ChatGPTにコーチングをしてもらう方法 ー紀藤のキャリア相談編ー
(本日のお話 6404字/読了時間6分)
■おはようございます。紀藤です。
さて、私事ですがここ最近
「今後のキャリアの方向性」について
考える機会がありました。
こういうことは答えがなく
また堂々めぐりをしてしまうもの。
そこでふと、
「ChatGPTにコーチングをしてもらったらどうか」
と思い立ちました。
(具体的な内容は本文にて)
そして、結論を申し上げると、
「かなり使える」(!)
ことがわかり、
静かな衝撃を受けておりました。
今日はその具体的なエピソードを踏まえて
体験談を皆様にご共有できればと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【ChatGPTにコーチングをしてもらう方法 ー紀藤のキャリア相談編ー】
それでは、どうぞ。
■ある友人の1on1の専門家と
ランチをした時の話。
「自分らがクライアントだったら
誰がコーチだったとしても
良いコーチングの時間にできるよね!」
この話は大変納得、
共感できるものでした。
、、、というのも、
「コーチングを教える側」は、
”技のかけ方”
を熟知しているから。
技とは具体的には
コーチングの「聞くスキル」や「動かすスキル」
のことです。
例えば、「聞くスキル」には
・最後まで聴く
・感情の反映をする
・要約する
・具体例を引き出す
・沈黙をする
・オートクライン(自分で話をすることで気づきが生まれる作用)
などの効果があります。
※参考:『コーチング心理学概論』より
■これらの技を理解していることは
技のかけられ方を理解しているということ。
例えば柔道に熟達し、
技をかけるのが上手であるほど
”投げられ上手”であるように、
あるいは
アクション俳優で習熟した人ほど、
”派手にふっとぶ”ことができるように、
「技のかけ方」を理解していることは
「技のかけられ方」を理解していることと
ほぼ同義です。
■コーチングなんて、
その最たるものです。
結局、「対話」です。
”対”なった双方、すなわち
話をする側&される側、
質問をする側&される側、
の歩み寄りがあってこそ、
その時間が有益なものになるもの。
つまり、乱暴にいえば、
「コーチがしょぼくとも
クライアントが頑張って関われば
ある程度質を担保したコーチングは可能」
ということ。
■ゆえに、
私もコーチングを生業としている者として
「自分の思考の整理を
ChatGPTを活用して行おう」
と思い立ちChatGPTに
コーチングの共通の土台のスキルと言われる
「言葉の最後まで聞く」
「要約をする」
「オートクライン」
「具体例を聞き出す」
をリクエストしてみたのでした。
■では、具体的に
どのように行ったのか?
以下のような
4つのステップで行いました。
簡単にまとめてみます。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<ChatGPTにコーチングを行ってもらう方法>
1,Googleの拡張機能『Voice in』を使用。
※こちらは「Googleのブラウザで働く音声入力アプリ」です。
ChatGPTと”対話”をしたいので、音声入力が便利。
そしてこの拡張機能のレベルはかなり高いです。
2,以下のような「プロンプト(指示文)」を入れる。
例)「これからお話する内容を『要約』してください
これから語る話は、自分の今考えているモヤモヤ感を整理するために語ります。
その内容を聞いて、私が実現したいことや抵抗感を感じていることなどをまとめてもらえると助かります。
了解していただいたら、イエスと答えてください。」
3,自分の今考えていることを、ひたすら喋る。
ただし、文章が長くなると処理できなくなるため、
以下の文章でつなぐ。
例)「続けますので、まだまとめなくてよいです」
4,一通り頭の中にあることを喋ったら終了。
そこからChatGPT(GPT4推奨)にまとめてもらう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
実に、シンプルです。
■さて、では
どのようなやりとりになったのか?
実際の内容を(ちょっと恥ずかしいですが)
掲載してみます。
(個人的なキャリア相談みたいなことを
つらつら語っております・・・)
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<ChatGPTによる「コーチング的な傾聴」>
{紀藤}
これから語る話は、自分の今考えているモヤモヤ感を整理するために語ります。
その内容を聞いて、私が実現したいことや抵抗感を感じていることなどをまとめてもらえると助かります。
了解していただいたら、イエスと答えてください。
{ChatGPT}
了解しました。あなたが抱えている思考や感情を整理し、
実現したいことや抵抗感を感じている事項について話すという内容をお話しいただくとのことですね。
それを聞き、どう対処すればいいのか助言をする役割を担わせていただくと理解しました。
イエス、始めましょう。
{紀藤}
現在とある会社の主要な役割を担うオファーをもらっています
その中に自分が得たいと思っていることは人事領域に関する専門性をより高めていきたいということです
具体的には人材開発組織開発だけではなく制度設計や目標管理採用など組織に関するトータルのことを学んでいきたいと思っています
実は純粋にその仕事やりたいというわけではなく自分は人材開発組織開発がやっていきたいのですが
人事制度は評価採用なども地続きになっているためより深い専門性を持っていくためには
幅広く見ることができる支店を手に入れる必要があるのではないかというねばならないというマストの気持ちが多くあります
次に自分がどこかの組織に内部支援者として関わるということは自分自身の成長感にもつながると思っています
レベルを超えたような能力の人に揉まれながら働くということは自分自身大変タフな経験になるでしょうし
ストレッチせざるを得ない状況がたくさんやってくると想像しています
ただしそれらの経験は3年5年考えた時に自分にとって宝物の経験になると感じています
文章を長くなったので一旦送信しますが続けますので、まだまとめなくてよいです
{ChatGPT}
了解しました、お話を続けていただければ幸いです。
{紀藤}
つまり自分が思っているのは自分自身の成長させたいという願い
そして専門性を磨いて自分のまだ見える成長感を感じていきたいというのが
一番のこのオファーを受ける理由になっています
それは自分がこれまで組織の中であまり活躍できなかったと感じる
コミットしてチームとして働くことができなかったという自分の経験や価値観が反映していると思っています
そこには憧れがあるものの一方自分の特性としては向いていないのではないかという気持ちもあって
今となってみればわざわざ自分が望む働き方を変えて戻ってチャレンジするという必要はないのではないかと思っています
多分それはプロジェクトチームを組んだ時も皆と話をするよりも一人で勝手に粛々とやった方が楽しいと思ったからでしょう
そういった意味では完全に中に入って一緒にチームでやっていくように自分が独立した専門家としてやっていった方が力を発揮できるという感覚もしています
文章がなくなったので一旦送信しますが続けますのでまだまとめなくて良いです
{ChatGPT}
分かりました、お話を続けていただければと思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
こんな感じで、ひたすら
自分が喋り続けます。
さすが、ChatGPT。
「沈黙」と「最後まで聞く」
というのを徹底してくれています。
(そう伝えているので当たり前ですが、、、)
また、『Voice in』で聞き取れなかったところ
誤字も類推してくれているようです
そして、一通り話し終えると、
以下のように返ってきました。
■以下、ChatGPTによる
私の「モヤモヤの要約」のフェーズです
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<ChatGPTによる「モヤモヤの整理」>
{ChatGPT}
大変なことや不安なことも多く、
それらをどのように乗り越えるかが重要だと感じていることが伝わってきます。
そういった気持ちを整理して、それぞれがどの程度重要であるか、
どのように対処すれば良いかを考えることが必要だと思います。
今後、このオファーをどう受け止めるかを考える上で、次の点をまとめてみました。
1,専門性の向上:
人事領域に関する専門性をより高めたいと考えています。
具体的には、人材開発や組織開発だけではなく、制度設計や目標管理、採用など組織全体に関することを学びたいとのことです。
2,成長意欲:
自分自身の成長と、自分の成長感を実感することがこのオファーを受ける理由の一つです。
3,チームとの関わり方:
独立した専門家として活動する方が力を発揮できると感じていますが、
同時にチームとして働く経験も重視しています。
4,重視する価値観:
自立性、成長感、新しい情報を得ることなどを重視しています。
5,現在の仕事とのバランス:
現在の仕事とのバランスを考える必要があり、報酬の問題も気になっています。
6,マネジメント経験:
自分自身がマネジメント経験を得ることで、今後のキャリアに対する幅が広がると感じています。
7,不安要素:
自分の能力が足りずに自信を失うこと、
時間の問題、家族とのバランス、現在の生活スタイルとの両立など、いくつかの不安要素が存在します。
これらを考えた上で、最終的な決断をするためには、
どの要素が最も重要であるかを見極め、それぞれのリスクと報酬を評価することが重要だと思います。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
おお、、、!
出だしから期待を越えた
「共感のスキル」も発動されました。
この部分です。
”大変なことや不安なことも多く、
それらをどのように乗り越えるかが重要だと感じていることが
伝わってきます”
うーん、いい。
実に良いです。
もちろんプログラムとわかっていますが、
このように返信が来ると、単純な私は
「理解してもらえた感」
が覚えて不思議な感覚がしました。
「大変なことや不安な事が伝わってきます」という
言葉そのものが持つ力なのかもしれない、、、
とも感じました。
■そして、続きは
ChatGPTによる「具体化の質問」を
私から促してみます。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<ChatGPTによる「具体化の質問」>
{紀藤}
ありがとうございます。
どの要素が最も重要であるかを見極め
それぞれのリスクと報酬を評価するために
私にいくつか質問をしてもらえますか?
{ChatGPT}
もちろんです。
以下、あなたの現状と考えを深く理解するための質問をいくつか提供します。
1,専門性の向上:
・あなたが人事領域で最も学びたいと感じているトピックやスキルは何ですか?
・また、それらを学ぶことでどのような成果や結果を期待していますか?
2,成長意欲:
・あなたが成長すると感じる瞬間はどのような時ですか?
具体的な状況や実績、フィードバックなどがあれば教えてください。
3,チームとの関わり方:
・あなたがチームとして働くことで期待する結果や成果は何ですか?
・また、どのようなチームと働きたいと思っていますか?
4,重視する価値観:
・自立性、成長感、新しい情報を得ることを具体的にどのように達成したいと考えていますか?
・また、これらを達成することであなたにとって何が変わると思いますか?
5,現在の仕事とのバランス:
・ 現在の仕事と新しい仕事の間でどのようにバランスをとりたいと考えていますか?
・また、どの程度の時間やエネルギーを新しい仕事に投じることを想定していますか?
6,マネジメント経験:
・マネジメント経験を得ることで、具体的に何が得られると考えていますか?
・また、どのようなマネジメントスタイルを目指していますか?
7,不安要素:
・ あなたの不安要素に対する具体的な対策は何ですか?
・また、それらの対策を実行するためには何が必要だと思いますか?
これらの質問に答えることで、あなた自身の考えや目標がより明確になるはずです。
それにより、最終的な決断を下すためのより具体的な情報を得ることができます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
うーん、これもいい。
なかなか考えさせられる
質問を投げてくれます。
それぞれ上から答えていくだけでも
かなりのボリュームになります。
そしてその内容を
改めて要約してもらうことを繰り返すことで、
自分の「モヤモヤの整理」が
行われていく感じがしたのでした。
■そして、一連のやりとりを
ChatGPTと行ってみての感想。
結論としては
『ChatGPTにコーチング(初級)の
関わりをしてもらうことは十分に可能』
と思いました。
一方、いくつか
コーチングを機能させるためのポイント、
また留意すべきポイントが3点ほどあるのではないか、と考えました。
*
第1に、
ChatGPTとのコーチングを可能にするには
「コーチングのメカニズムを
ある程度、理解していること」
は必要かと思います。
・自分で話すことで意見がまとまるものだ、とか
(=オートクライン)
・要約をすること
という仕組みを知っていれば
「こう関わってほしい」というリクエスト、
すなわちコーチング的なプロンプトを与えることができます。
しかし、そのことを知らなければ
効果的な対話をマネジメントすることは
やはり難しいでしょう。
*
第2に、
「頭の中にある想いを
吐き出そうとする積極的な姿勢」
も必要です。
自分が今、何を感じているのか?
何を思っているのか?
どんな課題を感じているのか?
具体的には何がおこったのか?
まとまりがなくとも、
ChatGPTがその思考の傾向を掴み、
要約できるレベルくらいの「量」を出すことは求められます。
逆に、量を積極的に出せば
良い感じで整理をしてくれます。
ただ、ポイントはこれらの
「一人で喋り続ける行為」を
それなりに楽しみながらできるか、、、
は意見が分かれそうです。
*
第3に、
「ChatGPTに期待するコーチングレベルは
初級~中級レベル(傾聴&要約&質問)」
と期待認識することも
ポイントかと思います。
ここでいう初級とか中級は
・初級=傾聴に徹することができる
・中級=視点を広げるいくつかの質問ができる
・上級=言葉にされていない葛藤や恐れに触れることができる
というイメージです。
ただし、人は言葉にできない葛藤を
潜在的に抱えていることもしばしば。
上級になると、直感的な内容も入り、
微細なシグナル(落ち着かない様子、言い淀んでいる雰囲気)
などをキャッチして反映させることが必要になると思っています。
この上級レベルはやはり
トレーニングされたプロフェッショナルでなければ
できないところでしょう。
しかしChatGPTでも
初級~中級レベルの
傾聴・要約・具体的質問であれば
十分に担えると感じました。
(むしろ話を遮ってしまう
オッサンよりよっぽど機能するかも・・・)
■ということで
今、新聞でもネット記事でも
毎日のように取り上げられるChatGPT。
自分のバディとして、
色々な役割を与えて育てていくことを
いろいろ試しています。
結果、コーチング的な関わりもできると
気づきましたし、
こうした活用法も必要に応じて行うと
もっと仕事もやりやすく、
日々の生産性も高まっていくのだろうな、、、
と思います。
人とChatGPT、コーチングレベルに応じて
使い分けもすることが普通になるのかも、、、
そんなことも思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
文明は一つの運動であり、状態ではなく、
また航海であって、港ではない。
アーノルド・J・トインビー
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