人間、その非合理な存在よ ー事業承継勉強会に参加をして思うことー
(本日のお話 1,777字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日はコーチング1件と
アポイントを3件。
また、午後は事業承継についての
大学院関連の勉強会でした。
夜は大学院の仲間との懇親会でした。
今週はほぼ毎日飲んでおります。
*
さて、本日のお話です。
昨日、一昨日と
「事業承継の勉強会」
に参加をしておりました。
今日はその勉強会に参加をした学びについて
皆さまにご共有させていただければと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは
【人間、その非合理な存在よ ー事業承継勉強会に参加をして思うことー】
それでは、どうぞ。
■事業承継は、今の時代、
大きな問題の一つとなっています。
日本でも創業後後継者不在により
廃業するという会社が多く存在しています。
そこには、
ビジネスの市場の問題
売上規模の問題
など、今後の成長が見込めないから
廃業をするというパターンも
もちろんあります。
■一方、企業としては
成長を続けているのに
・後継者が育っていない
・創業者と後継者の信頼の不足
・創業者が離れたがらない(役割喪失の不安)
・父と子のこれまでの歴史や感情のわだかまり
等により、
上手く事業承継がなされず、
そして事業的にも
関わる人の感情としても
望ましくない結果になるケースもままあるようです。
■そうした
・事業承継
・ファミリービジネス
において
論文を合計16本参加者で分担して読み、
お互いに説明し合うという勉強会が
2日間に亘って行われておりました。
■色々内容が濃くて
自分の中でも整理できていないのですが
「特に面白いな」
と個人的に感じたことが
ある論文において語られていた
以下のお話でした。
*
どういう内容かというと、
同族企業のオーナーの
40グループを対象に行なった調査にて、
「後継者育成のプロセスを破綻する要因」
をインタビュー調査したところ
以下の3パターンが見出された
というお話です。
曰く、
・その1:家族間の関係の問題(2つの分析で60%の割合で言及された重要な要因)
・その2:相続人の準備が十分でない(25%)
・その3:計画・統制活動に関する問題(10%)
により後継者育成プロセスが
上手くいかなかった、とのこと。
※引用:ファミリービジネスの移行における成功の相関関係。
Morris, M., Williams, R., Allen, J., & Avila, R. (1997).
Correlates of success in family business transitions. Journal of Business Venturing, 12, 385-401.
■なるほど、、、実に興味深いです。
後継者育成のプロセスを
上手くいかなくさせている半分以上が
「家族間の関係」
なのですね。。。
ファミリービジネスにおいて、
仕事は仕事、家庭は家庭と割り切れない。
まさに、
”人間くさくて生々しい”
ようすが興味深いです。
■また他の研究では、
こんな事が言われています。
創業者の”心理”のような話です。
・後継者育成を先延ばしにする理由は、
起業家が引退を自分の死と結びつけることである
(Poe, 1980; Lansberg, 1998; Jacobs, 1986; Seymour, 1993)。
・家族の中で中心的な役割を失うことへの不安から、
起業家が不可避な継承を先延ばしにしている可能性もある(Lansberg, 1998)。
とのこと。
創業者が
・「引退=自分の死」と考える
・「引退=自分の中心的な役割を失う不安」がある
そんな風に、
事業承継をビジネス的なイベントではなく
自らのアイデンティティの喪失に
繋がるような意識があることも
(そして実際にそう)
”人間くさくて生々しい”
ものだと思えます。
■合理的に
従業員や事業の
最大公約数的としてのメリットを
冷静に見積もれば、
創業者は、早く引退したほうが
よいのもしれませんし、
あるいは後継者育成のプロセスも
早めに行ったほうがよいのでしょう、
、、、ただ、
「そんなに合理的にはいかない」
というのが、
これらの論文を読んで
総じて思ったことでした。
■時の意思決定者である
オーナー社長が自らの手によって、
・蓄積してきた家族の人間関係の
”澱”と向き合うことができるか?
・中心的な役割を失うという
”不安”と向き合うことができるか?
・アイデンティティ喪失という
”恐れ”と向き合うことができるか?
それを、自分で自分に
引導を渡せるかというと、
”自分の現状が見えていたとしても
相当ハードルが高い”
と思いますし、
”周りからのフィードバックがなく、
自分の姿が見えていなければ
更にハードルが高い”
となります。
■ゆえに、
「合理的に考えれば
こうしたほうがいい」
が成り立たない理由として
事業承継の水面下の深く
ちょっとドロっとした感情的な部分を
感じさせられた勉強会でもありました。
「人間は非合理な存在である」
そんなことを思った次第です。
実に学びになりました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
人はその好むところをもって、
真実とするなり。
デモステネス
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