「強み」は大事。「弱み」の対処もやっぱり大事
(本日のお話 2250字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は終日、外部顧問として
サポートさせていただいている会社の
人材開発チームの皆様への5件のコーチング。
また夜は、前職の上司とのお食事でした。
*
さて、本日のお話です。
今日も引き続き、
ポジティブ・コーチングのお話を
続けてまいりたいと思います。
今日は、多くの人から
実に、よくいただくご質問、
「強みが大事というけど、
弱みはどうすりゃいいの?」
という疑問をテーマに、
お届けできればと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【「強み」は大事。「弱み」の対処もやっぱり大事】
それでは、どうぞ。
■「強み」に注目する、
というアプローチは、
個人と
他者との関係性において
肯定的な感情を生み出します。
個々人が持つ、
自然な思考・感情・行動のパターン(強みのもと)
に注目し、
それらを認識し、
チームで相互補完しながら、
目標に向かって活動することができれば
「幸福感」を高めるとともに
より良い「パフォーマンス」にも繋がると言います。
(Steen, Seligman, Peterson, &Part, 2005)
■基本的に
ポジティブアプローチは
傷つくリスクはなく、ゆえに、
取り組みやすいものです。
「強み」というと、
その響きだけで前向きな空気がしますし、
「自分の強み」を言葉にすれば
自己肯定感が高まるし
他者から自分の強みを
言語化して伝えてもらえると
承認された気持ちがして、
ますます嬉しくなるものです。
身近な人から言われたら
その言葉がしばらく湯たんぽのように
心を暖かくしてくれたりもします。
強みの承認は、心地よく
関係性を向上させ、
チームの信頼を高めるアプローチの一つです。
■そして、
「強みに注目する」アプローチも
そんなに複雑なものではありません。
「強みの開発」では
1)強みのボキャブラリーを増やす
(=ストレングス・ファインダーやVIAなどを活用する)
2)それらを通じて
自分と他者の強みを理解する
3)お互いの強みを承認し、
どのように活かせるか対話する
というシンプルなアプローチです。
シンプルとはいえ
強みという観点自体が新鮮であり、
ポジティブな感情で取り組め、
いぇうに新たな視点を自分と他者に吹き込みます。
やり方さえ学べば
個人と職場において、
比較的容易にメリットをもたらしてくれる
価値のある施策となります。
■一方、その中で
このような疑問を持つ方も
いらっしゃるのではないでしょうか?
それが
「強みに注目するのはいいけれど
”弱み”はどうするのか?」
という疑問です。
確かに、もっともです。
例えば、職場でも、
あるメンバーを見た時に
本人のパフォーマンスを生み出す上で
障害になっている行動があったり、
または誰かを困らせてしまう
考え方や行動があったり
それが職場に負の影響を
与えているならば、
「強みが大事だよね!」
と悠長なことを
言ってもいられないのも
ある意味、当然です。
だって、
「パフォーマンスが出ない」
わけですから。
■ここで大事なポイントは
『「強みに注目する」とは
「弱みを無視する」こととは違う』
ということです。
強みを大事に、といったとて
弱みを無視して良いわけではないのです。
*
このことを理解する上で
「ヨット」をイメージいただくと
よいかもしれません。
ヨットは、風を受けて
船を前に進める「帆」があります。
『強み』とは「帆」です。
帆(強み)を上手く活用できれば
成果を出すための推進力として
スピードに乗って力強く前に進むことができます。
一方、
『弱み』は船体に空いた「穴」です。
帆(強み)を張ってグイグイ前に進もうとしても、
もし船体に「穴」が空いていたとしたら。
そこから水が侵入し、進むことはおろか
沈没の恐れすらあります。
弱みはまず対処をしなければ、
強みを活用することもままならないのです。
■この話をする時に
私(紀藤)の過去のエピソードを
思い出してしまいます。
私は営業を長らくやってきました。
そして、それなりの成績を出してきたと思います。
(未だに自信があるわけではないのですが、、、)
前前職では
求人広告の営業をしていたのですが、
前の上司にこのように言われました。
「お前は新規も取ってこれるし
大型案件も受注ができる。
でも脇が甘い。
申込書や原稿のミスが多い。
後工程が弱すぎる。
だから信頼されない」
簡単に言うと、
上司からのフィードバックは
こういうメッセージでした。
(うーん、胸が痛い)
つまり、
「営業として数字を出す”強み”はある。
しかし、事務作業が”弱み”。
そこが対処できていないと
ステップアップは望めない」
ということ。
まさに、
”「帆」(強み)は張っているけれど
「穴」(弱み)があいたままなので
全体としての評価が高まらない”
という例でした。
■改めてですが
「強みに注目する」
ことは大事です。
しかし
「弱みに対処する」
ことも同じくらい大事です。
誰かを困らせて
迷惑をかけていることがあるならば、
あるいはパフォーマンスに対して
障害となる問題行動があるならば
その部分については、
”弱みに対処する”
(例:
・誰かに委任をする
・仕組みを作る
・チェックシートや行動リストなどのツールで補填する等)
が必要なのです。
■また、もしマネジャーなど
部下を持つ人であれば、
信頼関係構築としての
強みに注目したアプローチは
重要である一方、
弱みの是正についても、
話し合う必要があります。
もちろん、好き好んで
嫌われたい人はいません。
反発や抵抗の可能性がある
厳しいことをズバっと言うのも、
上司も人。当然ですが躊躇します。
「強みに注目する」アプローチは
信頼関係を育むものではあります。
しかし時に、
言う方も言われるほうも痛みを伴い、
血を流しながら問題点の改善をしようとする
ハードな関わりが必要とされることもあります。
「強みに注目」し、
愛を持って「弱みに対処」する。
そして、
それぞれのヨットを
力強く前に進ませていく
人と組織づくりを目指したいものである
そんなことを思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
もしこちらが親切を続ければ、
たとえ良心のひとかけらもない人間でも、
必ず受け入れてくれるだろう。
マルクス・アウレリウス
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