メールマガジン バックナンバー

3411号 2023年6月26日

「強みの活用」と「幸せ」はどんな繋がりがあるのか? ーある研究からの答えー

(本日のお話 2051字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日日曜日は、家族で公園へ。
またその後、30kmのランニングでした。



さて、本日のお話です。

本日も「強みの活用」に関して、
ある論文からの学びをご共有させていただきたく。

どんな内容かというと

”「強みの活用」と「幸福感」の関連を
大学生214人に対して調査してみた”

という研究になります。

なかなか興味深い結果でございました。

それでは、早速まいりましょう!

タイトルは、

【「強みの活用」と「幸せ」はどんな繋がりがあるのか? ーある研究からの答えー 】

それでは、どうぞ。

■ポジティブ心理では

「自分の強みを知り、強みを活用し、
自分の価値観にしたがって行動する人は
より幸福になる」

と言われています。

ただし、こうした研究は

”確かにそれっぽいけど、
実際のところどうなのよ?”

という疑問がついてまわります。

研究も1つ2つあるくらいで
そんなに多くの研究がなされていない、、、

ということも少なくなかったり。

■そんな中、

今日ご紹介する論文、

『強みの活用、自己一致、幸福感:
ストレングスコーチングとコーチング心理学者への示唆』

原題:
Govindji, R., and P. A. Linley.(2007).
”Strengths Use, Self-Concordance and Well-Being: Implications for Strengths Coaching and Coaching Psychologists.”
International Coaching Psychology Review

では、

参加者の大学生214名に対して、

・ウェルビーイングの3つの側面

を測って、それらと、

・強みの知識
・強みの活用
・有機的価値付け(大事な価値観)

も測ってみて、
それらのつながりを調査してみた、

という研究を行ったのでした。

ちなみに、

参加者は白人の出身者が多く(64%)
インド系(20%)、中国系(4%)
参加者は独身者が約8割とのこと。

日本人は、記載がありませんでした。

■どのようなモデルの研究かというと、

「ウェルビーイング」に対して、

「自尊心」や「強みの活用」が
どのような関連があるのかの相関を調べるというものです。

まず、過去の研究より、

ウェルビーイングは
以下の3つのカテゴリに分かれることが
わかっていました。

これらを従属変数としました。

1)主観的幸福感
(生活満足度と感情のバランス度)

2)心理的ウェルビーイング
(人生の課題への取り組み度)

3)主観的活力
(幸福感のよりダイナミックな側面/やる気がでるなど)



そして、これまた過去の研究から
これらのウェルビーイングの尺度には
「自尊心」と「自己効力感」が相関していることが
わかっていました。

よって、以下の項目を
独立変数として測定しました。

1)自尊心
(自分自身に対する全体的な肯定的評価(Rosenberg,1979))

2)自己効力感
(目標を達成する自分の能力に対する信念(Bandura,1997))



そして、今回の研究の
メインテーマの1つが

”「強み」と幸福感の関連を解き明かす”

ことです。よって

「強み」や「有機的価値づけ」も
独立変数として測定しました。

1)強みの知識
(自分の強みを認識し、自覚しているか)

2)強みの活用
(自分の強みを、様々な場面で使用できているか)

3)有機的価値づけ
(本人が大切と感じる価値観を知り、大切にできていると感じるか)

■そして、

これらの要素のそれぞれを

・相関分析(関連性を調べる)と

・重回帰分析(どの要素がウェルビーイングに影響を与えているか影響度を調べる)

事を行いました。

■さて、
ではどのような結果になったのか?

結論ですが、以下の3つ、
ポイントをまとめてみます。

まず、1つ目が

『「強みの活用」はすべて
(強みの知識・強みの活用/有機的価値づけ」)

「ウェルビーイング
(主観的幸福感・心理的幸福感・主観的活力)」

に関連していたことがわかった』

とのこと。

なるほど、

強みを知り、
強みを活かすことは、
ウェルビーイングにやはり関連しているのですね。

強みの活用は
幸福感の向上に大事とも言えそうです。

■そして2つ目、

こちらの方がより
興味深かったのですが、

”ウェルビーイングに対しての影響度”を
重回帰分析で見てみると、

『「強みの活用」よりも、

「自尊心」のほうがよりウェルビーイングに

影響を与えていることがわかった』

のでした。

つまり、

強みの活用も大事。

でも、幸福に近づくには、

自尊心(自分自身に対する全体的な肯定的評価)
を高めるほうがもっと大事。

ということのようです。

■そして最後の3つ目は、

『「強みの活用」と「自尊心」には、相関関係がある』

こと。

強みの活用をするから、
自尊心が高くなるのか、

はたまた自尊心が高いから
強みの活用ができるのか、

これらの因果は不明ですが、
いずれにせよ繋がりがあるようです。

■ということで、

ないよりもあったほうが
おそらく多くの人にとっては
より望ましいことであろう「幸福感」。
(私の感想ではありますが)

その幸福感の高め方として

・「強みの活用」

・「自尊心」を高める

ということ視点を持つことは
実践的にも役立つ示唆になりそうだな、、、

そんな事を思った次第です。

ちなみに余談ですが、
『自尊心の高め方』については

以下バックナンバーに記載がありますので、
よろしければご参考までに。

めっちゃいい本です。



今週の一冊『自尊心を育てるワークブック―あなたを助けるための簡潔で効果的なプログラム』
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/10110/

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

=========================
<今週の一冊>

『女性の視点で見直す人材育成――だれもが働きやすい「最高の職場」をつくる』

中原 淳 (著), トーマツ イノベーション (著)
https://amzn.asia/d/dfmKAPc
=========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す