エビデンスのピラミッド ー「信じるに値するか」を見極める方法ー
(本日のお話 2541字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
夜はコーチング仲間との勉強会への参加など。
*
さて、本日のお話です。
最近、
『健康になる技術 大全』
林 英恵 (著)/ダイヤモンド社
という本を読んでいます。
この著書、かなり面白いです。
結論、タイトル通り
科学的に正しい「健康になるための技術」
について書かれているのですが、
食事、運動、睡眠などについて
今わかっている科学的に正しい答えを
ハーバード大学公衆衛生大学院にて
科学博士を取得した著者が
数々の論文や研究データを渉猟し、
書籍としてまとめています。
この本の詳細は本日は触れませんが、
その中に、ぜひ紹介したい内容がありました。
それが
「エビデンス(科学的根拠)とはなにか?」
というお話。
本日はその内容とそこからの学びについて
皆様にご共有させていただければと思います。
それでは、参りましょう!
タイトルは
【 エビデンスのピラミッド ー「信じるに値するか」を見極める方法ー】
それでは、どうぞ。
■世の中には、
様々な「情報」がありますね。
今は情報の量は溢れすぎており、
むしろテーマはその膨大な情報の中で、
「信じられる情報と出会うこと」
であると感じます。
(今話題のChatGPTも、
過去のインターネット上に
ストックされている情報を元に答えを構築しており、
誤った情報が流布されていたら
それを元にした情報になったりと、
疑わしい答えが出ることも指摘され始めているようです)
■その情報の中でも、特に
「健康情報」
というのは厄介です。
健康に関するものは、
その切迫感から、
藁をもすがる思いになりやすいもの。
ゆえに、個人の感想でも
「効果があった」
というと何らかの
引力を持ってしまいます。
しかし、個人の感想は
当たり前ですが、誰にでも当てはまるわけではありません。
「それってあなたの感想ですよね」
では一般化はできず
信頼できるエビデンスとは呼べないのです。
■しかし、
「そもそもエビデンスとは何か?」
についての知識がないと、
個人の感想と
信頼おける情報をごっちゃにしてしまい
結果が出ない
お金を膨大に使う
などになる可能性も、
ゼロではありません。
それは信頼できる情報なのか?を
客観的に分析せず、
その果てに出なかった結果について、
闇に葬りさられて、
誤情報が広まるのは、
望ましいとは思いません。
■さて、上記に関して
上述の著書では
現状についてこのように指摘します。
「日本の健康情報は
エビデンスではないもの、
あるいは一番低いエビデンスなのに、
もっともらしく語られているものが
見受けられる」
と。
■「エビデンス」とは
証拠・根拠と訳されるように、
”これは信頼おける情報であると
示すための証拠”
です。
そしてこのエビデンスについて
様々なレベルがあることを、
『エビデンスのピラミッド』
というもので紹介しており、
その内容がわかりやすく、納得するものでした。
以下、ご紹介いたします。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【エビデンスのピラミッド】
以下、信頼性が高いものから順に
(1)複数の研究の総合的なレビュー
(メタアナリシス・系統的レビュー)
→あるテーマに関する世界中に様々な結果を統合し、総合的に分析したもの。
ある程度のレベルのエビデンスの結果を積み重ね、専門家が統合的に分析するイメージ。
**
(2)無作為に割り付けた研究
(ランダム化比較実験)
→2つ以上のグループを比較し、
そのグループの構成を無作為にして分析をしたもの。
**
(3)前後比較・準実験・観察研究
(対照群のあるもの)
→1つのグループの前後での比較をしたもの。
介入前後でどのような変化が起きたのかを分析する。
**
(4)専門家個人の意見・動物実験・試験管での研究
→1人、あるいは数人を対象とした研究の結果。
または動物実験によるもの。信頼性はこの中では一番低い
※出典:福井, 次矢. エビデンスに基づく診療ガイドライン. 日本内科学会雑誌. 2010. 第99号(第12号)
林(2023), "健康になる技術 大全". ダイヤモンド社.P34~36より引用し、著者にて編集
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■上記を見ると、
世界中のデータを分析~個人の感想
まで、様々な範囲の
エビデンスの種類があることがわかります。
*
そして、繰り返しますが、
「日本の健康情報は
一番低いレベルのエビデンス」
「またはエビデンスにすら入らない」
ものが多く見られます。
■例えば、たまにテレビで見かける
「◯◯病院のXX先生によれば・・・」
というのは、ピラミッドの一番下の
(4)専門家個人の意見ですし、
あるいは
テレビのCMで見かける
どこかのおじさん、おばさんが
「飲むだけでー16キロ痩せました!」
(※個人の感想です)
とコメントを語っているのは
エビデンスにすらならない、
ということです。
■しかし、
私たちにとって
「健康」の情報は身近なものですし
その他の情報も、
我々の日々の意思決定に関わります。
ゆえに、
情報に溢れた現代において、
「何が信頼できるのか」
を問う姿勢も大事ですし、
「信頼できる情報の見極め方」として
ひとつのモノサシを持つことも、
必要なことであろう、と感じます。
■余談ですが、
私自身のかつて
身内や自分自身の健康に
トラブルがあった時に
こうした情報がわからず
藁をもすがる思いで色々と試しました。
*
例えば、
ある病院で進められた
科学的根拠があるかないかわからない
「たんぽぽ茶」生活。
あるいは別の病院で
治療の一環として勧められた
「肉だけ食べる」生活。
あるいは別の整体院で勧められた
体中に針をさして
「血を出して毒を抜く療法」。
ものによっては
明らかに「改悪」したものもありました。
、、、でも、きっと
その先生には「成功例」しか
届いていないのだろうな、
と思ったものでした。
(改悪した私のような人は、
静かに去って、その人の前からいなくなるので)
■ということで
明日は我が身。
信頼性を見極める上で
上記でご紹介した
『エビデンスのピラミッド』
という考え方は、一つ
参考になる考えだと思った次第です。
論文の見極めにも使えます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
信頼が失われたならば、
何を語っても意味がない。
フランツ・カフカ
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