今週の一冊『Coaching A to Z 未来を変えるコーチング』
(本日のお話 2656字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
引き続き、沖縄に来ております。
昨日は友人ご家族との川遊び。
また午後は『沖縄美ら海水族館』に行きました。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は
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『Coaching A to Z 未来を変えるコーチング』
ヘスン・ムーン (著), 伊藤 守 (監修), 田村 加代 (翻訳)
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です。
■「コーチング」とは、
相手の可能性を引き出し、
「相手の望んでいること」を実現するために
支援をするための対話の技術
ともいわれます。
私もコーチングを学び、
実践をする立場にある人間ですが、
しばしばコーチ同士で練習会をしたりします。
または自分もコーチングを
受ける方を定期的にお願いしており、
その際には、コーチングのスキルである
「質問」
を受けることがあります。
その中で時に、
ハッとさせられる質問と出会うことがあるのです。
そしてその言葉は自分の中に残ります。
■「対話」とは言葉です。
言葉で何が得られるんだ?
と思えてしまう方も
いるかもしれません。
一方、
「(言葉が)刺さる」
「(言葉が)胸に響く」
「(言葉に)切られる」
と、身体感覚での
比喩もあるように
「言葉(対話)はインパクトを与え、
変容や気づきをもたらしうる」
のもまた事実だと思います。
■では、そんな「対話」の力があるとして、
具体的に、
どのようなコーチングの対話が
効果的なのでしょうか?
それを
コーチングを10年にわたって
数万時間の実践を経て、
その結果の一つとして
博士号の資格を取得した著者が、
「そうしたコーチングも
実はそんなに難しいものではなく、
アルファベットのA~Zで
表現できるくらいのことだ」
というメッセージを込めて書いたのが
本書の内容となります。
■著書の冒頭では、
コーチングにおいて
「良い対話が優れた力を発揮する」
と対話の可能性を説きます。
曰く、
「Conversation(対話)」とは、
その語源では、人の「生き方」であった、
つまり、その人が周りの世界と
どのように関わるかを意味していたと言います。
「あなたは、どんなストーリーと共に暮らしていますか?」
「あなたの心を占めているものはなにか?」
「あなたの心に宿る物語とは?」
そうしたものがその人の思考と行動を、
強い言葉で言うならば時に支配しており、
その「生き方」を共に探り、
気付くことが対話が力を発揮する上で
重要な点であると指摘します。
■その上で、著者は
”コーチングの聴き方の羅針盤”として
『リスニング・コンパス』
なるものを紹介しています。
リスニングコンパスは
4象限でイメージできます。
まず、
・横軸:左側=過去、右側=未来
・縦軸:上部=ポジティブな内容、下部=ネガティブな内容
です。それらで分けられた
4つの領域(象限)では
1:望ましい未来(右上)
2:充実した過去(左上)
3:辛かった過去(左下)
4:望ましくない未来(右下)
となります。
そして、
「自分のストーリーはどこを住処にしているか?」
「辛かった過去、望ましくない未来が、自分の足枷になっているならば、
一番近い出口はどこだろうか?」
などを探るのです。
これらの対話を進める上での
一つのポイントは
『ごく普通の言葉をポジティブに使う』
こととします。
(つまり、ネガティブな視点で見ない、
相手の足りないところに注目しない、
とも言いかえられるかと思います)
■そして、本章の中心部では、
著者の様々なコーチング実践経験で得られた
エピソードを紹介しながら、
上記の「リスニング・コンパス」も繋がる内容を
A~Zの頭文字の順番で紹介していきます。
例えば、
Already
目指す先の指標ではなく、すでに積み重ねた努力に注目しよう
Becoming
本当に得たいものに意識を向け、実現に必要なものがすでに備わっていると信じよう
Care
抱えている問題ではなく、大切にしているものに関心を持とう
Difference
未来をポジティブに変えたい気持ちにスイッチを入れ、
過去のポジティブな経験にもスポットライトをあてよう
Else
別の視点や身近にある貴重なリソースを、積極的に取り入れよう
First
望ましくない慣れた行動パターンから、
慣れないけれど望ましい行動パターンに変換しよう
(本書より引用)
などです。
それぞれに効果的な質問や、
自己対話の問いの例等も紹介されており、
「これは使えるそう」と思える
質問の例にも出会えるかと思います。
■以下、本書の紹介です。
(ここから)
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言葉ひとつで、考え方は変わる
コミュニケーション科学の専門家による、充実した対話をつくる方法
「こんな本が出ることを望んでいた!
コーチングに留まらず、部下・同僚あるいは顧客との対話、
さらに子供との対話にまで使える、世界最高の「対話」の教科書!
これはおすすめです!」
――早稲田大学大学院教授 入山章栄氏推薦!
対話によるストーリー作りの基本は、
会話のありかた(リスニング・コンパス)を知り、
ごく普通の言葉をポジティブに使うことです。
本書は、著者の10年にわたるプロジェクトで分かった「対話に潜む効果」を、
26の視点と著者の具体的なエピソードによって紹介しています。
コーチングや仕事だけでなく、さまざまな場面での対話に生かすことができるでしょう。
※Amazon本の紹介より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
■A~Zについてのポイントは、
コンセプト重視のため重複間もあること、
またコーチングの事例が海外のものであるので
日本人の視点から見たときの違和感、
というのは多少あるかもしれません。
ですが、
「コーチングを学んだことがある方が
対話のラインナップを増やしたい」
という人にとって、また
「マネジャー、管理職が部下との1on1の
対話の質を向上させたい」
という場面にも活用できると思います。
構造的にコーチングの
傾聴や質問のスキルなどが
分類しる著書ではありませんが、
著者の経験を通じて得た、
豊富な具体例を追体験するような内容になっているのが
特徴であり、魅力かと感じた一冊でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<今週の一冊>
『Coaching A to Z 未来を変えるコーチング』
ヘスン・ムーン (著), 伊藤 守 (監修), 田村 加代 (翻訳)
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