今週の一冊『心理的安全性をつくる言葉55』
(本日のお話 3864字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、午前は大学院の
「若手を対象にしたフィードバック」
をテーマにしたワークショップイベントの参加、
そして午後からは、
「強みを活用したワークショップ(VIA)」
への参加でした。
*
ちなみに、
強みのアセスメントにおいて
米Gallup社の
「ストレングス・ファインダー」
はツールとして理解を
深めてきましたが、
世界的に有名な強み診断のアセスメント
(ペンシルバニア大学で開発)
「VIA(Value in Action)」
については詳しく学ぶ機会が
ありませんでした。
今回の土日はそんな
「VIA」を深める時間になっており
大変興味深い時間を過ごしております。
ここからの学びの共有は、
ぜひ改めて行えればと思います。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、
お勧めの一冊をご紹介させていただく、
「今週の一冊」のコーナーです。
今週の一冊は、
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『心理的安全性をつくる言葉55』
原田将嗣 (著), 石井遼介 (読み手) /飛鳥新社
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です。
■先週、友人のお誘いで
『心理的安全性AWARD2023表彰式』
(ZENTech主催)
なるイベントに、
一部参加させていただきました。
このイベントは、
”年に一度、心理的安全性づくり
取り組むチームを讃える祭典”
です。
株式会社から学校法人まで、
またチームから全社的な取り組みまで
幅広いチャレンジについて
表彰がされていました。
壇上にて発表されたチームの皆さまが、
お互いに信頼しあっているような様子を感じ、
きっとよいチームづくりができているんだろうな、、、
と想像させられる、
素敵なイベントでした。
■さて、そんな「心理的安全性」。
少し前から
人と組織の取り組みにおいて、
注目されてきました。
試しに、「Googleトレンド」で
キーワード:心理的安全性で調べてみると
「2015年は人気度=1」と
ほぼ検索されていない状況でしたが、
2019年頃から徐々に知られはじめて
2021年に注目度が急上昇し始めました。
そして、
「2022年は人気度100(最高評価)」
と広く膾炙したことがわかります。
■ちなみに
「心理的安全性」ですが、
その定義は、
”チームの他のメンバーが
自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと
確信できる状態”
と組織行動学のエイミーエドモンドソン(1999)によって
定義されています。
誤解されがちですが
・厳しい事を誰も言わない、
・みんなめっちゃ優しい
とかそういう話ではありません。
”自分の意見を言っても
干されたりしない”
ことです。
「心理的安全性」が高いと、
「組織の中で自分の考えや気持ちを
安心して発言できる」
ことに繋がります。
すなわち、会議などで
質問やアイデアの提案も
出やすくなります。
すると、自ずと
チームや個人の学習が進みます。
結果としてパフォーマンスが高まります。
つまり、
・心理的安全性の向上 とは
↓
(一次成果)
・チーム学習、個人学習の向上 へと繋がり
↓
(二次成果)
・チームパフォーマンス、個人パフォーマンスの向上
と繋がっていくのです。
こうしたことは、
これまでの研究で明らかになってます。
■、、、というように、
日本においても少しずつ
「心理的安全性って
どうやら大事らしいぞ・・・」
という共通認識が高まってきている、
といえるでしょう。
しかし、まだまだ
ハードルは高いものです。
「心理的安全性」という概念だけが
独り歩きしたとて、
実際に職場で、
何をどうすればいいのかがわからない、、、
ゆえに何も変えられない、
というのも起こりうることです。
■そんな中で、
先述ご紹介した
「心理的安全性AWARD」など行い、
また心理的安全性を高めるために
サーベイシステムを開発、
6000社に提供する中で
日本の組織に対して
心理的安全性を高める取り組みをしてきた
ZENTech社のコンサルタントの具体的ノウハウを
『心理的安全性を高める言葉55』
として、シーンに応じた
具体的なアクションを教えてくれている、
というのが本書の特徴です。
■この著書の素晴らしいところは
3点あると感じました。
まず1つ目が、
・心理的安全性を高めるには、
「日常使う言葉を変える」こと”と
コンセプトを絞って届けていること
です。
「言葉」は、思考が表出したもの。
ゆえに思考が完全に変わらないとしても、
「言葉」は思考よりも影響力が強いです。
それが「言葉が文化を作る」という所以でもあります。
*
しかし、「言葉」とは
多くの場合、組織の中で
当たり前のものとして使われており
自分が使う言葉と、
その背景にある思考を
見直す機会もなかなか少ないもの。
特に上司など立場が上だと
「自分が使っている言葉」は
立場の違い→権力の違いとなり
その力が増幅され
”チームメンバーに
強いインパクトを与えてしまう”
こともあるわけです。
では、どうすればよいかというと、
「職場の様々なシーン(会議や1on1の場面)で
使っている言葉を見直すこと」
そして、
「使っている言葉のインパクトを理解し、
必要に応じて、修正していくこと」
です。
そのための着目点と
変えるべき言葉のレパートリーを
豊富に提供してくれています。
■そして、本書の2点目の魅力は
”心理的安全性を高めるとされている
4つの要因に紐づけている”
ことです。
ちょっと斜に構えた見方をすると、
とにかく色んなやり方をリストアップしました、
だと、少し枠組みが雑になりがちです。
ですが、
心理的安全性を高めるための4要因
1,話しやすさ
2,助け合い
3,挑戦
4,新奇歓迎
を明確にし、上記4つを
高めるための手段としての言葉を提案することで
その言葉を使う納得度が高まっていると感じます。
■そして、3つ目の魅力が
”職場のシーン別に、
実用をイメージできる形で
自然な言葉を提案してくれる”
ことです。
例えば、
・「毎日の何気ないシーン」で使う
(心理的安全性を高める)言葉
・「会議の場面」で使う言葉
・「1on1」で使う言葉
・「クライアントや取引先」で使う言葉
において
あー、あるある、、、という
「言ってしまいがちなNG例の言い方」を
「心理的安全性を高める言い方」に
変える提案をしてくれています。
■例えば、
「1on1の場面」の例だと
こんな例が紹介されていました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✕:そういえば私も・・・
↓
◯:もうちょっと聞かせてもらえますか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1on1で、相手から
自分の興味がある話題がでると、
ついつい自分が話したいことを
話してしまうことがあります。
例えば
「部下が週末キャンプに行った」
という話がでたら
「そういえば私も、
キャンプ好きなんだよね!
僕も3年前からハマっていてね、
この間は湖畔で楽しくてさテントも買ったんだよね!」
みたいに、
相手の話ではなく、
自分(上司)の話になってしまった、、、
というのはよく見るシーンです。
■しかし、
”部下がたくさんを話をして、
それを受け止めてくれたという感覚”
こそが、信頼感を生み出し、
そして心理的安全性を醸成するのです。
そのときに、
「そういえば私も・・・」
と言ってしまっているのであれば、
そんな自分に気づいて一歩立ち止まって
「へー、そうなんですね
”もうちょっと聞かせてもらえますか”」
と言い方を理解して、
”相手に焦点を当て、
話を広げていく言葉を選ぶ”
ことができれば、
自然と相手の話を
引き出すことができるようになります。
55のケースで表現されていますが、
それぞれその背景理論も紹介されているため、
とても説得力があると感じさせられます。
■こうした言い方は、
ゼロから編み出すのは、
とても難しいです。
ゆえに、
先人の誰かが実践して
効果を発揮した言い回しを、
”TTP(徹底的にパクる)して、
自分のモノにしていく”
ことで、経験をショートカットすることができます。
そうした
「TTPできる心理的安全性を高める
イケてる言い方」
を日本の組織の文脈において
使えそうなものについて紹介していただいている、
そんな風に私は感じました。
■以下著書の紹介です。
(ここから)
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いま大注目の「心理的安全性」を
取り入れるなら、
本書の言葉から
いつものひと言を変えることで......
会話が増える!
チャレンジが始まる!
チームが変わる!
「言い換え」でわかりやすくお伝えします!
×じゃあ任せたから、頼んだよ →
〇誰に相談すると進みそうですか?
×ムリでしょ →
〇その視点はなかった!
×仕事は増えるけど頑張ろう →
〇やめたほうがいい仕事ってなんだろう?
「多くのリーダーが変化を体感した言葉が厳選されています」
『心理的安全性のつくりかた』著者/石井遼介
※Amazon本の紹介より
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■これまでの時代では
・できないことを追求する”
・ビシっといって改善を促す”
というギャップに注目し、
相手に迫る歴史のほうが影響が強かったかと思います。
ただ、時代も変わり、
またマネジメントに関しても、
明らかになってくることは増えてきました。
その中のキーワードで
今向き合う大切なものの一つが
「心理的安全性」
でもあるように思います。
人は、恐怖や批判の中で
責められないために行う行動よりも、
目標に向かって様々なことを
チャレンジしていく、その中で学ぶ方が
ずっと生産的でいられることもわかっています。
■そのための一つのヒントとして
職場のリーダーやマネジメントに関わる方を始め、
お手にとっていただき、
1つでも2つでも言葉を変えると
職場の雰囲気もどんどん変わっていくのだろうな、
そんな可能性を感じさせられる著書でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<今週の一冊>
『心理的安全性をつくる言葉55』
原田将嗣 (著), 石井遼介 (読み手) /飛鳥新社
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