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3389号 2023年6月4日

今週の一冊『YOUR TIME ユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』

(本日のお話 2402字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

毎週日曜日は、お勧めの一冊を
ご紹介させて頂く「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

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『YOUR TIME ユア・タイム
4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』

鈴木祐 (著)


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です。

■時間が足りない、、、。

これは現代の人々に、
共通する課題の一つではないでしょうか。

・時は金なりである。
だから、生産的でなければならない

・より短い時間でより多くのことを
達成しなければならない

・未来のために時間を浪費せずに
投資することこそが良い

このような
現代の良しとされている文脈か

またはSNSやWEBを含めた
情報過多の影響なのか、

はたまた、介護/子育てという
社会問題としての背景があってからか、

いずれにせよ多くの人は、
「時間不足」を感じているようです。

■また、

「効率的であること」を
現代では良いものと捉える文脈が
やはり存在しているようす。

ゆえに、

より効率的に時間を
マネジメントしようと手帳を活用したり、

ToDoリストを作ってタスクを管理したり、

アイゼンハワーのマトリクスを活用する
(緊急度✕重要度で出来事を分類する)

などなどを

”ビジネスの基本”

とする流れもあるのでしょう。

しかしながら、
そのようなものを試しても、

一向に「何かに追われている感覚」も減らないし、

「仕事のパフォーマンス」も
さほど上がっているわけではない、、、

そんな状況もどうやら起こっているようです。

■そんな中、本書は、

健康・心理・科学に関して、
16歳から科学論文をひたすら読み漁っているという
「パレオな男」のブログで有名な著者が

時間管理に関する
数々の論文を渉猟し、

時間管理術と
仕事のパフォーマンス・幸福度の関係

等を解き明かそうと試みた著書です。

■本書の魅力は、
大きく2点あると感じます。

第1が

『科学的なエビデンスに基づいていること』

です。

時間管理において、
通説とされていること、

例えば、

・ToDoリスト
・カレンダーの管理
・時間の記録

などが果たして
本当に仕事のパフォーマンスを高めるのか?

を論文のデータから引用しつつ
説明をしていきます。

現在分かっている効果的な方法を
分析から具体的な施策まで

一貫して科学的な論拠を元に
記述しているところが
本書の説得力を高めています。

■そして、第2に

『科学的なエビデンスの限界を考慮し
個体差を考慮した施策を提案していること』

です。

どういうことかというと

科学的な研究とか論文、といっても、
その限界があります。

その研究の対象者が
100人いたとしたら
100人全員に効果がある/ない

という極端な結果になることは
まずありません。

また同じ研究でも、
対象者によって結果は変わるのです。

それが学生か社会人か、、、

学生でも自信がある人/ない人、、、

などの「個人特性」に応じて、
効果を発揮する/しないがわかれるものです。

すると、

・「ToDoリスト」を使った時に、
効果を発揮しやすい人

・「時間の記録」をするときに、
効果を発揮しづらい人

も当然、出てくることが想定されます。



本書では、それらの
「個人特性」を考慮し

まず個人が持つ『時間感覚』を
以下のカテゴリで分類しました。

まず1つ目が

◯「予期」の領域
(1)未来の自分のことを「自分」として捉えられるか/捉えづらいか(=予期の濃さ/薄さ)
(2)未来のタスクなどを多く想像するか/想像しないか(=予期の多さ/少なさ)

そして2つ目が、

◯「想起」の領域
(1)過去の経験に基づいて、タスクの難易度や時間を正しく想定できるか(=想起の正しさ/誤り)
(2)過去の経験を思い返す時に、悲観的or楽観的どちらの傾向があるか(=想起のポジティブさ/ネガティブさ)

です。

上記の「予期」と「想起」で
それぞれ4象限にわけて個人特性を考え、
カテゴリ化をしています。

その上で、それぞれに応じた
有効と思われる時間術の施策を提案する

という構成になっています。

■どんな施策でもそうですが、

”個人個人で、
効果を発揮するものは違うもの”

です。

数々の時間術が
数々のビジネス書で紹介されており、
あれやこれや試してみようとしても

・どの時間術が自分に合うのかわからない
・その時間術の効果が証明されているかわからない

という不確かさにより、
結局、何も起こらない/起こせないことが
多いのではないかと思います。

そういった書籍が多い中で

『時間感覚』という視点から
個別提案してくれているところが、
新しく、やってみようと思える気になる、

そんな印象を受ける書籍でした。

■また、本書では

「そもそも時間とは何か?」

「生産的であろうとはいつから生まれたのか?」

「時間を効率的に使おうとすることは本当に幸せか?」

という、

現代社会の時間に対する当たり前についても
”そもそも”を問うています。

生産的になればなるほど
どんどん忙しくなっていく。。。

それは本当に生きる上で
我々が求めていることなのか?

という本質を問われている気がします。

■私事ですが、

10日前に沖縄に少し前に居を構えて、
「島時間」的なものを体感していました。

例えば、

家具がないので時計を含めてモノがないとか

皆が時間的にもゆるりとしているとか

店が開いていたり、ふいに開いていなかったりする

ということがありました。

こうしたことは、
ビジネス的には良しとされないと思いますし、

この空間だけにずっといたら
経済的に不安を感じそうであると思う側面はあります。

一方、こうした
「時間」の感覚が与えてくれる幸福度は
東京では味わえないものでした。

(もちろん、ずっとそこにいたら
見え方も変わってくると思いますが)

■誰しもにとって身近にある「時間」。

その存在を考えさせてくれて、

また自分にとっての充実した時間の過ごし方を
見直す機会にもなる著書でした。

時間について考えてみたい、
自分にあった時間術を検討したいという方に、
お勧めの一冊でございます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『YOUR TIME ユア・タイム
4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』

鈴木祐 (著)

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