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3396号 2023年6月11日

今週の一冊『〈叱る依存〉がとまらない』

(本日のお話 3654字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

これから飛騨高山ウルトラマラソンのスタート。
どんなコースなのか、とても楽しみです。
ただし、気がかりは終日雨であること(汗)
まずは完走を目指して、頑張ってきたいと思います!



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

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『〈叱る依存〉がとまらない』

村中直人 (著)


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です。

■<叱る>について、
ちょっとした私(紀藤)のお話を
させていただければと思います。

私は基本的に、
嫌われたくない人間であり
厳しいことが言えない人間であります。。。

そんな私が、20代の頃、

飲食店の責任者として
また営業のリーダーで
メンバーを持っていた時に、

望ましくない行動(遅刻やミス)を
繰り返すメンバーがいました。

■すると、周りのメンバーが
それを見て私にこう言いました。

「紀藤さんは優しすぎるんですよ。
一度、キツく言ってくださいよ!」

そう、言われたことがありました。

内心、

「そうなのかな。
言いづらいから、言いたくはないけど、
言うべきなのだろう」

という見えない圧力なようなをきっかけに

そのメンバーに対して
意識的に声を荒らげて

「やる気あんの?!
チームの士気が下がる!!
二度とするなよ」

みたいに
言ったことがありました。

記憶にあるのは、
その他1~2回ですが、

そのような<叱る>なのか怒るなのか
ネガティブな言葉をぶつけたメンバーは、

それがきっかけなのか
他のことが理由なのかはわかりませんが、
しばらくして辞めてしまった、、、

という経験があります。

(お恥ずかしや、、、)

■すべて自分の未熟さと
無知さがゆえですが

実は振り返って
おそろしいと感じたのが、

そのような<叱る>の行為後、
居心地の悪さと同時に

”ちょっとした
気持ちよさを覚えた”

ように感じたことです。

全身を包むような
恍惚感のようなものではないのですが
(だとしたら本当に怖い)

いずれにせよ、

「はい、わかりました。
気をつけます・・・」

という

相手からの言葉によって
影響力を与えられた感が、

なんとなく気持ちよくなったのかも、、、
と感じるのでした。

■、、、さて、前置きが
長くなってしまいましたが、

今週ご紹介の一冊はそんな、

『<叱る>のメカニズム』

について、

脳科学的的な視点や
社会学的な視点から分析した書です。

■<叱る>というのは、

教育的な視点から、
時に必要とされる手段として、
認識されているようにも思います。

優しくしてばかりだと

”躾がなっていない”

と周りから思われそう、、、、
という無言のプレッシャー。

そして、

「相手のためにやってる」、
「愛のムチとして言う方もツラい」、
「怒ると叱るは違う」

と<叱る>行為を肯定する言葉も
世にたくさん溢れています。

■しかし、思うわけです。

<叱る>とは
本当に相手の望ましくない行動を
変化させる影響力があるのか?

、、、と。

そんな叱られる相手目線でみると、

実は<叱る>をしたところで

”相手(子供・部下・生徒)の
望ましくない行為を抑制する力は
期待することはできない”

ことがわかっているとのこと。

■これも、実は経験的に
叱っている側もなんとなく分かっている。。

なのになぜ、
繰り返し<叱る>を選択するのか?

なぜ<叱る>が
”素朴理論(経験を通じて自然に獲得する知識体系)”として、
有効と感じられてしまうのか?

ここに大いなる謎と、
誤解が存在するとしています。

■著書によると、

<叱る>行為を行うと、

対象者(叱った相手)は
強烈なネガティブな感情が生まれ、
本能的にその痛みから避けるために
「たたかうor逃げる」モードになると言います。

そのため、

”その苦痛から逃れるため詫びる
反省をする”

のです。

基本的に、叱る・叱られる関係は、

親と子供
先生と教師
上司と部下という
権力的な格差が前提にあるため、
対象者「逃げる」を選択することになります。

結果、行為として現れたのが

「はい、、、
以後気をつけます。」

という発言。

ただしこれは、
遅刻とかミスを気をつけよう、という
行為に対する反省ではなく、

”この叱られている状況から
早く逃げ出したい”

というその一心から
生まれた言葉でしかないわけです。

ゆえに<叱る>では
根本的に変わることはない、
とするのです。

■一方、

叱っている方は
反省を口にする相手を見て、

「よしよし、反省したようだ」

と『自己効力感』を覚えます。

自分が相手に
影響を与えている気持ちよさを感じ、

脳内からドバドバと
ドーパミン(快楽物質)が出ます。

しかし、繰り返しになりますが

叱られている相手からすれば
その行為に対する反省”ではなく”

叱られているという行為による
ネガティブな感情から逃げたくて
反省を口にしているだけなので、

結局、また望ましくない行為を繰り返す、

となります。

そして、またそれを見て
叱る側が叱り、ドーパミン放出。

そして、叱られる側は
避けるために反省を口にする、

(、、、以後繰り返し)

という負のスパイラルが続く、、、。

■更に恐ろしいことに、

人は「慣れる(馴化)」生き物です。

すると、同じように叱っても
影響力が弱くなってくるので、

・更に激しく叱る
・更に厳しく叱る

ことになります。

すると、その相手には、
これからもずっと消えない痛みが
残り続ける、、、となります。

脳科学的にも、

言葉による痛みは、
身体の痛みと同じ脳内反応が出る、

しかも身体の痛みと違い、
それは記憶から消えないため、
非常に危ういものである、、、

加えて、エスカレートした場合

痛みを与えた側(加害者)と
与えられた側(被害者)

の奇妙な信頼関係が出来上がり

「あの時の厳しい指導があったから
今の自分がある」

という本当は傷つけられているけれども
加害者を養護するような関係になる影響も
見て取ることができる、、、

と著者は述べています。

そして、
こうした<叱る>に対する理解の不足は

行き過ぎたスポーツの指導や、
学校の教育、子育てなどに影響し、

それは犯罪や幸福度の低下など
ネガティブな結果に結びついると言います。

■アックでは、どうすれば
それを避けることができるのか?

そのための一つの手段が、
まさにこの著書で書かれている

”<叱る>に対する
科学的な正しい認識”

を持とうとすることなのでしょう。

■被害者が加害者になり、

そのように世代間の連鎖にも繋がるのが
このようなネガティブな感情の記憶です。

先人たちが研究してわかった
科学的な知識を持って

素朴理論を知性で書き換えること。

そうすることで
きっと無意識で傷つけたり
ネガティブな気持ちになることが
減っていくと思いますし、

そうなることを願いたくなる
そんな一冊だと感じさせられます。

■以下、本書の紹介です。

(ここから)
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【精神科医・松本俊彦氏 推薦! 】
(『誰がために医師はいる――クスリとヒトの現代論』著者)

「殴ってもわからない奴はもっと強く殴ればよい?――まさか。
それは叱る側が抱える心の病、〈叱る依存〉だ。
なぜ厳罰政策が再犯率を高めるのか、なぜ『ダメ。ゼッタイ。』がダメなのか、
本書を読めばその理由がよくわかる」
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叱らずにいられないのにはわけがある。

「叱る」には依存性があり、エスカレートしていく――その理由は、脳の「報酬系回路」にあった!
児童虐待、体罰、DV、パワハラ、理不尽な校則、加熱するバッシング報道……。
人は「叱りたい」欲求とどう向き合えばいいのか?

●きつく叱られた経験がないと打たれ弱くなる
●理不尽を我慢することで忍耐強くなる
●苦しまないと、人は成長しない……そう思っている人は要注意。
「叱る」には効果がないってホント?

子ども、生徒、部下など、誰かを育てる立場にいる人は必読!
つい叱っては反省し、でもまた叱ってしまうと悩む、あなたへの処方箋。

【目次】

◯はじめに

◯Part 1 「叱る」とはなにか
1 なぜ人は「叱る」のか?
2 「叱る」の科学――内側のメカニズムに目を向ける

◯Part 2 「叱る」に依存する
3 叱らずにいられなくなる人たち
4 「叱らずにいられない」は依存症に似ている
5 虐待・DV・ハラスメントとのあいだにある低くて薄い壁

◯Part 3 〈叱る依存〉は社会の病
6 なぜ厳罰主義は根強く支持されるのか?
7 「理不尽に耐える」は美徳なのか?
8 過ちからの立ち直りが許されないのはなぜか?

◯Part 4 〈叱る依存〉におちいらないために
9 「叱る」を手放す

◯あとがき/〈叱る依存〉をより深く考えるためのブックリスト/注

※Amazon本の紹介より引用
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

教える立場にある
あらゆる人にお勧めしたい一冊です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『〈叱る依存〉がとまらない』

村中直人 (著)

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