マスタリーの道は「研究と実践の往還」にあり
(本日のお話 2241字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日日曜日は、研修プログラムの開発。
その他、雨だったのでランニングの代わりに、マンションの階段往復練習でした。
(60階分上り下りをしました)
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さて、本日のお話です。
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「何かを学ぶのに、自分自身で経験する以上に良い方法はない」
byアインシュタイン
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そんな名言がありますが、話を聞くよりも実際に目にしたほうが、自分が受ける影響は強いですし、目にするよりも実際にやってみるほうが、その世界を自分のものとして捉えることに役立ちます。
「体験すること」とは、世界の見え方を変えてくれる。なんだか大げさなようですが、そんなことを思う経験がありました。今日はそのお話について、言葉にしてみたいと思います。
■VIA強み発見ワークショップの開催
2年前からお世話になっているとある会社。私が外部コンサルタントとして人事周りのサポートをさせて頂いています。今年の春、その会社の人材開発の担当者から、ある相談を受けました。それは「新入社員向けの、”自己理解”を深めるためのワークショップ」の相談です。
若手は自分に自信が持てない人も多い。強みに目を向ける自己理解ワークショップもいいかもね、などと色々と打ち合わせをします。私も得意なストレングス・ファインダーが検討に上がりましたが、残念ながらアセスメント費用がかかるため、予算が合いません。
その中で「VIAであれば無料で受検可能であるので、それを使った強み発見のワークショップなら、目的にも合致するかも」ということで、話は前に進み、VIAを利用した強み発見のワークショップを、入社3ヶ月ほどの新入社員向けに実施をすることになりました。
■「文献」で概念が形成される
そして、そのワークショップに向けて、VIAに関する論文、書籍を読み解きながら、研修プログラムを作ることにしました。
VIAの強みの概念とその分類は、一般向けに無料で公開されている有名な文献があります。それが『Character Strengths and Virtues: A Handbook and Classification(Seligman,Peterson, 2004)』なるもの。オックスフォード出版会による文献で、強みの分類について814ページに亘って解説されています(読むのは超大変!)。
これらの文献を参考にしながら、私もVIAの定義する強みの理解を深めていきました。その中で、強みの分類である「忍耐力」「審美眼」「向学心」等の概念を獲得し、「へえ、そういうことだったのか」「こんな研究の背景があるんだ」「こうした特徴的な思考・感情・行動の傾向があるんだ」と強みの理解が深まっていきました。いわば文献を読み解くことで『強みの概念が形成された』という感覚を持つようになっていきました。
「実践」で温度を感じる
そして、文献で集めた情報を元に「実践(ワークショップ)」を行いました。まず、デモとして大学院の仲間にワークショップの実践。本日は、本番として新入社員の皆様にもワークショップの実践を行ったのでした。
ワークショップでは、強み活用の介入として、「認識ー統合ー活用モデル」を行います。まず、強みの概念の認識をアセスメントの解説から行う。次に、強みと自分自身の経験をつなげるエピソードを話してもらう。強みがどのように自分自身の思考や行動、価値観やモチベーションにつながっているかなどを考えてもらったのでした。
このワークは非常に面白く、文献だけでは得られない、それぞれの「人の強みエピソード」が明らかになっていきます。この実践を通じて、「強みが人間の生活に繋がっているという感覚」、いわば「概念の温度」のようなものを感じられたような気がしたのでした。
それから、自分が以前まとめた「強み論文100本ノック」の記事を、なんとなく読んでみます。すると同じ論文なのに、質量がぐっと重たくなった感じがするのです。
たとえば、”「忍耐力」が仕事の生産性に繋がる”という論文、”カウンセラーの強みは「向学心・大局観・社会的知性・愛情」が高かった”という論文を見返したときに、以前読んだときよりもスッとその結果がイメージできる、そんな不思議な感覚を覚えたのでした。
■マスタリーの道は研究と実践を往還にあり
これらの体験から改めて思ったこと。それが「研究と実践は不可分である」ということ。そして、強みについてもマスタリー(熟達)への道を歩む上では、「研究と実践の往還」がも重要なのではないか、ということです。
特に、人や組織など、人の営みが関わるものはは、数字やデータだけでは触れられない領域があると感じます。
おそらく、私が「強み論文ノック」を蓄積して、VIAに関する研究データを200本読んだとしても、分かる部分は一部分だけです。今回の「実践(ワークショップ)」がなければ得られなかった感覚的な理解は、やっぱりあると思うのです。
実践なくして研究だけでは温度感を感じられない。研究なくして実践をしても、その言葉に厚みをもたせられない。
だからこそ、研究と実践は不可分であると認識し、研究と実践を往還しながら学びを深め、経験を深めていく。そして願わくば、社会に還元できたのであれば最高です。こうしたスタンスこそがマスタリー(熟達)への道として、重要なのだろうな・・・そんなことを感じたのでした。
そして、強みの研究と実践、改めてもっともっと探求したいというモチベーションを頂きました。まだまだ知らないことはたくさんありますし、これを掘り下げることで、見える世界が広がることが楽しみだなあ、そんなことを思う次第です。(C社の皆様、大学院の皆様、改めて感謝でございます)
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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