あなたを閉じ込めている「内なる竜」を退治せよ
(本日のお話 2984字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
夜は大学院の授業のサポート。
また、8kmのランニングでした。
*
さて、本日のお話です。
先日で、約3ヶ月に亘って関わらせて頂いた
立教大学大学院 リーダーシップ開発コースの
『人材開発・組織開発実践論』
の授業が終了しました。
「何かが終わる瞬間」とは、
走り終えた達成感もあれば
少しの寂しさもあれば
新しい局面に繋がる期待もある、
複雑な想いが湧き上がります。
しかし、
学びは当然ながら、
人との繋がりも得られ、
大変貴重で、温かい時間でございました。
(LDC3期生の皆さま、ご一緒させていただき、
誠にありがとうございました!
これからもよろしくお願いします)
*
さて、そんな最後の授業で
テーマとなったのが、
”取り組みたいのに
それを阻んでしまう自らの内面”
を語り合うというものでした。
このお話が深く、
とても大事な気づきを与えてくれました。
ということでそのお話からの学びと気づきを、
皆様にご共有させていただければと思います。
それではまいりましょう!
タイトルは
【あなたを閉じ込めている「内なる竜」を退治せよ】
それでは、どうぞ。
■人は、複雑です。
「こんなことがやりたい!」
と表面では思っていても、
直ぐにその行動をするかというと
意外と”しない”。。。
それは、
「やりたいのにやらない」につながる
「裏の目的」がある、
というわけです。
そして、
「表の目的」に対して
「裏の目的」が後ろから脚を掴む
そんななイメージで
なかなか前に進めない、
行動に起こせない、
ということが往々にしてあるようです。
■、、、と、ちょっと抽象的すぎました。
わかりやすくするためにとわかりづらいので
アオハルっぽい例えで考えてみます。
例えば、
・好きな子に告白したい
もっと深い関係になりたい(=表の目的)
↓
・でも可能性がゼロになるのが怖い。
関係が友達のような状態でなくなるのも怖い。。。
(ゆえに可能性を残しておきたいし、今のままでいたい)(=裏の目的)
↓
・だから決断を迫る告白をしない(=実際に取る行動)
という感じでしょうか。
昔ちょっと売れた高橋由美子の
『友達でいいから』by南くんの恋人の主題歌
の歌詞を思い出します。
(わかるかな笑)
つまり、
・好きな人に告白して近づきたい
(=表の目的)
・今の関係を壊したくない
(=裏の目的)
という表と裏の綱引きがあって、
その上で行動を選ぶわけです。
これは、
・営業でクロージングを迫れない、とか
・優しくしたいのに厳しくしてしまう、とか
あらゆる行動に表と裏の目的が混在します。
■このような内面の状態を
『免疫マップ』
という言葉で表したのが
著書「なぜ人と組織は変われないのか」であり
ロバート・キーガン博士がそのメカニズムを
明らかにしました。
■さて、そんな風に、
”人は「変わりたい」といいながら
「変わらないこと」を望む”
という矛盾した生き物です。
しかし、
そのメカニズムを理解し、
解き明かすことで
前に進むヒントも得られる可能性があるもの。
そのキーワードの一つが
・「エッジ(心理的な抵抗感)」
(=踏み出すことで今と違う状態になることの恐れ。
・「強固な固定観念」
(=こうあるべき、と考えてしまう自分の思考)
など。
、、、そんな話を
授業で聞いていたのでした。
■いやー、めっちゃある。
ありすぎて困る。。。
そう思いながら、授業を聞きつつ
自分のことも振り返っていました。
きっと皆様にも、
人間ですから、そうしたことが
何かしらあるはず。
■このことに関連して、
あるお話を思い出しました。
著書『リーダーシップの旅』に
書かれていた、
<内なる竜>
というお話です。
以下、引用させていただきます。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<内なる竜を退治する>
神話学者J・キャンベルは、
ジャーナリストのビル・モイヤーとの対談で
とても深遠な言葉を残している。
「もしあなたのしている仕事が、
好きで選んだ仕事ならば、それが至福です。
しかし、あなたがある仕事をしたいのに
『駄目だ、とてもできっこない』と思っているとしたら、
それはあなたを閉じ込めている竜ですよ」
(飛田英雄訳『神話の力』早川書房、1992年)
*
西洋の神話や物語に出てくる竜は、
私たちの自我を縛り付けている事実そのもの。
究極的には、私たちのない内面にあって
私たちを押さえつけている自我の象徴だと
キャンベルは言う。
*
また、西洋の竜は「貪欲」の象徴でもある。
秘密の洞穴にいて、
黄金や捕まえてきた美女といった宝物を
見張っているからだ。
「竜は宝物をどう扱っていいのか分からず、
竜にとっては、美女もあまり意味はもたない。
しかし、ただ持っていたいから持とうとし、
ひたすら失わないだけのために番をしている」
私たちの欲しがっているもの、
信じようと思うもの。
私たちが可能だと思うこと、
愛すると決めたもの、
私たちは自分は絶対に
こういう人間だと思っているもの、
それが自我だ。
だが、あまりにもちっぽけな自我は、
私たちを釘付けにする。
社会や組織から与えられたものが、
自分にとっての生きがいの中核となり、
さらに人生そのものになってしまうと、
私たちの心の叫び、
「内なる声」を聞くことができなくなる。
※引用:野田稔、金井壽宏(2007)『リーダーシップの旅 ー見えないものを見るー』
光文社新書、P148ー149
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
■、、、、。
刺さりすぎて、
書き写しながら、染み入りすぎて、
しばし言葉を失ってしまいました。。。
”私たちの欲しがっているもの、
信じようと思うもの。
私たちが可能だと思うこと、
愛すると決めたもの、
私たちは自分は絶対に
こういう人間だと思っているもの、
それが自我だ。”
「自我」とは自分を縛り付けているもの。
まさに、先述の『免疫マップ』の
”こうあるべき、こうすべき”という
固定観念にも通ずる話に聞こえます。
しかし、そういった自分の囚われが
自分の「内面の声」を見えなくし、
前に進むことを阻んでしまう。。。
大変、深く、
大切なメッセージのように思えます。
■、、、では、どうずれば
<内なる竜(自我、囚われ>を
退治することができるのか?
このことについて、
本著書の続きではこう述べています。
引き続き、引用いたします。
”冒険譚の英雄は竜(=自我の殻)を打ち破り、
退治することによって世界に生気を与える。
世界に生命をもたらす唯一の道は、
『私たちが自分自身にとっての
生命のありかをみつけ、
自分がいきいきと生きること』
だと、キャンベルは説く”
■「自分自身にとっての生命のありか」。
抽象的な表現ですが、思うに、
”自分が守っている自我以上に、
本当に大事なこと”
であり、それは
・何を残したいのか
・何に真に喜びを感じるのか
・どういった自分でありたいのか。
月並みですが、
一人ひとりの内側にある
”ミッション”を見つけようとすることが
脚を掴む固定回念を越えて
自分を前に進ませてくれる指針や力になるのかもしれない、
そんな事を思ったのでした。
■歳を重ねるごとに、
”守りたいもの”と思ってしまうものも増えて、
恐れや不安がよく顔を出します。
でも、
人生はまだまだ続くし、
そうした守っている自分は
自分自身のエネルギーも低めてしまうと、
私も振り返り感じます。
怖いことも恐れもあるけれど、
次々に生まれてくる<内なる竜>を見つめつつ、
退治していく旅路を歩みたいものだ、
そんな事を感じた次第でございます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
=========================
<本日の名言>
天才の秘密は、子どもの時の精神を
大人になっても持ち続けるということだ。
つまり、それは自分の情熱を失わないということである。
オルダス・ハクスリー
=========================