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3511号 2023年10月5日

自分への思いやりは大事!「セルフ・コンパッション」の測り方

(本日のお話 2652字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
またクライアント企業の現場の方への課題インタビューなど。

夜は、コーチング仲間の勉強会の参加でした。
(Kさん、皆様ありがとうございました!)



さて、本日のお話です。

先日、『強みの活用とエンゲージメント』について
久しぶりに論文のご紹介をいたしました。

論文を読んでいると、
近接する概念や理論、

成果とした尺度など
芋づる式に興味が広がっていき、
気付くと「沼」にハマっている自分に気づきます(汗)

今日はそんな論文をポチポチする中で

「自尊心とウェルビーイング」

をテーマに、興味深い論文を見つけましたので、
そのお話をご紹介できればと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは

【自分への思いやりは大事!「セルフ・コンパッション」の測り方】

それでは、どうぞ。

■「セルフ・コンパッション」、
(self-compassion)

という言葉があります。

これは、人や組織分野での領域で、
近年注目が高まっているキーワードの一つともされます。

その意味は、

”セルフ・コンパッションとは、
自己への思いやりによって自身の苦しみを和らげ癒やすことや、
自身の至らない点を人類に共通してみられる経験として
批判せずに捉えること”(Neff,2003a)

とのこと。

■そして、セルフ・コンパッションには
3つの要素があるとされ、

1、自分への優しさ(情緒的反応)
2、共通の人間性(認知的な理解)
3、マインドフルネス(注意の向け方)

から構成される、とされています。



ちなみに、

「1、自分への優しさ」とは

”苦しみに対して自分に養育するように
優しい言葉をかけること”

であり、セルフ・コンパッションの
中核要素とされています。

(例:「よく、がんばっているよ、俺。」
「大丈夫、無理しないでね、私。」など)

「2、共通の人間性」とは、

”人間は本来、周りの事象によって
生かされている存在であることに気づき、
周りと同化し苦しみを共有し、緩和すること”

(例:「こうした辛いことも人間にはあるもの(病・災害含め)」

そして、

「3,マインドフルネス」とは、

”否定的な考えが頭に浮かんだときに、それにとらわれず
現実に起こっていることに意識を集中させること”

とされています。(有光,2014)

■そして、

セルフ・コンパッションは、
先行研究から精神的適応との
さまざまな関連があることが示されています。

たとえば、

・ウェルビーイング

を高め、

・抑うつ
・ストレス

を抑える有効性がある、

とわかっています。(MacBeth&Gumlcy,2012)

(またセルフ・コンパッションの逆のものは
自己批判、孤独感、過剰同一視、の3つです)

■うーん、なるほど。。。

確かに言われてみれば、

上記の3つの項目
(自分への優しさ、共通の人間性、マインドフルネス)が
自らの中に存在しているときの幸福度は高いですが、

逆に

自己批判、孤独感、過剰同一視

などが内側に渦巻くときは、
なんだか苦しいような気持ちを感じるのは、納得です。

(私もメンタル弱めなもので、
よく理解できます。苦笑)

改めてセルフ・コンパッション、
生きる上でもとても大事だと思いますし、

働く上でのウェルビーイング、
また自分自身でのストレス対処の上でも

重要な要素だと感じます。

■では、このセルフ・コンパッション、
どのように測定することができるのでしょうか?

この測定の尺度は
「セルフ・コンパッション尺度(Self-Compassion Scale)」(Neff,2003a)
というものが広く用いられていますが、

この日本語の短縮版が開発されており
十分な信頼性と妥当性が確認されている、

としています。

以下、ご紹介いたします。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<セルフ・コンパッション尺度日本語版(12項目短縮版)>

◯自分への優しさ
・苦労を経験しているとき,必要とする程度に自分自身をいたわり,やさしくする。
・自分のパーソナリティの好きでないところについては理解し,やさしい目で見るようにしている。

●自己批判(逆転項目)
・自分自身の欠点や不十分なところについて,不満に思っているし,批判的である
・自分のパーソナリティの好きでないところについては,やさしくなれないし,いらだちを感じる。

◯共通の人間性
・自分自身にどこか不十分なところがあると感じると,多くの人も不十分であるという気持ちを共有していることを思い出すようにする。
・自分の失敗は,人間のありようの1つであると考えるようにしている。

●孤独感(逆転項目)
・気分が落ち込んだとき,多くの人がおそらく自分より幸せであるという気持ちになりがちである。
・自分にとって大切な何かに失敗したとき,自分の失敗の中でひとりぼっちでいるように感じる傾向がある。

◯マインドフルネス
・何かで苦しい思いをしたときには,感情を適度なバランスに保つようにする。
・何か苦痛を感じることが起こったとき,その状況についてバランスのとれた見方をするようにする。

●過度の同一性(逆転項目)
・気分が落ち込んだときには,間違ったことすべてについて,くよくよと心配し,こだわる傾向にある。
・自分にとって重要なことを失敗したとき,無力感で頭がいっぱいになる。

※リッカート5件法で回答

※引用:有光興記, 青木康彦, 古北みゆき, 多田綾乃, 富樫莉子, アリミツコウキ, アオキヤスヒコ, フルキタミユキ, タダアヤノ, and トガシリコ.(2016).
”セルフ・コンパッション尺度日本語版の 12 項目短縮版作成の試み.” 駒澤大学心理学論集: KARP 18: 1–9.

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

とのこと。

■こうした尺度があると、
自分を見つめる機会にもなり

自らのウェルビーイングの向上や
ストレスへの対処の第一歩としての
自己認識が高まる気がします。

また、このセルフ・コンパッションを高める、
介入施策も開発をされているので、

機会を見て改めてご紹介させていただければと思います。

「強みの活用」にも間接的に影響していそうなので、
このあたりも探索してみたいなと思いました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

どんな日であれ、その日をとことん楽しむこと。
ありのままの一日。ありのままの人々。

オードリー・ヘップバーン
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