ストレングス・ファインダーとMBTIとVIAとの違いのまとめ
(本日のお話 2256文字/読了時間4分)
■こんにちは、紀藤です。
昨日は終日研修プログラムの開発。
集中して作業ができる1日で、実に楽しい時間でした。
*
さて、本日のお話です。
本日も強み評価アセスメントVIAについて書かれた書籍『Character Strengths Interventions』からの学びをお届けいたします。
さて、本日は「VIAと他のアセスメントツール(ストレングス・ファインダーとMBTI)の違い」についてお伝えいたします。
ストレングス・ファインダーもMBTIは日本でとても有名ですが、これらのアセスメントは何がどのように違うのでしょうか?
この点について、以下書籍を参考に、まとめてみました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ご紹介の書籍>
『Character Strengths Interventions: A Field Guide for Practitioners 』
Ryan M. Niemiec(著)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■ある勉強会での出来事
7~8年前、ある人事勉強会で、参加者がゲスト講師的な有名人(誰か忘れましたが)に、こんな質問をされていました。
「組織開発っていいますが、チームビルディングにつなげるのなら、ストレングス・ファインダーを全社的にやって、その結果を皆で共有し合うのが最強だと思うのですが、どう思われますか?」
・・・とのこと。ストレングス・ファインダーを組織開発には有用だと考えているようです。するとそのゲスト講師の方は、このように答えました。
「ストレングス・ファインダーもよいですが、お金がかかりますよね。個人的には『VIA』がよいと思います。大学など研究機関が関わっており、無償で提供されていますから、コスト的なメリットが大きいです」
と回答していました。
その質問者の方は、期待した答えとは違ったのか、なんとなく陰りのある質量を含む言葉で「ありがとうございました」と答えられていました。
聞いていた私は、当時はまだストレングス・ファインダーも詳しく知らずく中立の立場でしたので「ふーん、そういった2つの強み評価ツールがあるんだ」くらいにしか思っていませんでした。
しかし、この場面の記憶はなぜだか鮮明に残っています。
■ストレングス・ファインダーとVIAの違い
さて、月日が経ち、私自身が「Gallup認定ストレングスコーチ」(正式にはクリフトン・ストレングス)なるものになって、ストレングス・ファインダーを使った研修を提供する側になりました。
また、直近では「強み論文100本ノック」と称して、組織における強み活用の成果について、関連論文を読み漁っていました。すると「VIA」のほうが頻繁に文献に登場してくることに気づきました。
実践者としてはストレングス・ファインダーに手応えを感じる。
一方、学術の世界ではVIAがよく登場し、成果も出ているという。
ストレングス・ファインダーとVIA、何がどのように違うのだろうか・・・?
考えてみると、ストレングス・ファインダーとVIAではなんとなくの違いがあるのはわかるのえす。たとえば「アセスメント価格:有償 or 無償」「提供元:民間企業 or 教育機関」「テーマ:仕事 or 人生全般」などなど。それぞれの違いは認識はしていました。
その中で、著書『Character Strengths Interventions: A Field Guide for Practitioners 』にこの違いが整理がされていました。それがわかりやすいものでしたので以下、紹介いたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【VIA Institute/VIA Survey】
主要提供内容:共通言語
想定される領域:すべての生活(家庭、仕事、学校、社会)
個性への関連:アイデンティティ
主要現象:存在と行動
特定される強み:基本的な性格
有効性の基準:歴史的分析、基準、心理測定学
焦点:特徴的な強みが重要だが、全24も重要
組織:非営利団体
科学の関与:全ての科学者に開かれている
科学的検証:ピアレビューされている
【Gallup/StrengthsFinder 2.0】
主要提供内容:才能のテーマ
想定される領域:仕事
個性への関連:該当なし
主要現象:行動
特定される強み:才能/スキル
有効性の基準:調査
焦点:トップ5
組織:営利企業
科学の関与:独占的
科学的検証:ピアレビューされていない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
なるほど。
領域、個性との繋がり、有効性、焦点、組織などこうした切り口で比較するとわかりやすいですね。
大きな違いは、Gallupは営利企業であるということでしょうか。
ゆえにそのノウハウは企業秘密とのことで、データもオープンにしづらいというのはあるのでしょう。
しかしながら、営利企業であるゆえ、ストレングス・ファインダーのレポートが丁寧に作られていること、「仕事」がメインのテーマになっているため、職場環境に当てはめやすいと個人的に感じています。
■MBTIとVIAの違い
また、性格診断で有名な「MBTI」との違いも紹介されていました。
MBTIとはユングのタイプ論をもとにした、世界45カ国以上で活用されている国際規格に基づいた性格検査として知られています。以下の4つの指標で16の性格タイプになるとされます。
~~~~~~~~~~~~~~~~
エネルギーの思考: E(外向型)↔ I(内向型)
ものの見方: S(感覚型)↔ N(直感型)
判断の仕方: T(思考型)↔ F(感情型)
外部との接し方: J(判断型)↔ P(知覚型)
~~~~~~~~~~~~~~~~
このMBTIとVIAとの違いは以下のようにまとめられていました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【VIA Survey】
主要提供内容:共通言語
想定される領域:すべての生活(家庭、仕事、学校、社会)
アプローチ:次元的(各強みの程度が異なる)
特定される強み:基本的な性格
有効性の基準:歴史的分析、基準、心理測定学
焦点:あなたが誰で、何をするか
介入:非常に重要
個性(Big 5):増分妥当性(独自の)
費用:無料
組織:非営利団体
科学の関与:全ての科学者に開かれている
科学的検証:ピアレビューされている
【Myers-Briggs Type Indicator (MBTI)】
主要提供内容:タイプ/テーマ
想定される領域:すべての生活(家庭、仕事、学校、社会)
アプローチ:カテゴリー(特定のタイプに属する)
特定される強み:嗜好
有効性の基準:C.G.ユングの理論に基づく
焦点:世界を見るための方向性
介入:関連なし
個性(Big 5):ビッグファイブの下に含まれる(独自でない)
費用:使用ごとに料金
組織:営利企業
科学の関与:独占的、開かれていない
科学的検証:ピアレビューされていない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■まとめ
あらためて、なんとなく感じている違いを、このようにテーマごとに対比させて考えるとその違いが明確になり、わかりやすいですね。
これから、組織内におけるVIAを活用した研修を展開する計画がいくつかあります。実際にストレングス・ファインダーを活用した研修との違いを、実践者としても肌感を掴めそうな気がします。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
よろしければぜひご覧ください。
<noteの記事はこちら>