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3598号 2024年1月1日

263kmマラソン体験記(2)~電柱ゲームとボラギノール ~

(本日のお話 4511字/読了時間6分)

■こんにちは。紀藤です。

新年が明けました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします!

さて、新年はどのような1年になるのでしょうか。
年を経るごとにあっという間に過ぎていきますが、
また新しい経験ができる1年になればと願うばかりです。

皆様にとっても、より良い一年となりますように!



さて、本日のお話です。

年末年始は2023年のイベントの一つであった

「263kmマラソン」

についてリメイクとしてお届けできればと思います。
本日は前回の続きです。

それではまいりましょう!

タイトルは

【263kmマラソン体験記(2) ~電柱ゲームとボラギノール~】

それでは、どうぞ。

■「電柱ゲーム」

郷に入れば郷に従う、ではないですが、皆と走っていると”あるルール”があることに気づきます。突然、ランナー4名の船団長の赤羽提督が「ブレイク!」と言うのです。

すると、皆が一斉に走る→歩くに変えました。
そして暫く歩くと、スッと手を挙げます。
すると、皆が一斉に走り出す。

これは通称「電柱ゲーム」というもの。

400m走って、100m歩く、これをひたすら繰り返すことで距離を稼ぐというゲームです。

”ひたすら走り続ける”という行為がキツいのがジャーニーラン。
「あと◯◯m走れば、歩いてよい」という小さなゴールを決めると走り続ける気持ちが維持されます。

「それを仲間と一緒に行うこと」より、余力がある人は皆をひっぱり、きつい人は、背中を押してもらう、と補い合って進むという戦術の一つです。

そして、「ブレイク(歩く)」→「走る」の繰り返しをひたすら続けて、深夜23時。チェックポイントの「日本海拠点館(46km地点)」へ到達しました。

だいぶ長い距離を走っていたように思いますが、土偶で有名な亀ヶ岡遺跡(64.7km)を過ぎ、そして、湿度が高い中で粛々と歩みを進めていきます。

ふと気づくと朝4:00。だんだんと空が白んできました。

***

■提督の異常

2日目の朝8:00頃。

大レストポイント(休憩所)である「鰊(にしん)御殿(97km)」に到着しました。ここは畳があって、横になることできるエリアです。

ドロップバック(荷物を預けることができる)ため、雨で濡れて、またたった半日で汗臭く成り果てたTシャツを着替え、またぐしょぐしょに濡れた靴下も履き替えました。

筋膜ローラーで体をほぐして、スマフォやランニングウォッチの充電をします。そして、残った時間で約20分の仮眠をします。

その間に、遅れていた1人、マッキーも合流して、5人が揃いました。

「そろそろ行きますよ。」

仲間の一人が声をかけてくれてそろそろと起き上がり、ゆるゆると走り始めます。少し横になると、体が固まっています。

しかし、たった20分、足を休めるだけでも回復が全く違います。
ちなみに、スポーツウォッチで測定されている潜在スタミナは、100km時点で「0」。あとはハートの世界です。

ここで少し元気を取り戻し、さて津軽海峡の「龍飛崎(120km)」を目指そう!と皆で励まし合います。

しかし、走り始めてからしばらくすると、大船団を率いていた仲間であり、本グループのリーダー的存在でもある「赤羽提督」の様子がおかしくなっていました。声にも力がなくなっており、表情も固くなっていました。

「しんどい・・・」

とつぶやき、息が荒くなっています。

電柱ゲームの声掛けをしてくれていた声も弱くなっているように見えました。「すまん先行ってて」と提督は述べ、結果的に後から追いつく、ということでそれぞれのペースで、次の休憩地点を目指しました。

残りのメンバーで「道の駅こだいら」という休憩できる場所につきました。
トイレに行き、戻るとメンバーの一人が

「提督、ここでリタイヤするそうです」

と言いました。

どうやら内臓系(腎臓)がやられてしまったようで尿の色がおかしくなっている様子。そこからのダメージの回復はこの後は難しそうだろう、、、
とのこと。残念そうな表情で、

「ヤス、すまん」

と残し、ここで提督とは別れを告げることとなりました。

残念ですが、こういう瞬間にあくまでもランニングは1人1人の旅路であることを痛感させられます。自分がゴールするために、仲間の力を借りているのです。「チームを頼りにしつつも結局は自分でなんとかしないといけない」
そのことを痛感させられたのでした。

正直、電柱ゲームをはじめ、この大会の戦略を描き、ここまで引っ張ってきてくれた提督がいなくなるのは、寂しいことでした。ぽっかりと空席が空いたような感覚になりました。

5人のメンバーが100kmを経て、4人になりました。

***

■極寒の眺瞰台とボラギノール

とはいえ、ずっと立ち止まってもいられません。

それぞれのエリアと休憩場所で、必要な走行スピード、取得可能な休憩時間が決まっています。ゆえに休憩もそこそこに次のチェックポイントであり
前半戦の山場でもある、

「眺瞰台(114km)」

を目指します。

津軽半島を北上し、山道にある展望台のような場所。
そこに至るためには斜度が11%以上という激坂が7kmほど続きます。
かつてない、えげつない坂です。

悪天候のため、霧も濃く、風も強く、前も後ろも見えません。
そして標高が高くなると雲域も怪しくなってきます。
あんなに暑かったのに、今度は猛烈に寒くなってきました。
濡れた体が冷えてきます。

「ジメジメして蒸すから、もういらんわ」と、途中まで使っていたウインドブレーカーを鰊御殿に捨ててしまったのが仇になりました。

ここに来てノースリーブ1枚があまりにも寒すぎる・・・。
仲間が心配して「何かカッパとかないかな・・・」と震える私に対して救いの方法を探してくれますが、自分のものは自分で用意するのが普通。
予備があるはずもありません。

ゆえに仕方なく、尻周辺が擦れた時の対処として携行していた「ボラギノール(軟膏)」をワセリン代わりに全身に塗ります。

なんとなく、保温性が上がった気がしました。
(ベタベタしましたが)

ボラギノールを全身に塗りたくりながら、
「さっさとおりよう。凍えて死んでしまう」と眺瞰台を突破。

***

■津軽海峡冬景色の「龍飛崎へ」

ついに折返しポイント、津軽半島の最北端である「龍飛崎(たっぴさき)(122km)」へと到着しました。

時間は2日目の昼14時。
開始から約21時間経過しています。

ここで、約1時間の仮眠を取ることにしました。

そして、去年完走した仲間の一人、エンディが言います。

「これで、前半戦が終了ですね!
ようやく”中盤戦”に入りますね」

え、”前半と後半”じゃなかったのかい!

と思いつつも、まさに中盤戦がこれから始まろうとしていました。

(つづく)

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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よろしければぜひご覧ください。
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<今日の名言>

何かを犠牲にして一歩踏み出した時に
何か自分の中で形になったという思いがある。

大迫傑
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