てるカウンセリング」があり
キャリアカウンセリングはそのなかの代表
・キャリアカウンセリングと
キャリアコンサルティングはほぼ同義
なのですね。
■、、、と、
カウンセリングの定義や理論
その背景について見てきました。
言ってしまえば、
細かい話かもしれません。
「定義や理論など
別に実務には関係ないよね」
と思われる方も、いるかもしれません。
(自分の中のもう一人もそう言っている)
ただ面白いなと思うのが、
こうした用いられている言葉について
・どういう背景で生まれて
・どういう定義がされており
・どういう行動が付随するのか
を注意してみると、
その世界観を、
よりリアルに捉えることができるようになる、
とも感じます。
■私たちは
言葉を用いて思考して、
言葉によって概念を分け、
頭の中で整理をします。
「言葉の定義を知る」
ことで理解が深まるのも、
きっとそういうことなのだろうな、
、、、そんなことを思った次第。
ということで、
カウンセリングの具体的な理論、
1)精神分析論(精神分析)
2)自己理論(来談者中心療法)
3)行動理論(行動療法)
などについては、次に続けたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
人間というのは、わが身のことになればおのれを甘やかし、
たやすく騙されてしまう。
マキャヴェッリ
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