「失うこと」を賭すことで、得られるものとは?
(本日のお話/2234文字 読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は以前から通っている私塾、「サムライ塾」にて、
朝9:00から懇親会を含めて23:00まで
”武士道精神”などについて、永遠語り、
考え尽くしておりました。
何となく、
「武士道」とか「サムライ」とか言うと、
古臭いとか、胡散臭い(?)と思われる方も、
もしかするといらっしゃるかもしれませんが、
お金とか、目に見える物や、
欲を満たすことが大事と思われがちな世の中において、
大事な要素がたくさんあるものだと、
ひしひしと感じました。
しつこいようですが、
『武士道』(著:新渡戸稲造)
『西郷南洲遺訓』
は本当に良書。
ぜひご一読をおすすめします。
*
さて本日のお話です。
先日読んだ、
『学力の経済学』(著:中室 牧子)
より、共感する話がありましたので、
皆さまにご紹介したいと思います。
テーマは、
「”失うこと”を賭すことで、得られるものとは?」。
それでは、どうぞ。
■『学力の経済学』にて紹介されていたお話。
ある学校で興味深い実験を行ったそうです。
それは、
「教員のボーナス」に対して行った実験でした。
Aのグループの先生は、
もし半年後に生徒の成績が上がったら、
”特別ボーナス”をあげるという設定です。
対して、Bのグループは、
実験開始時に、始めからボーナスを前払いでもれます。
しかしながら、
もし半年後に生徒の成績が上がっていなければ、
悲しきかな、半年前にもらっていたボーナスを、
返還しなければならない、という設定です。
では、
”頑張ったらボーナスが貰えるAのグループ”
VS
”頑張らなかったら
貰っていたボーナスを返さなければいけないBのグループ”
どちらが、生徒の成績を、
よりあげることができたのでしょうか。
すなわち、より高いパフォーマンスを見せたのでしょうか。
ちなみに、生み出した結果と、
貰える金額の設定は一緒なのです。
頑張ったら貰える。頑張らなかったら貰えない。
頑張ったら貰えたまま。頑張らなかったら貰えない(返すから)
ただ、お金を貰えるタイミングが違うだけ
さて、ではこの答えは、何か。
答えは、
「B」
のグループのほうがより高い成果を見せた、
ということだったのです。
つまり、
「目の前のニンジン」として、
ボーナスをちらつかせるよりも、
『ボーナスを返さないといけない(=一度手に入れたものを失う)』
という縛りのほうが、
より効果的である、ということですね。
■この話を聞いた時に、
ふと思い出したお話がありました。
それは、私の友人のIくん(仮)の彼女の話。
彼は爽やかイケメンで、
向上心高く、素晴らしい人物。
いわゆる女子からすれば
”優良物件”というやつですね(笑)
*
そんなIくんは、
お付き合いしていた彼女がいました。
しかし、
付き合う期間が長くなるにつれて、
だんだん、マイナスの面が見えてきたそうです。
最初は、一生懸命で頑張りやの彼女だったけど、
やはり長くなったがゆえの甘えでしょうか、
次第に、
怠け者で、
頑張れなくて、
休みはただダラダラする、
いつもネガティブ発言、
彼女自身、
「それじゃいけない」
「もっと自分を律していきたい」
と思いつつ、できない日々が続き、
そして彼は彼女に対して、
距離を感じ始めたそうです。
そして、ある日、
彼は彼女に告げました。
「別れようか」
と。
■しかし、この話は、
ここで終わりませんでした。
彼女は、Iくんのことが、
やっぱりまだ好きだった。
そして、彼から
「別れよう」と言われ、
『好きな人を本当に失ってしまう』
という状況に、
初めて向き合わされたのです。
*
そして、別れてから3ヶ月後。
彼女が彼の家においていた荷物を取りに来る時、
その彼女がこのようにそうです。
「別れてから、考えたの。
もう一度、I君とやり直したい。
だから、私はあれから変わろうと思って、
色々チャレンジしてきた。
だらしない自分と向き合うために、
自分なりに精一杯だけど、やってきた。
だから、もう一度、チャンスが欲しい」
結果、そのI君は、
彼女のその本気度に心動かされ、
「もう一度やり直そう」
と決めたそうです。
そして今は順調にお付き合いされているそうです。
■さて、めでたしめでたし。
ではなくて、この話から何が言いたいのか。
それは、先程の教員の話と同様、
『人は”失うこと”で、本気で動くことが出来る』
そんな法則があるのではないか
ということなのです。
元々持っているものを「失う」ということは、
ある意味、”負の感情”を沸き起こします。
失いたくない。
なくすのはイヤだ。
しかし、そんなエネルギーだからこそ、
「目の前のニンジン」とか
「やればいいとわかっている綺麗事」以上に、
人を動かしうる、そんな力を持つと思うのです。
■と、するとです。
もし皆さんが、
「何かをやりたい、成し遂げたい」
そう思っているとしたら。
そのエンジンの一つとして、
「失う恐怖という力」を使うこと、
それも一つの有効な手法になりうるのかもしれません。
先程の先生のように
「ボーナスを返す」と言うのは、
なかなか現実的ではないかもしれません。
でも、「これをやる!」と皆に宣言し、
結果やらなかったとしたら、
”「信頼」を失う”
ということになるでしょう。
「何かをやる」とコミットをして、
なのに自分だけやらなかったら、
もしかすると、
”「仕事」を失う”とか
“「友情」を失う”
ということも、ゼロではありません。
自ら外堀を囲み、
自らを崖っぷちに追い込むこと。
覚悟が必要なことではありますが
故に、効果的なのでしょう。
ということで、
「”失うこと”を賭すことで、得られるものとは?」
【自らを否応なく突き動かす力】
なのだろう、そのように思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。