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3370号 2023年5月16日

「強みと仕事満足度には関連があるのか?」の研究 ー論文『性格の強みと仕事への満足度』より

(本日のお話 2613字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、IT企業の管理職30名を対象とした
「ストレングス・ファインダー研修」の実施でした。

この1週間で5日間のストレングス・ファインダー研修。
かなりたくさんの方にご受講いただき、
嬉しい限りでございます。

また研修後は2件のアポイント、
夜は10キロのランニングでした。



さて、本日のお話です。

強みの活用において、

日本では
「ストレングス・ファインダー」
(正式にはクリフトンストレングス)
のアセスメントが有名です。

しかし、
ポジティブ心理学における強みの研究では、

「VIA(Value in Action)」

というのがよく使われている印象です。

その中で、今日は

『性格の強みと仕事満足度の関係』

について興味深い論文を見つけましたので
その内容についてご紹介できればと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【「強みと仕事満足度には、関連があるのか?」の研究
ー論文『性格の強みと仕事への満足度』より】

それでは、どうぞ。

■「VIA」、

と上記にてサラリと
お伝えしてしまいましたが、
VIAとは以下のようなものです。



<VIAとは?>

ペンシルバニア大学のセリグマンと
ミシガン大学のクリストファー・ピーターソンが
文化や時代を超えて人間が尊重し尊ぶ美徳や特性を調査し、
それらを24の強みと6つの美徳に分類しました。

1,知恵と知識:創造性、好奇心、学習愛、見識、視野
2,勇気:真実愛、勇敢さ、困難を乗り越える力、活力
3,人間性:愛情、親切、社会的知能
4,正義:団体内での公平さ、リーダーシップ、市民性
5,節制:許し、谦虚さ、警戒心、自己制御
6,超越:感謝、希望、ユーモラ、霊性、美への感動

これらの強みと美徳を理解することで
人々は自分自身と他人の行動をより良く理解し、
肯定的な心理的特性を育むことができる、とされている。



とのこと。

ポジティブ心理学において
これらの強みの活用について
様々な研究が日々進んでいるようです。

■そんな「強み」に焦点を当てた研究の一つに、
こんな論文がありました。

タイトルは、

Sonja Heintz & Willibald Ruch(2020)
”Character strengths and job satisfaction: Differential relationships across occupational groups and adulthood”
(性格の強みと仕事への満足度:職業集団と成人期における差異的関係)

というものです。

この研究の主な目的は

”強み(VIA)と、仕事満足度の関係を調べること”

です。

(その他にもあるのですが、
詳細は割愛いたします)

■「性格の強み」や「仕事満足度」は
以下の尺度を活用しました。

・「性格の強み」= VIAの24の特性

・「仕事満足度」= 仕事満足度評価尺度(SAZ; Fischer and Lück 1972)37項目
(項目の内容・・・一般的な仕事満足度、給与、キャリア機会、
リーダーシップスタイルへの満足、尊敬と参加、会社の評価、
圧力と仕事のストレス[逆転項目]、自分の能力の開発と応用、 退職[逆転項目]、離職意図[逆転項目])

それを、「8つの職業グループ」
(看護師、医師、監督者、事務職、臨床心理士、社会福祉士・教育者、 経済学者、中学教師)

でどのような共通性や違いがあるのかも調べました。

アック対象者はドイツに住む方で、
18~61歳以上を対象に研究を行いました。

■結果、

わかったことは
以下のようなことです。

いくつかあるのですが、
私がで興味深いと思ったところだけ、
抽出してお伝えいたします。

まず

『「仕事満足度」と有意に正な相関を持つ強みは、
「希望・熱意・好奇心・愛・感謝・粘り強さ」の7つであった』

ということ。

具体的なスコアとしては

希望(r = .31)
熱意(r = .30)
好奇心(r = .15)
愛(r = .08)
感謝・精神性(r = .07)
粘り強さ(r = .06)

でした。

そして24の特性の強みをすべて合わせると
性別、学歴、年齢を越えて
仕事満足度の分散の12%を占めたとのこと。

(つまり強みによって12%分、
仕事の満足度を説明できるといえるかと)

■次に、

『強みは「退職」と「一般的な満足度」に
大きな相関があった』

とのこと。

強みを使うことは
退職や満足度に影響がある、、、

これまた、興味深いです。

■そして最後に、

『強みの中で
感情的な強み因子(「熱意・希望・好奇心・愛情・感謝」)は
すべての職業グループにおいて
全体的な仕事満足度と正の有意な関係を示していた』

とのこと。

特に、感情的な強み

・熱意がある
・希望がある
・好奇心がある
・愛情がある
・感謝がある

ことが仕事の満足度と相関があるそうですが
このことは感覚的には頷けますし、納得感もあります。

その他、

”職業ごとに
仕事の満足度に影響する強みが違っている”

などの結果もありました。

例えば

医者、管理職、教育者は「粘り強さ」
看護師、教師は「チームワーク、リーダーシップ」

などの仕事満足度において
浮上した強みになったそうです。

■という結果を
ざっくりお伝えさせていただきましたが、

上記の論文から思ったことは大きく2つです。
(個人の感想です)

1つ目が、

「性格的な強みにより
仕事の満足度が高い傾向の人と
そうでない人が分かれる可能性がある」

ということ

性格的な強み(VIA)は、
もちろん様々な経験や年齢で、
多少変わることはあるとしても、
先天的なところもある程度影響しています。

そういった意味では、

「仕事満足感を覚えやすい強み」

は多少なりともあるのだろう、
というのがはじめに感じたことです。

■ただ、それだけだと、

”じゃあ、自分はその性格的な強みがないから、
仕事満足度を得られないのか?”

というと、そういうわけではない、
と思います。

(そもそも仕事満足度の12%ではありますが)

性格的な強みが仕事満足度と影響があるなら
それらの強みを行動として抽出し、促すことも可能だと思います。

例えば

・「感謝をする機会を増やす」とか

・「会社のビジョン(希望)について語る」とか

・「職務設計により仕事の自律性を高め、
より仕事に集中できるようにする(熱意)」

というように、

感情的な強みを発言する要素を感じさせるように
職務を設計する、仕事の工夫をすることも、
考え方としてはできる、と思います。

(もちろん、アイデアと
実際に行動に移す難易度は
大いなる隔たりがあると思います)

■そういった意味で、

「性格の強みと仕事満足度の関係」

というデータは、

従業員の退出を防ぎ、
仕事満足度の向上による
パフォーマンスへの影響も期待できる
有益な情報ではなかろうか、

そんなことを思います。

こうした研究結果により、
強みを活かすアプローチも、
より説得力が生まれるものだよな、、

と思いますので、私もこうした研究、
可能な範囲で進めていきたいと思う次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

私は生涯に一日も仕事をしたことがない。
それらは、すべて心を楽しませることであったから。

トーマス・エジソン
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