「沖縄の歴史と今と未来が分かるおすすめスポット5選」をご紹介します
(本日のお話 5809字/読了時間7分)
■こんにちは。紀藤です。
この三連休は、沖縄スタディーツアーに参加をしてきました。
今日は、そこで巡った沖縄のスポットとそこからの学びについて
皆様にご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
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「沖縄と二拠点生活をしています」。
そうお伝えすると、多くの人に興味を持っていただきます。
二拠点生活について書いたnote記事も、いつもより多く「スキ!」を頂いております。たぶん、それは記事の内容というより、沖縄の魅力です。沖縄とは、かくも魅力的な場所でございます。
沖縄といえば、青い空とエメラルドグリーンの海。しかしよく目を凝らしてみれば、その美しさと対比するように沖縄戦の悲しい記憶、また今なお続く基地問題なども抱えているのが沖縄です。
だからこそ「沖縄を感じるだけではなく、その歴史も今も、そして未来の可能性を知りたい!」と思われる方も少なくないのでは、と思います。
美ら海水族館もいいし、ダイビングもいいけど、沖縄のことをもっとディープに知っていきたい。そんな方のための記事です。
■沖縄スタディツアーとの出会い
さて、二拠点生活をしていると様々なご縁があるものです。先日以前からの友人(沖縄の国際協力団体にて働いている&沖縄のことを熟知している方)から、とあるお誘いをいただきました。
曰く、あるリーダーシップ塾のコミュニティー向けのイベントとして「沖縄の歴史と今を知るためのスタディツアー(3日間)」なるものを企画した、とのこと。そこでは、沖縄の歴史と今そして未来を知るための鍵となるスポットを、ゲスト講師も呼びながら巡るツアーを行うという内容でした。
「なにそれ、めちゃくちゃ面白そうですね!是非参加させてください!」と勢いで参加をさせていただいたところ、そのツアーが大変濃厚で、この3日間で、沖縄半年間の生活以上に多くのことを学びました。
その内容を振り返りつつ、私だけが知っておくのも勿体ない!と思い、今回「沖縄で過去・現在・未来を理解したい」という方に向けて、沖縄を知るための各スポットを、スタディツアーの内容、そして個人的感想も踏まえてご紹介できればと思います。
■「沖縄の歴史」を知るスポット
最初は「沖縄の歴史」を知るためのスポットです。この2つは特におすすめ。必見です。
(1)平和記念公園資料館
那覇空港から北へ車で40分。糸満市にある資料館です。
本資料館のコンセプトとしては以下のようにホームページで紹介されています。
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沖縄県平和祈念資料館は戦争の犠牲になった多くの霊を弔い、沖縄戦の歴史的教訓を正しく次代に伝え、全世界の人びとに沖縄のこころを訴え、もって恒久平和の樹立に寄与するため設立されました。
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常設の展示室では、以下のような内容が展示されています。
・「沖縄戦に至る歴史」(琉球国の歴史と、なぜ沖縄が戦場となったのか)
・「鉄の暴風」(沖縄戦が始まり、米軍が中部から入り侵攻をしていく様子が沖縄の模型を使って、その全体を俯瞰することができる)
・「地獄の戦場」(戦時中の写真。衝撃的な写真も多く展示されている)
・「沖縄戦の証言」(生き残った方の手記、映像がまとめられている)
・「太平洋の要石」(沖縄戦後のアメリカ占領期間の実態が描かれる)
と、美術館の5つの舞台を歩きながら、過去から現在に繋がっていく物語を体験することができます。
個人的に素晴らしいと思ったのが、外には「こども・プロセス展示室」として「未来を考える展示物」があるところ。
元来沖縄は「ゆいまーる(助け合い)」という言葉でも表されるように、戦いではなく友好的な文化が特徴の国でした。しかし、地政学上の理由から、戦いに巻き込まれざるを得なかった悲しき歴史があります。しかし、沖縄のDNAが大切にしている「繋がりを育むハブとなる沖縄の未来」を示しているようで、なんだかぐっと来ました。
また、外には「平和の礎(いしじ)」という、石碑が並んでいます。注目ポイントは、日本人だけではなく、アメリカ、韓国、など全ての沖縄戦で亡くなられた全ての方の名前が刻まれていることです。
こうした資料館は、歴史的なメッセージを含むものですが「敵味方関係なく、全てのなくなった人への弔いと平和への願い」が象徴されており、戦争そのものへの疑義と、命の重さに対する、哲学的な意味も感じます。
ちなみに、本資料館ができる時に「日本兵が沖縄の住民に銃を突きつけている姿が、日本兵への印象からなくそう」という話があったそうです。しかし、多くの非難があり、実態を正しく伝えるべきと展示されるようになりました。
沖縄戦では、住民が日本兵からもゲマ(洞穴)から追い出されたり、集団自決を迫られたりしていた事実がありました。前には米兵、後ろには日本兵が敵として迫っていたという現実を我々は知る必要があると案じさせられます。本土とウチナーの見えない壁のようなものがあるならば、そんな歴史も影響しているとも思えなくもありません。
(2)佐喜眞美術館
次の「佐喜眞美術館」は、沖縄の歴史と今をアートを通じて想える場所です。那覇空港から南へ30分。宜野湾市の普天間基地のフェンス沿いにある私立美術館です。
この美術館は創設者の佐喜眞氏が、先祖の土地(普天間基地内にあり取り戻すことが難しかった場所)を、人生を賭して取り戻すべく奔走し、日本とアメリカへの交渉の末に、取り戻した場所に建造されました。
普天間飛行場の周りには木々とフェンスが囲っており、飛行場の姿を見づらいのですが、佐喜眞美術館の屋上からは、宜野湾市街の中央に陣取る飛行場を、屋上から見ることができます。
(ちなみに、普天間基地は、2004年オスプレイが大学敷地内に墜落したことから問題になり、米国と日本の関係が問題になった場所でもあります。そんな問題の渦中の場所に美術館が創られたことに、大きな意味があります)。
館長は、美術館の創設の思いをこう述べます。
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「沖縄戦以後の変化はあまりにも急激で、今なお翻弄され続けている沖縄の状況のなかで、私はなんとしても、心を落ち着けて静かに「モノ想う場所」を作りたいと思った」
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アメリカでのジョークで「沖縄戦でなくなった兵士が地獄に行ったが平気そうだった」「なぜなら沖縄戦のほうが地獄だったから」という話があります。それほどまでに壮絶といわれる沖縄戦が語り継がれるのは、その死者の多くが、民間人であったこともあります。
当時、45歳までの男性は戦争に駆り出されていました。よって、絵に描かれているのは女性・子供、老人。逃げ場を失い、ガソリンをかぶり集団自決をする様などが、その絵に描かれていて、その迫力に言葉を失います。
声を出さないように子供の口を塞ぎ窒息死させた、などというシーンは、言葉にするだけでも辛すぎて、戦争を肯定できるものなどなにもないと感じさせられます。近づいてみれば、あまりにも生々しい表情が描かれており、ただただ、残酷です。
館長曰く、米兵の方も見学に来られるそう。屈強な体を携えつつも、神妙な面持ちで「これは基地でも展示をしたほうがいいと思う」と話される方もいるそう。韓国の人は怒りをあらわにし、日本人の方は申し訳なさそうにしている、という話も。国や文化を超えて、感性を揺さぶり、想いを引き起こす空間。まさにアートが持つ力なのかもしれません。
■「沖縄の今」を知るスポット
次に、沖縄の今を知るためのスポットをご紹介します。ここでは、オリジナルのランチも楽しめます(意外と知られていない穴場だと思います)。
(3)JICA沖縄センター
沖縄の今を知ることができる施設として、意外かもしれませんが「JICA沖縄センター」があります。JICA(独立行政法人国際協力機構)は、日本の政府開発援助(ODA)を行う組織です。青年海外協力隊などが有名ですね。JICAは14の国内拠点がありますが、その中の一つが「JICA沖縄センター」です。
ちなみに、沖縄には現在150万人の県民がいますが、そのうち1/3が海外で活躍をしているそうです。そして、JICA沖縄センターは、沖縄のネットワークも含めて、海外への活動を支援しています。
なぜ「沖縄の今」がJICAかというと、「法律で沖縄の地域振興が定められている」ことと、その活動にJICAが事業として貢献しているからです(「(改正)沖縄振興特別措置法 第84条で、国際協力事業の実施を通じて、沖縄振興に寄与することが定められている」)。
また沖縄県が掲げる「新・沖縄21正規ビジョン基本計画」にもJICAは貢献をしています。
沖縄の持つ「島嶼性(とうしょせい=島ならではの特徴)」「亜熱帯性」「歴史的特性」などのリソースは、太平洋諸島諸国(島国)の課題解決西するものであり、
・”島の中だけ”で、どのようにエネルギーを自給自足するのか?
・”島の中だけ”で、廃棄物をどのように処理するのか?
・”島ならではの課題”である、海洋問題にどう取り組むか?
・”亜熱帯の特徴”である、ミバエ(害虫)対策をどうするか?
などの課題に対して、多くのソリューションを提供できるの「沖縄」なのです。各国の政府関係者がJICA沖縄センターに学びに来ているとのこと。
まさに、「沖縄の今」を地域と国際社会をつなぐ役割として貢献している、一つの姿を示しているようです。
JICA施設内は一般の方も見学可能で、沖縄や世界の文化についての展示物が揃っています。沖縄に関する資料がある図書館も併設されています。(また食堂も、世界各国のランチが安くていっぱい食べられるのでオススメです!)
(4)コザシティ(ラグーンシティコザ)
次に「コザ」です。沖縄県コザ市は、1956~1972年まで沖縄県の中部にあった市でした(現在は沖縄市となってなっており、コザ市は消滅しました)。
現在は、県内のエンタメの発信地となっており、ORANGE RANGEも生まれた「コザミュージックタウン」などが有名です。コザの町並みは、アメリカっぽい空気もあり、他の街とは少し雰囲気が違う文化を持つ場所です。
さて、このコザで「沖縄の今」を見るためのキーワードは「スタートアップ」です。コザの中に「SUN CITY」というアーケード街がありますが、その中に沖縄発のスタートアップが息づいています。
先日の沖縄スタディツアーでは、「HELLO WORLD」という国内外で注目され、急成長を遂げている教育テックのスタートアップの共同代表がお話をしてくれました。
今、このアーケード街には、新規事業創出などで有名な麻生要一さんがギャラリーを持たれていたり、その他のスタートアップの人も集まって、沖縄の新規事業創出に伴走をする拠点となっているとのこと。ぱっと見ではわからないのですが、沖縄を起点にした新しい動きが始まっているようです。
■「沖縄の未来」を知るスポット
最後に、沖縄の未来について。ここも大変お薦めのスポットです。
(5)沖縄科学技術大学院大学(OIST)
沖縄中部、恩納村にある、科学分野における私立の大学院大学です(5年生で博士課程しかない大学院大学です)。ここには約90の研究室があり、学生の8割は海外からです。様々な国からの先生、学生が在籍しています。中に入ると、完全に海外の学校です。
エメラルドグリーンの海を望む、5つの研究棟からなり、学生のための社宅、幼稚園・小学校も併設しています。最先端の施設であることは、そのデザイン性と雰囲気から、入った瞬間に感じられます。
「質の高い論文ランキング2019(英シュプリンガー・ネイチャー)」では、OISTが日本1位で、世界9位となっており、国内外の優秀な頭脳が集まっています。
ノーベル賞をとった世界のトップランナーである教授たちが集結しており、日本では珍しく、学生に対して年間240万円が支給されます。
(余談ですがヨーロッパなどの海外では、博士課程で学問に携わる人には年収相当の奨学金が支給されます。つまり「国が人を育てることに重きを置き、予算を割いている」のです。
日本は学ぶ人を支援し、未来を作る人を育てていないという意味で課題があると言われますが、OISTはそのフロンティアになれるのかもしれません。この取り組みが多く広がってほしいところです)
ちなみに、一般の方も見学ができます。そして、学生用の食堂も利用できます。
私も今回を含めて2回訪問しましたが、学生の皆さんも本当に優しく親切(2歳の息子が暴れていても、ただただあたたかい視線で見守ってくれ、話しかけてくれます。知性の高い方が集まるとこうも平和で落ち着いた空間になるのだろうかか、などと勝手ながら思ってしまった。
ちなみに、このような素晴らしい施設は私立というのもありますが、その大半が日本政府の予算から出ているからだそう(先述の「沖縄振興予算」の一部かと思われます)。
お金の使い方は賛否両論渦巻く議題ですが「未来のために投資をする」というのがどういうことかを肌で感じられるので、私は大賛成です。こうした未来に向けたお金の使い方をすべき!と勝手ながら思ってしまいました。
大手企業も、OISTと共同研究をするために、ピッチをしにやってくるそうです。それくらい可能性に溢れた場所です。沖縄の未来を感じる場所。ぜひご覧いただきたいスポットの一つです。
■まとめ
他にも「首里城」「美ら海水族館」「国際通り」「アメリカンビレッジ」など有名なスポットはたくさんありますし、そちらもとても魅力的です。
今回ご紹介したのは、特に「沖縄の歴史と今と未来を知るスタディツアー」なので、学びの色合いが強いものですが、スポットを巡っていただくことで、感じることがあるはずです。
また副読本として『日本復帰50年 今・昔・未来 沖縄のこと考えてみませんか!』もお薦めです。「沖縄の過去・現在の全体像」がわかります。その上で各スポットを訪れると、そこで書かれていた言葉としての情報が、五感を通じたイメージとして刻みこまれて、旅路が3割増しになると思います。
めぐり方の順番は、1→5と、過去から今、未来に向けて、順にいクことがおすすめです。2日くらいあると良いかもしれません。だんだん北に向けて移動するので、レンタカーがあると便利。
最後に、人類の歴史は戦争の歴史でもあり、今なお、その火種は日本の直ぐ側でくすぶり続けています。これらの話は、そろりそろりと近づいてきて、いつの間にかすぐ側にいるような問題にも感じます。
そんな時代に生きているからこそ、こうしたスポットを通じて、考えてみてもよいのかもしれませんね。ぜひ沖縄に来た際は、ご検討くださいませ。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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<本日の名言>
先入観を取り除くために、常に「なぜ」と自問しない者は、
どんなに勉強しようとも怠け者だ。
トーマス・フラー
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