「強みと仕事満足度には関連があるのか?」の研究 ー論文『性格の強みと仕事への満足度』より
(本日のお話 2613字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、IT企業の管理職30名を対象とした
「ストレングス・ファインダー研修」の実施でした。
この1週間で5日間のストレングス・ファインダー研修。
かなりたくさんの方にご受講いただき、
嬉しい限りでございます。
また研修後は2件のアポイント、
夜は10キロのランニングでした。
*
さて、本日のお話です。
強みの活用において、
日本では
「ストレングス・ファインダー」
(正式にはクリフトンストレングス)
のアセスメントが有名です。
しかし、
ポジティブ心理学における強みの研究では、
「VIA(Value in Action)」
というのがよく使われている印象です。
その中で、今日は
『性格の強みと仕事満足度の関係』
について興味深い論文を見つけましたので
その内容についてご紹介できればと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【「強みと仕事満足度には、関連があるのか?」の研究
ー論文『性格の強みと仕事への満足度』より】
それでは、どうぞ。
■「VIA」、
と上記にてサラリと
お伝えしてしまいましたが、
VIAとは以下のようなものです。
*
<VIAとは?>
ペンシルバニア大学のセリグマンと
ミシガン大学のクリストファー・ピーターソンが
文化や時代を超えて人間が尊重し尊ぶ美徳や特性を調査し、
それらを24の強みと6つの美徳に分類しました。
1,知恵と知識:創造性、好奇心、学習愛、見識、視野
2,勇気:真実愛、勇敢さ、困難を乗り越える力、活力
3,人間性:愛情、親切、社会的知能
4,正義:団体内での公平さ、リーダーシップ、市民性
5,節制:許し、谦虚さ、警戒心、自己制御
6,超越:感謝、希望、ユーモラ、霊性、美への感動
これらの強みと美徳を理解することで
人々は自分自身と他人の行動をより良く理解し、
肯定的な心理的特性を育むことができる、とされている。
*
とのこと。
ポジティブ心理学において
これらの強みの活用について
様々な研究が日々進んでいるようです。
■そんな「強み」に焦点を当てた研究の一つに、
こんな論文がありました。
タイトルは、
Sonja Heintz & Willibald Ruch(2020)
”Character strengths and job satisfaction: Differential relationships across occupational groups and adulthood”
(性格の強みと仕事への満足度:職業集団と成人期における差異的関係)
というものです。
この研究の主な目的は
”強み(VIA)と、仕事満足度の関係を調べること”
です。
(その他にもあるのですが、
詳細は割愛いたします)
■「性格の強み」や「仕事満足度」は
以下の尺度を活用しました。
・「性格の強み」= VIAの24の特性
・「仕事満足度」= 仕事満足度評価尺度(SAZ; Fischer and Lück 1972)37項目
(項目の内容・・・一般的な仕事満足度、給与、キャリア機会、
リーダーシップスタイルへの満足、尊敬と参加、会社の評価、
圧力と仕事のストレス[逆転項目]、自分の能力の開発と応用、 退職[逆転項目]、離職意図[逆転項目])
それを、「8つの職業グループ」
(看護師、医師、監督者、事務職、臨床心理士、社会福祉士・教育者、 経済学者、中学教師)
でどのような共通性や違いがあるのかも調べました。
アック対象者はドイツに住む方で、
18~61歳以上を対象に研究を行いました。
■結果、
わかったことは
以下のようなことです。
いくつかあるのですが、
私がで興味深いと思ったところだけ、
抽出してお伝えいたします。
まず
『「仕事満足度」と有意に正な相関を持つ強みは、
「希望・熱意・好奇心・愛・感謝・粘り強さ」の7つであった』
ということ。
具体的なスコアとしては
希望(r = .31)
熱意(r = .30)
好奇心(r = .15)
愛(r = .08)
感謝・精神性(r = .07)
粘り強さ(r = .06)
でした。
そして24の特性の強みをすべて合わせると
性別、学歴、年齢を越えて
仕事満足度の分散の12%を占めたとのこと。
(つまり強みによって12%分、
仕事の満足度を説明できるといえるかと)
■次に、
『強みは「退職」と「一般的な満足度」に
大きな相関があった』
とのこと。
強みを使うことは
退職や満足度に影響がある、、、
これまた、興味深いです。
■そして最後に、
『強みの中で
感情的な強み因子(「熱意・希望・好奇心・愛情・感謝」)は
すべての職業グループにおいて
全体的な仕事満足度と正の有意な関係を示していた』
とのこと。
特に、感情的な強み
・熱意がある
・希望がある
・好奇心がある
・愛情がある
・感謝がある
ことが仕事の満足度と相関があるそうですが
このことは感覚的には頷けますし、納得感もあります。
その他、
”職業ごとに
仕事の満足度に影響する強みが違っている”
などの結果もありました。
例えば
医者、管理職、教育者は「粘り強さ」
看護師、教師は「チームワーク、リーダーシップ」
などの仕事満足度において
浮上した強みになったそうです。
■という結果を
ざっくりお伝えさせていただきましたが、
上記の論文から思ったことは大きく2つです。
(個人の感想です)
1つ目が、
「性格的な強みにより
仕事の満足度が高い傾向の人と
そうでない人が分かれる可能性がある」
ということ
性格的な強み(VIA)は、
もちろん様々な経験や年齢で、
多少変わることはあるとしても、
先天的なところもある程度影響しています。
そういった意味では、
「仕事満足感を覚えやすい強み」
は多少なりともあるのだろう、
というのがはじめに感じたことです。
■ただ、それだけだと、
”じゃあ、自分はその性格的な強みがないから、
仕事満足度を得られないのか?”
というと、そういうわけではない、
と思います。
(そもそも仕事満足度の12%ではありますが)
性格的な強みが仕事満足度と影響があるなら
それらの強みを行動として抽出し、促すことも可能だと思います。
例えば
・「感謝をする機会を増やす」とか
・「会社のビジョン(希望)について語る」とか
・「職務設計により仕事の自律性を高め、
より仕事に集中できるようにする(熱意)」
というように、
感情的な強みを発言する要素を感じさせるように
職務を設計する、仕事の工夫をすることも、
考え方としてはできる、と思います。
(もちろん、アイデアと
実際に行動に移す難易度は
大いなる隔たりがあると思います)
■そういった意味で、
「性格の強みと仕事満足度の関係」
というデータは、
従業員の退出を防ぎ、
仕事満足度の向上による
パフォーマンスへの影響も期待できる
有益な情報ではなかろうか、
そんなことを思います。
こうした研究結果により、
強みを活かすアプローチも、
より説得力が生まれるものだよな、、
と思いますので、私もこうした研究、
可能な範囲で進めていきたいと思う次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
私は生涯に一日も仕事をしたことがない。
それらは、すべて心を楽しませることであったから。
トーマス・エジソン
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