「自尊心」を測る尺度のご紹介 ーローゼンバーグ自尊感情尺度ー
(本日のお話 1957字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は4件のアポイント。
また組織分析のアンケート調査や
インタビュー調査などでした。
今年になって色々な企業や部門の調査も
行わせていただき、幅が広がってきているなあ、
と感じる今日この頃です。
お役に立てるよう、
自分の力量も高めていきたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
昨日「セルフ・コンパッション」をテーマに
お届けいたしましたが、本日も引き続き、
関連したお話をお届けしたいと思います。
今日のテーマは
「自尊心」
でございます。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【「自尊心」を測る尺度のご紹介 ーローゼンバーグ自尊感情尺度ー】
それでは、どうぞ。
■昨日のメルマガで、
「セルフ・コンパッション」
(=自分への思いやり)
について、ご紹介しました。
セルフ・コンパッションには
以下の3つの要素、
1、自分への優しさ(情緒的反応)
2、共通の人間性(認知的な理解)
3、マインドフルネス(注意の向け方)
があり、そして
”肯定的解釈”を媒介して
”ウェルビーイング”に影響を与える
ことが研究にてわかっている、
そんなお話もお伝えいたしました。
(水野,菅原,2017)
■さて、そんな
セルフ・コンパッションに類似した概念に、
『自尊感情』
なるものがあります。
そして自尊感情とは
以下のような尺度で測ることができるとされています。
以下、引用いたします。
(ここから)
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<ローゼンバーグ自尊感情尺度_日本語版>
・私は自分に満足している。
・私は自分がだめな人間だと思う。(R)
・私は自分には見どころがあると思う。
・私は、たいていの人がやれる程度には物事ができる。
・私には得意に思うことがない。(R)
・私は自分が役立たずだと感じる。(R)
・私は自分が、少なくとも他人と同じくらいの価値のある人間だと思う。
・もう少し自分を尊敬できたらと思う。(R)
・自分を失敗者だと思いがちである。(R)
・私は自分に対して、前向きの態度をとっている。
※引用:桜井茂男.(2000)“ローゼンバーグ自尊感情尺度日本語版の検討.”
筑波大学発達臨床心理学研究 12: 65–71.
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(ここまで)
■自尊感情、たしかに
精神衛生的にも大事そうですね。。。
そして、水野,菅原(2017)の研究によると
この「自尊感情」が高いと
・カタルシス(鬱屈とした感情の発散)
・放棄・あきらめ
・責任転嫁
のようなマイナスの方向への変化を
抑制する働きがある事を示し、
・”ウェルビーイング(幸福感)”にも相関がある
ことがわかりました。
■ただ、もう少し詳しく見てみると、
・自尊感情→ウェルビーイング(0.21)
と”弱い相関”であり、
先述のセルフ・コンパッションも
・セルフ・コンパッション→肯定的解釈’(.61)→ウェルビーイング(.41)
と肯定的解釈を媒介して
ウェルビーイングに影響を与える、
ということで、直接的に大きな相関がある、
とまでは言えなかったようです。
■自尊感情、セルフ・コンパッション
どちらもウェルビーイングに影響をしている、
一方、どちらかというと
その内容から、マイナスの感情に対処するという
”コーピング”
が中心的な効果になっている傾向がある
とも見られ、言い換えると
「自尊心やセルフ・コンパッションは
ウェルビーイングへの第一歩」
(衛生要因のようなイメージ)
と解釈することもできるのかもしれない、
そんな事を本論文を読みつつ、感じました。
■現在、職場においても
従業員のウェルビーイングが
注目されています。
個人の要因としての
自尊心なウェルビーイングを高めつつも
それ以外の職場の環境や
人とのつながりなど、様々な要因を考えて
取り組むことが必要なのだろう、
そんなことを思った次第です。
幸せには色んな要素がありますね。
探求の度は長そうです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
愚か者は幸福がどこか遠いところにあると思いこんでいる。
利口者は幸福を足元に育てる。
ジェームズ・オッペンハイム
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