今週の一冊『死は存在しない ―最先端量子科学が示す新たな仮説』
(本日のお話 2160字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
この週末は大学院の卒業旅行。
伊豆に来ております。
もう大学院もいよいよ終わりだなあ、
としみじみ感じるこの頃です。
春ですね。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は
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『死は存在しない ― 最先端量子科学が示す新たな仮説』
田坂広志 (著)/光文社新書
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です。
■「死」。
きっと皆様も、
生まれてから一度くらいは、
”死んだら自分はどうなるのか?”
という問いについて
考えたことがあるのではないか、
と思います。
■一方、人によっては、
「死後の世界」
というワードが出ると
反射的に、
「宗教的である、抽象的だ
科学的ではない」
と抵抗感を覚える方も
いらっしゃるかもしれません。
特に日本では、
こうした目に見えないことに対して
暗黙のタブー視のようなものがあるように
私は感じております。
(が、個人的にはだいぶ好きな話)
■さて、
今週ご紹介する一冊は、まさに
そんな「死」や「超常現象」をテーマに
真ん中で語った一冊。
まさに、
『死は存在しない』
というタイトルから、
すでにメルマガを開く人、開かない人
そして解除ボタンを押す人など、
様々な選択を促すものかもしれません。
■、、、しかしながら、
この本は、大変興味深い一冊です。
好き嫌いはわかりますが
個人的には大ヒットでした。
こうした話は
こと怪しい系に振り切る本が多いですが、
それを「科学的視点」で
知的に描かれているところが新鮮だったのです。
■まず、
この本の著者である
田坂広志氏は、このような方です。
(以下、Wikipediaより)
・日本の技術者、経営学者。
・学位は工学博士(東京大学)
・多摩大学大学院名誉教授
・田坂塾 塾長。2005年米国Japan SocietyよりUS-Japan Innovatorsに選ばれる。
・2008年世界経済フォーラム(ダボス会議)Global Agenda Councilメンバーに就任。
・2010年世界賢人会議・ブダペストクラブ日本代表に就任
・2011年東日本大震災に伴い、内閣官房参与に就任。
・シンクタンク・ソフィアバンク・President。詩人。思想家
とのこと。
経歴のルーツは
工学博士であり、原子力の専門家。
もともと、
”生粋の科学者”
であられる点が、
この本の紹介に先立って
特筆すべきところかと思います。
■そうした、科学者でもある著者が、
「死の存在」について
『「科学」と「宗教」の橋渡しをする』
という観点で、
理論的で科学的な視点と
宗教的な真実との共通性を
”あり得ない偶然”
”意識の動き”など
現在の科学では説明できないことをを、
著者の広大な知識と、深淵な問い、
生命への尊重を併せて、
静かな熱量で読者に問い、
語りかけてくる著書でございます。
■さて、ではこの本で
何が述べられているのか?
まず、冒頭では
「現在の科学の限界」
を踏まえた上での
新たな仮説についてです。
*
最初に、
”「科学」という名の宗教”
と表現されることへの
疑義から始まります。
具体的には
・現代の科学は「唯物論的科学」であり、
この世界の本質は「物質」である、という前提に立つ
・それは生命も、意識や心も、
複雑な物理的・科学的な相互作用の結果
生まれてきたものであるという立場である
・ゆえに「意識」は脳内の電気信号であり、
「死」とは肉体が生命反応を示さなくなること、とする
・しかしながら、この現代の科学には
「3つの限界」があるという。
・第一に、「要素還元主義」という限界があること
(要素をいくら分解しても、意識のような複雑なものは
説明することができない)
・第二に、「物質消滅」という限界があること。
(量子化学の世界をミクロに追求すると、
物質そのものが究めて不確かな存在であり、「波」でしかない)
・第三に、「説明不能」という限界があること。
(なぜそれが起こるのか?を説明できない。
例えば、なぜ自然定数が、奇跡とは言えない数字の組み合わせに
なっているのか、科学では説明できない)
と語られます。
つまり、
・「現代の科学」には限界がある。
・「死」や「意識」を語るに当たっては、
現代の科学だけにとらわれない新たな仮説が
必要とされる”
という問いから始まります。
■その上での仮説として
「量子物理学」で言われる
『ゼロ・ポイント・フィールド仮説』
を用います。
そしてそれこそが、
・死とはなにか、
・この世界とはどういったものか、
について
一つの答えを投げかけるものではないか、
と続けて行きます。
■そして本題ですが、
結論からすると、こうした話です。
(急に飛躍をするようですが
少しご容赦ください)
1)この宇宙のすべてのものは
「波動情報」である
2)その波動情報は時空を超えて
この宇宙に存在していることがわかっている
3)それらの情報(過去・現在。未来を含め)
集約されている「ゼロ・ポイント・フィールド」がある
そして、
・このゼロ・ポイント・フィールドにアクセスすることが
「虫の知らせ」や「不思議な偶然」と呼ばれる現象を
説明することができる仮説になりえる
といいます。
■前後の文脈を割愛して
話を進めると、どうしても
あやしい感じになってしまいそうですので、
ぜひご興味がある方は
著書をお読みいただければと思います。
ですが、
・我々の意識とは
ゼロ・ポイント・フィールドの一部であり、
そして死後はそこに帰っていく
と考えることが可能であり、
そうした視点に立つと
「死」というものに
これまでと違う見方ができる、
と展開されていきます。
■もちろん、
これらの話は仮説ではあります。
しかし、各宗教が
かつて伝えていきている
「なぜ我々が生まれ、
そして死んでいくのか」
「この世界は何なのか」
という
物語的なストーリーと
大変近い話になるの興味深いのです。
ある意味、
この世に生きているのは
「一つの夢」のようなものである。
死後はその夢から覚めて
より大きなものと一体になっていく、
そうした抽象的とも言える世界観について
「科学と宗教」のそれぞれの立場を尊重しつつ、
今わかっていること言えることを
きちんと峻別して語っていく切り口が、
こうした現代の科学とは相反するとテーマの中で、
大きな説得力を持つと感じさせられます。
■今回の本では
様々な科学、歴史、宗教の話を引用しつつ、
結局のところ生きるとは経験をして、
「”自分とは何か”を知る旅」
であり、
その集合として
世界が全体として、
「”世界が何か”を知る旅」
をしているのではないか、
と語っており、
その言葉が
この世界の裏側にあるルールとすると
もっと囚われず、
酸いも甘いも、辛さも哀しみも、
大切な経験として受け取って行けるのかもしれない、
そんなことを私は感じさせられました。
■ということで、
こうした話に興味がある方は
興味深く読むことができる一冊かと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<今週の一冊>
『死は存在しない ― 最先端量子科学が示す新たな仮説』
田坂広志 (著)/光文社新書
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