「組織における強みの活用」の全体マップはコレだ! ー最新論文からの知見(その2)ー
(本日のお話 2999字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は妻の誕生日とのことで、
カウンターの寿司を食べにいきました。
実は殆ど言ったことがなかったのですが、
なんと美味しいことか・・・。
(シャリがほどける)
庶民なので、あまりこういう経験がなかったのですが
癖になりそうでした。
お仕事頑張って、また行きたいと思います。
また夜は10kmのランニングなど。
*
さて、本日のお話です。
本日も昨日に引き続き
「強みの活用」をテーマに
論文のご紹介ができればと思います。
(今日もしつこいようで恐縮ですが
ガンガン掘り下げさせていただきます!)
昨日までのお話は、
『組織における強みの活用の全体マップ』
について、
2022年の比較的新しい論文があり、
そこに組織における強み研究の知見が
たくさん紹介されておりました、
という内容でした。
※昨日のお話はコチラ↓↓
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4533786/
論文タイトル『組織における強みの活用の考察:マルチレベルの構成要素として』
※原題:Woerkom, Marianne van, Maria Christina Meyers, and Arnold B. Bakker. (2022).
”Considering Strengths Use in Organizations as a Multilevel Construct.”
Human Resource Management Review 32 (3): 100767.
今日は、その論文の
第二章に書かれている、
「強みとは何か」
について語られている部分について
まとめてみたいと思います。
それでは、早速まいりましょう!
タイトルは
【「組織における強みの活用」の全体マップはコレだ!
ー最新論文からの知見(その2)ー】
それでは、どうぞ。
■「強み」なるキーワードを
特に重視している主戦場は
「ポジティブ心理学」
という研究分野です。
ポジティブ心理学では、
人間のポジティブな機能
(まさに強みとか、集中するフロー状態など)に
注目をしています。
しかし、これは
”個人レベルの話に留まる研究が多い”
という傾向があります。
■私たちが働くシャバ(職場)では
当たり前ですが
一人で働くわけではなく、
経営や組織行動などの世界では
”チームや組織などの集団レベルの話”
を題材に研究されることも
少なくありません。
(リーダーシップ、
チームビルディング、
職務特性などもそう)
しかし、そうした
人的資源管理(HRM)の分野では、
”「職場の機能不全を解消する」
「従業員の弱点を修正する」ことで
「パフォーマンスを高める」ことができる”個人
という弱点修正型の暗黙の前提があるとも
言われています。
(Luthans,2002)
■個人から組織へ。
弱点修正から、強み注目へ。
そんなこれまでの前提に
一つ挑戦しようじゃないか、
ということで
「強みを、組織における
集団的な強みとして活用するために
必要な要素を考えてみた」
というのが本論文であり、
新しいことでした、、、
というのがこれまでのお話です。
■、、、と、昨日までのお話の
はじめに、と第一章を
整理した上で、
今回とりあげる「第2章」のテーマは、
「強みの活用とはそもそも何か?」
であります。
以下、簡単に第2章ポイントを
整理してみます。
まず、「強み」とはなにか?
ですが、このように述べられています。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・強みについて、
ピーターソンとセリグマン(2004)は
「24の性格的強みの分類」を開発した。
(『VIA』と呼ばれるアセスメントツール ※ちなみにオンラインから無料で受けられます)
・この概念の中では、性格的強みは全て高い必要はない。
一般的に、成人は3-7つの「特徴的な強み」を持っているとする。
・VIAでの文脈の「特徴的な強み」とは
「その人が持っていて、頻繁に使われ、称賛される特性」、あるいは
「その人が良いパフォーマンスを発揮したり、ベストを尽くす事を可能にする特性」としている。
・この強みは少なくとも部分的には、
「生まれつき」得意とする遺伝的側面が関わっているという共通認識がある。
※第2章より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
■「強み」とは
・その人がよく使う特性で
良いパフォーマンスを発揮することを可能にする特性
としています。
その人がそれを使っている時
「めっちゃパワーがみなぎる」とか
「自分らしいと思える」
そんな特性が強みなのですね。
■そして、
ここが今日お伝えしたいポイントなのですが、
研究者はこのように補足をしています。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・このような強みの概念に従って、我々研究者は
個人の強みとは、
”他者と比較した卓越性のエピソード”ではなく、
”個人的な卓越性のエピソード”において発現する性格特性である、とした。
(Roberts,Duttonら,2005)
・例えば、サラが『創造性』という強みを持っているとする。
すると、サラは『創造性』を発揮するとき自分のパフォーマンスが高まる、と感じる。
そして、サラが『創造性』を他者から認められるときに自分らしい、と感じる。
・ポイントは、”他の人がサラより創造性が高い・低いは関係ない”ということだ
※第二章
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。
今回の「強みの研究」では
「強みとは、
他の人と比べて卓越しているかどうかではなく、
その人の中の「卓越したエピソード」の中から見出すもの」
としているのです。
ここが面白いところです。
■おそらく、
一般的に捉えられる「強み」は
こういう認識ではないと思います。
例を挙げているなら、
・あの人は英語が「強み」である
・あの人は分析力が「強み」である
・あの人はコミュニケーション力が「強み」である
と他者の強みを語るとき、
その頭に何をイメージしているかというと
「相対的な”偏差値”のようなもの」
を念頭に話すことが多いはず。
「英語」だったら、
流暢に英語が話せる、とか
「分析力」だったら、
様々なフレームワークを駆使しながら
論点を網羅的かつ批判的に、瞬発力を持って考察できる、とか
「コミュニケーション力」だったら
淀みなく、引き込むプレゼンテーションができるとか
新しい人に物怖じせず会話を投げかけることができる
というように。
■ただ、繰り返しとなりますが
「強みの研究」では
”他者と比較した強み”ではなく、
『個人が頻繁に使っており、
ベストな自分を発揮できると感じるもの=強み』
としており、。
こうしたものを意図して使うことで
様々な効果が得られることがわかった、
としたところに発見があるわけです。
例えばこれまでに
上記の文脈での「強みの活用」により
以下のような効果があることが、
研究結果として明らかになりました。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<強みの活用がもたらす効果>
1,仕事のエンゲージメントの向上(パフォーマンスにつながる)
2,幸福度の向上
3,ストレスの軽減
4,自尊心の向上
5、自己評価によるパフォーマンスの向上
6,上司評価によるパフォーマンスの向上
7,病気欠勤の減少
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
■なるほど、
個人の中での卓越性だとしても、
基本的には色んなメリットがあるようです。
ただ難しいのが、
「個人レベル」でみると
このように「自分で考える自分の強み」を
乱暴に言えば、勝手に発揮していれば
幸福度も高まってOKなのですが、
「組織レベル」でみると、
事はもっと複雑になります。
ここが、実に難しい。。。
■なぜならば、
チームなどのような組織には
”「共通の目標」と「相互作用」がある”
からです。
その目標の達成のためには
また「個人の中の強み」ではなく、
「他者と比較した強み」も考慮して、
仕事のアサインや評価なども
発生する事が起こってきます。
また、自分が強み、と思っていることが
その文脈で活かせないことも起こり得ます。
ゆえに、
「個人の卓越性のエピソード=強み」
↓
「それを活かして仕事をしよう」
とシンプルに捉えづらくなる、、、
現象が起こってくるわけです。
これについて、
どのように考えればよいのか、は
次回に続けたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
誰もが自分の選んだ運命や偶然与えられた運命に満足せず、
他の道を歩んだ人々をうらやむのはどういうわけだろう。
ホラティウス
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