新人に組織に馴染ませるために知っておきたい「3つのフレームワーク」
(本日のお話 2665字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は終日、
外部人事パートナーとして関わせていただいている人事の皆様への
コーチングの6件でした。
また夜は大学院の仲間と、
1件のミーティング。
*
さて、本日のお話です。
4月といえば、
新人の受け入れ時期ですね。
本日はそんな新入社員に関するテーマで
学びのご共有をさせていただければと思います。
それでは、早速まいりましょう!
タイトルは
【新人に組織に馴染ませるために知っておきたい「3つのフレームワーク」とは】
それでは、どうぞ。
■新しい組織に飛び込むのは、
ドキドキするものです。
私も、これまで転職を3回しましたが、
その都度、「上手く馴染めるかなあ」と
年甲斐にもなく心配したものでした。
中途ですらそうですから、
特に、学生から社会人になる
新卒の方が組織に馴染むのは、
もっと大変でしょう。
役割意識の変革も必要だし、
組織のルール、知識の習得、
人間関係の構築、、、
多くの事が必要です。
■そう、
「組織になじませる」
というのは、
個人にとっても、組織にとっても
やっぱり負荷のかかるプロセスである、
と思うわけです。
そして同時に、うまくいかないと、
パフォーマンスも高まりませんし、
離脱(退職)ということあり得ます。
ゆえに、とても大事な行動とも言えます。
■そして、そのような
”組織になじませる施策”のことを、
『オンボーディング(On-boarding)施策』
と呼びます。
曰く
”新人の適応を促進させるための
組織やエージェントによって制定されたり、
従事されたりするすべての公式・非公式な実践、プログラム、政策”
がオンボーディング、とのこと。
(Klein and Polin, 2012)
あるいは、
”新しい環境に参加してくる個人をサポートし、
個人に上手く適応させるための組織のサポート”
(尾形, 2021)
がオンボーディング、とも言われます。
組織になじませる
ありとあらゆる施策が
オンボーディングなのです。
*
たとえば、
入社式、理念研修
社内の部署紹介、工場見学、
入社者懇親会、マナー研修、
メンター制度 etc
これらも、すべて
『オンボーディング施策』です。
■では、この
オンボーディングですが、
具体的に、どのような行動があるのでしょうか?
なんだかたくさんありすぎて
収集がつかなくなる気もします。。。
そこで、このオンボーディング施策が
どのような構成要素になっているのかを、
Klein and Heuser(2008.2012)が
3つの構成要素として挙げました。
それが、
(1)情報を与える(Inform)
(2)迎える(Welcome)
(3)導く(Guide)
という3つなのです。
そして、具体的な行動について、
詳しくまとめたのでした。
以下、引用させていただきます。
(ここから)
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【オンボーディング施策の3つのフレームワークと具体的行動】
<(1)情報を与える(Inform)>
●コミュニケーション:
新人とのコミュニケーションを促進させる計画された努力
ーワンウェイメッセージの提供と対話の機会の双方を含む
・私は上司と質疑応答できる会に参加した。
・私は上司に会わせてもらった。
・上司は私のためにまとまった時間を確保してくれる。
・私は人事部の代表者と会った。
●リソース:
新人が利用できる道具や援助を用意する
・会社が社員のために有しているウェブサイトで物事を見つける方法を示された。
・自分自身の成長機会を概説する初期計画を与えられた。
・会社全体で使われている略語や流行語の用語集を与えられた。
・新しい従業員のために特別に設計された会社のWebサイトのセクションに誘導された。
・社内の重要な人物と名前の連絡先のリストを与えられた。
・専用のワークスペースが準備された(すべての供給品、道具、設備を含む)
●トレーニング:
スキルや行動、知識の体系的な獲得を促進させる計画された活動
・新しい従業員のためのビデオを見た。
・しばらくの間、同僚の仕事ぶりを観察することを促された。
・自分自身の仕事に関するOJTを受けた。
・会社の施設を見学した。
・他の新採用者と一緒にオリエンテーションプログラムを受講した。
・オンラインのオリエンテーションプログラムを完遂した。
・特定の手順に従うタスクに精通した同僚からプレゼンテーションを行われるセッションを参加した。
*
<(2)迎える(Welcome)>
●新人に組織の他のメンバーと会う機会を与える
あるいは新人の入社を歓迎する
・上司(シニアリーダー:部長)から個人的な歓迎の電話、メール、手紙を受け取った。
・直属の上司から個人的な歓迎の電話、メール、手紙を受け取った。
・歓迎道具一式を受け取った。
・同僚を知るためのプログラムに参加した。
・私のための同僚を集める場(ミーティングや歓迎ランチ会)を設けてもらった。
・歓迎会が開催された。
・家族が仕事外で開催された社会的活動に招待された。
・私の入社をメールやウェブサイト、ニューズレターなどで会社全体にアナウンスしてくれた。
・会社のTシャツや会社の名前やロゴの入ったアイテムを送ってもらった。
*
<(3)導く(Guide)>
●新人に個人的なガイド役を割り当てる
・自分の直属の上司よりも地位の高い人をメンター役として割り当てられた。
・質問があれば連絡できる決まった個人(ウェルカムコーディネーター)が割り当てられた。
・同僚がバディとして割り当てられ、疑問の解消をサポートしてくれた。
出所:Klein and Polin(2012)、p.270より筆者作成
※引用:尾形(2021),”中途採用人材を活かすマネジメント”. p.152より
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(ここまで)
とのこと。
■なるほど、、、。
上記のオンボーディングの
3つのフレームワークと、
それに準ずる具体的行動、
実に明確かつ詳細に書かれています。
こうしたリストを見ることで、
・既に我々が新人を受け入れる際に
行っている行動、
・まだ支援しきれていない行動
を可視化し、伸びしろを見るための
チェックリストにもなる、
と感じます。
■たとえば、
入社式や歓迎会はやっている
(Welcome行動)
でも、
会社の情報がどこにあれば見られるのかわからないし
(Inform行動)
疑問を解消してくれる上司や同僚が割り当てられていない
(Guide行動)
などであれば
Inform行動や、Guide行動には
もっと伸びしろがあることがわかります。
■また、
オンボーディング施策は
人事部内だけで完結するものではなく、
他部署の巻き込みも必要です。
その時に、
上記のような研究論文、
そして具体的に必要な行動を列挙し、
効果ととも伝えることができれば
協力をしてもらうための説得材料ともなる、
とも思います。
■4月、新しい始まりの時期。
ぜひ、こうした先人の知恵も
充分に活用しながら、
せっかく採用した仲間を
「組織になじませる」
こと丁寧に行っていきたいものだな、
そんなことを感じた次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
自分には確かな居場所がある。
自分を必要としてくれる場所がある。
その安心感があればこそ、人は強く生きられるのです。
ドロシー・ロー・ノルト
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