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3402号 2023年6月17日

「中動態」ってなんだ? ー日本人のキャリアは「中動態」的である、というお話ー

(本日のお話 2466字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は終日、
外部人事パートナーとして
毎月関わらせて頂いている会社の人事の皆様への
終日コーチング&コンサルティングでした。

夕方からは10kmのランニング。

思ったよりも体力が回復しており、
良い感じです。

7月の超ウルトラに向けて、
練習を再開したいと思います!



さて、本日のお話です。

以前、参加した
キャリアに関するセミナーで

”多くに日本人のキャリアは
「中動態」的である”

というお話をふと思い出し
振り返っておりました。

、、、ということで、

本日はその学びについて
皆様にご共有させていただければと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは

【「中動態」ってなんだ?
ー日本人のキャリアは「中動態」的である、というお話ー】

それではどうぞ。

■「中動態」

という動詞の態を表す
言葉があります。

・・・??

ん? なんだそれ?

と思われた方も、
いらっしゃるかもしれません。

(はい、私も思いました)

昔むかし、国語の時間でも、

・能動態(私は~する)
・受動態(私は~される)

という態は
いつぞやか習ったのでしょうか、
馴染みもあり、理解もできます。

しかし、「中動態」とはなんぞ??

■調べてみると、
こういうことだそうです。

「中動態」とは

主にインド・ヨーロッパ系の言語で見られる動詞の態の一つであり、
「能動態と受動態の中間に位置する形式」を指す、

とのこと。

「能動態」「中動態」「受動態」の違いを
整理してみると、以下のようになるようです。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◯「能動態」:
行為の主体が自己の意志で行動を起こし
その結果が他者や物に影響を及ぼす。

※例:私は本を読む

◯「中動態」:
行為の主体が自己の意志で行動を起こすと同時に、
その行為の受け手でもある。

※例:私は自分を洗う(的なニュアンス)

◯「受動態」:
行為の主体が他者や物から行動を受ける。

※例:本が私によって読まれる

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

(はい、ChatGPTに
例の如く解説をしてもらいました)

■いわく、

日本語には「中動態」の
明確な形式は存在しないようで
ちょっと分かりづらいみたいです。

・行為の主体=能動態

・行為の受け手=能動態

・行為の主体でもあり受け手でもある= 中動態

なので

たとえば、

「私は私の体を洗う」

は中動態に近い表現になるようです。

一人ボケツッコミみたいな感じでしょうか。
(←よくわからん)



他にも、

「恋に落ちた」(I fall in love)

というのも、
中動態のような表現。

「恋をした」という
能動態としての意味だけでなく、

「好きになってしまった」
受動態のような意味もあり、

ゆえに

「恋に落ちる (中動態)」

と捉えられるそう。

■うーん、
言葉って奥が深い。。。

でも、この概念を知っておくと、
自分の選択が広がるようにもなります。

一つの例として、
2022年の9月に行われた、

『ミドルシニアのキャリア自律』
(Yellセミナー)

にてパーソル総合研究所の小林裕児氏が、
以下のような話を述べられていたことを
思い出しました。

内容としては、

<多くの日本人のキャリアは”中動態的”>

というお話です。

簡単に当時のメモを含めて
まとめてみます。

***

<多くの日本人のキャリアは”中動態的”>

・日本では就職をして、入社をする。
仕事に対して「こうしたい!(Will)」
というものがなかったとしても
(完全に能動態ではないとしても)

職場に行くとそこに「やるべき仕事(Must)」がある。
処遇も年功的にある程度上がっていく(15~20年くらい)

・「やりたい(Will)」がなくとも、
求められていることをしていくと
そこそこ楽しく仕事ができる、そこそこ能動的になる。
Canも増えていく

・この状態は「自分主体の能動態」なキャリアともいえないいが、
「受け身である受動態」というわけでもない。
この状態は”中動態的”である。

具体的には、
会社主導の配置、企業主導の賃金、トレーニングに対して
配属後に適応する、出世競争や査定評価獲得をするという、
来たものに対して、能動的に打ち返す、ようなイメージである。

・しかし問題は、
ミドル・シニア以降になると、
スキルの陳腐化、昇進の天井、ポストオフなどが起こる。
CanとMustが縮小していくことになる。

この”中動態的なキャリア”だと、
「自分主体の能動態」のキャリアではなかったため
(つまり「Will」が大きくない状況のキャリア)
「引退モード」の就業態度になってしまう

***

というお話でした。

■なるほど、、、。

しばしば、
ミドル・シニア以降に
キャリアを考えるような場面で

「今更どうしたいって聞かれても、
わかりませんよ・・・」

というニュアンスの
あきらめなのか不安なのか、
少し躊躇を感じる雰囲気を感じることがあります。

これは、受動とはいえず、
かといって、アナタの責任ですよ、
と言い切ることも難しい感覚になりますが、

”中動態”的なキャリアで来ているから
という概念で捉える取り会がしやすくなりました。

■「受動態」ではない。

会社主導の異動などはあるけれど
その文脈の中で楽しく一生懸命やってきている。

一方、完全に個として
「能動態」ともいい難いかもしれない。

いつどうなるかわからないという前提をもって、
”自分という個”が主体として日々を歩んできた、

とまではいえない。

もちろん人によりますが
受動・能動、どちらともいえない

”「中動態」的なキャリアを送っている人が
日本には少なからずいるのでは?”

という観点は

新しい視点を投げかけられたような
感覚を持ったことを思い出しました。

■能動的にいこうぜ。
受け身はダメよ、、、

みたいな短見ではなく

能動ー受動の間に存在する
「中動」の概念を理解することで、
それでは切り分けきれない今を認識できるような気がします。

そして、その概念を理解することが

その中動態的スタンスが
機能不全を起こしうるステージも
客観的に理解をできる気もします。

ということで、
一つ「自己認識」を高めるための
ものの見方として留めおきたい考えだな、

と思った次第。

言葉を手に入れることは、
世界の新しい見方を手に入れること。

「中動態」、覚えておきたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>
すべてはきっと好転する。
そう信じて、辛抱強く耐え抜こう。

耐え抜いたとき、あなたはとてつもない力を
手にしていることだろう。

マハトマ・ガンディー
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