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3357号 2023年5月3日

ドラッカーの語る「マネジャーに必須の資質」とは?

(本日のお話 4501字/読了時間5分)

■こんにちは。紀藤です。

引き続き宮崎に来ております。

GWとのことで、
父母姉を含めて卓球にいきましたが、

近所の体育館半面×3時間のレンタルで「40円」。
激安でした。



さて、本日のお話です。

昨日に引き続き、

『マネジメント 基本と原則(エッセンシャル版)』
P.F.ドラッカー


を元に、

ドラッカーの語るマネジメントについて
まとめてみたいと思います。

本日は「第5章 マネジャー」に焦点を当てて
進めたいと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【ドラッカーの語る「マネジャーに必須の資質」とは?】

それでは、どうぞ。

■「マネジャーとは何か?」

この問いの定義について、
ドラッカーは

『成果への貢献への責務』

というキーワードを述べました。

曰く、

”マネジャーを見分ける基準は
命令する権限ではない。
貢献する責任である。

権限ではなく、
責任がマネジャーを見分ける基準である。”
(P124)

とのこと。

マネジャーのキーワードは

(組織の成果に貢献するという)
「責任」

であると述べます。

■ドラッカーは、
知識労働者が働く組織において、

「マネジャーと専門家(いわゆるスペシャリスト)の関係」

についても言及をしています。

曰く、

・専門家は専門用語を使いがちであり、
専門家であるゆえに、理解をしてもらうことが難しい。

・そこで、マネジャーは専門家のアウトプットを
社内外の顧客の言葉に翻訳し、効果的であるように
ガイドすることが求められる。

・ゆえに、専門家はマネジャーの上司となりうるし
上司とならなければならない。

と語ります。



従来の考えでは

「マネジャーは他より優れているがゆえ、
多くの報酬を得る人」

という意味合いで捉えられていました。
また、それが昇進の経路の唯一のルートでした。

しかし、特定の分野で、
真の専門家が存在するようになり、

その専門家とマネジャーの関係は、
従来のようにマネジャーのほうが必ずしも
高い給与をもらうとは限らない、

となってきています。

(野球の花形プレイヤーが
監督よりも多くの報酬をえるようなものです)

そういう意味で、

・「人の成果に責任」を持つマネジャーと

・「自分の領域に責任」を持つ専門家

において、

「どちらもマネジメントの一員」である、
(=手段は違えど、いずれも組織の貢献に責任を持つ)

とドラッカーは考えました。

■さて、

人を通じて成果を出すという
いわゆる「マネジャー」について、

マネジャーには2つの役割があると
ドラッカーは続いて述べます。

以下、本書より意訳すると

1)「1+1>2以上」となるチームを創ること

(部分よりの和より大きな全体、
すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す
生産体を創造すること)

2)「短期と長期の両面から成果」を出していく

(あらゆる決定に行動において
ただしに必要とされているものと遠い将来に
必要とされるものを調和させていくこと)

の2つです。

■そして、この2つの役割を果たすための

「マネジャーの共通の仕事」として
5つを列挙しました。

1,目標を設定する
2,組織する
3,動機づけとコミュニケーションを図る
4,評価測定する
5,人材を開発する

とのこと。

ただし、こうした”共通の仕事”は
後天的に学ぶことができるものの、

絶対にコレが必要という
マネジャーに必須の「資質」があると
ドラッカーは強調します。

それが

『真摯さ』

なのでした。

(この真摯さが何かは、
後ほど触れます)

■また、

「マネジャーの仕事」について、
その与え方にも注意点があることも
述べられています。

まず

「マネジャーの仕事は
十分な大きさと重さのあるものにする」

ことである、とのこと。

マネジャーは

最終成果に責任を持ち、
貢献を行う人間であるがゆえに、

常に最大の責任と、最大の挑戦を伴い、
最大の貢献を可能にするものでなければならない、

と言うのです。

ゆえに、ダメなパターンは

・マネジャーの職務設計を狭くし、
成長できなくすることはNGであるし、

・補佐役のような職務も有害であるし、

・マネジャーには十分な仕事がある必要があるし
(そうしないと部下の仕事を奪ってしまう)

・かといって、マネジャーの仕事は彼/彼女ら1人か、
それにプラスして一人の部下で収まる程度にする必要もあるし、

・マネジャーの仕事がないのに、
それを報奨のように肩書を与えること(◯◯専任部長など)はNGである、

とその仕事について
注意点を述べています。

■次に、

マネジャーの育成のための
「マネジメント開発」についても

ドラッカーはこのように述べます。

本書では
”マネジメント開発にあらざるもの”として
以下のことを述べます

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<マジネジメント開発であらざるもの>

1,マネジメント開発は、セミナーではない。
”組織全体と個々のマネジャーのニーズに合うもの”であること。
(セミナーではなく、実際の仕事や上司に合うものとするべし)

2,マネジメント開発は、人事計画やエリート探しでない。
(エリートを育成し、その他の人を放っておくと成果は上がらない)

3,マネジメント開発は、人の性格を変え、改造するものではない。
(成果を上げさせるためのものである。
強みを存分に発揮させ、自分のやり方によって活動できるようにするべし)

(参考:P135より著者編)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

よって、

”十把一絡げの
「作られたパッケージ用のマネジメント開発セミナー」は
効果的ではない”

し、

”組織毎に、個々のマネジャーごとに
作られる開発される必要がある”

とも言えそうです。

■そして、

ドラッカーといえば
「MBO(目標管理)」が有名ですが、

「目標管理」

についても触れています。

前提として、

”組織は共通の目標”に向けて
”組織の中の人間は貢献”すべきであり、

そのためには、いくつかの要因に
注意する事が必要とします。

そのための
「組織で注意すべき4つの阻害要因」として

・技能の分化
(=”技能自体”を目的にしないこと。
「なんのための技能か」を問うことが重要である)

・組織の階級化
(=組織の階級的な構造は、
何気ない言葉までを意味があるものに感じさせるため注意が必要)

・階層の分離
(=階層により仕事と関心が違うことから、方向付けに誤りが生じる。
階層ごとのものの見方の違いを成立さえるために、
共通の言語と共通の理解が必要)

・報酬の意味付け
(=報酬や報酬システムは強力な信号である。
かなりよい報酬システムをつくることも難しく
よって、報酬についての公式を求めても無駄である。
ただし、間違った行動を褒めたり、成果を強調しないように監視することぐらいは必要である)

を仕組みとして抑えておくことが必要、
と述べています。

■そしてその上で
「目標設定」として

・「短期視点」と「長期視点」から目標を規定する

・「有形の経済的目標」と「無形のそれ以外の目標」
(マネジャーの組織化と育成、部下の育成、社会に対する責任)
についての目標を含める

ことを行うのです。

そうすることで
目標が定まり、組織に所属する一人ひとりが

「自らの仕事ぶりをマネジメントできるようになる
(=自己管理できるようになる)」

ことで、強い動機づけをもたらすことができる、

と述べるのでした。

■そして章の最後では

「組織の目的」

をマネジメントと合わせて
以下のような言葉を述べています。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある。

天才に頼ることはできない。
天才はまれである。あてにできない。

凡人から強みを引き出し、
他の者の助けとすることができるか否かが、
組織の良否を決定する。

同時に、組織の役目は人の弱みを無意味にすることである。

要するに、組織の良否は
そこに成果中心の精神があるか否かによって決まる。

(P145)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

(組織とは、

「凡人をして非凡なことを行わせること」
「組織の役目とは人の弱みを無意味にすること」

、、、ぐっときます)

■そして、

ドラッカーはマネジメントにおいて重要なことを、
以下の4つ述べました。

1)組織の焦点は、
”成果”に合わせなければならない。

2)組織の焦点は、
”問題ではなく機会”に合わせなければならない。

3)配置、昇給、昇進、高級、解雇など人事に関わる意思決定は
”組織の信条と価値観”に沿って行わなければならない。
これらの決定こそ真の管理手段となる。

4)これらの人事に関わる決定は、
”真摯さこそ唯一絶対の条件”であり
既に身に付けていなければならない資質であることを
明らかにするものでなければならない。

とのこと。

・「成果」に焦点を当て、
・「問題ではなく機会」に焦点を当て、
・「組織の信条と価値観」で意思決定を行い、
・「真摯さ」が唯一絶対の条件

とする。

■そう、前述の「真摯さ」が
またまた出てきました。

マネジメントにおいて
「真摯さ」はめちゃくちゃ大事である、

とドラッカーは考えているようです。

そして、
何を持って「真摯」であるのかについて、
ドラッカーはこのように述べます。

まず、

「真摯さ」の定義は難しいが
「真摯さの欠如」を定義は難しくない

として、以下のような人は
マネジャーとして任命してはいけない、

と述べています。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<「真摯さの欠如」がある者とは>

1,強みよりも弱みに目を向ける者。
できないことに気づいても、できることに目のいかない者は、
やがて組織の精神を低下させる。

2,何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者。
仕事よりも人を重視することは、一種の堕落であり、
やがて組織を堕落させる。

3,真摯さより頭のよさを重視する者。
そのような者は人として未熟であり、
その未熟さは通常なおらない。

4,部下に脅威を感じる者。
そのような者を昇進させてはならない。
そのような者は人間として弱い。

5,自らの仕事に高い基準を設定しない者。
そのような者をマネジャーにすることは、
やがてマネジメントと仕事に対するあなどりを生む。

(P147 ~148)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

「真摯さ」自体の定義はされませんが、

真摯さが欠如している者とは、
上記のような表現で規定されるようです。

■、、、と長くなってしまいましたが、

以上、著書『マネジメント』の
「第5章 マネジャー」より

ドラッカーが語ったことを
要約をしてみました。

おそらく、

マネジメント研究において、
他にも様々な定義がされていますが、

特にドラッカーは、

・「真摯さ」が
マネジャーの必須の資質であり

・「真摯さの欠如」が
ある者をマネジャーにしてはならない

と最初と最後にサンドイッチにして
述べているところに、

知識やスキルを越えた
人間としてのあり方のようなものを
見ているようにも私は感じました。

(オーセンティックリーダーシップの
「真正さ(integrity)」にも
近しいものを感じます)

■こうした定義を組織内で語り、

そして向き合うことが、
とても大事なことであるのかもしれない、

そんな事も考えさせられた章でした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

仕事を生産的なものにするには、
成果すなわち仕事のアウトプットを中心に考えなければならない。
技能、情報、知識は道具にすぎない。

ピーター・ドラッカー

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